※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
技人国(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)から特定技能1号への変更は、制度上できます。本人が在留資格変更許可申請を出し、法務大臣が許可するかどうかを判断します。
許可には、本人の試験合格、業務が特定技能の対象分野に当たること、会社が受入れの基準を満たすことが必要です。変更後は、在留期間の上限、家族の在留、転職の手続き、会社の義務が変わります。現場の業務を任せたい企業の担当者に向けて、要件と変わる点を説明します。
目次
技人国から特定技能1号に変更できるのか
技人国から特定技能1号への変更は、入管法第20条の在留資格変更許可申請で行えます。申請するのは外国人本人です。法務大臣は、変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、許可できます(同条第2項・第3項)。
入管庁の運用要領は、特定技能への変更について、原則として相当の理由があるとは認められない例を挙げています。技人国は、この例に入っていません。
- 「留学」の人で、所属していた教育機関での在籍状況が良好でないもの(正当な理由がある場合を除く)
- 失踪した技能実習生(正当な理由がある場合を除く)
- 「短期滞在」の人
- 計画の途中にある技能実習や研修など、活動計画の性格上、ほかの在留資格への変更が予定されていないもの。または、活動の終了後に特定の在留資格への変更や更新が予定されているもの
技人国からの変更を名指しした定めや注意書きは、運用要領、特定技能制度に関するQ&A、就労資格のQ&Aのいずれにもありません(2026年10月9日時点)。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)第4章第1節・第3節、「特定技能制度に関するQ&A」、「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)、「在留資格変更許可申請」/e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第20条
変更に必要な要件:本人・業務・会社
必要な要件は、本人の試験合格、業務が対象分野に当たること、会社が基準を満たすことの3つに分かれます。学歴の要件はありません。
| 区分 | 求められること |
|---|---|
| 本人(技能) | 従事する業務区分に対応する技能試験に合格している |
| 本人(日本語) | 国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(N4以上)などに合格している |
| 本人(その他) | 18歳以上で、健康状態が良好である |
| 業務 | 19の特定産業分野に属する業務で、業務区分に当たる |
| 会社(雇用契約) | 所定労働時間が通常の労働者(フルタイム)と同等で、報酬が日本人が従事する場合と同等以上である |
| 会社(体制) | 労働・社会保険・租税の法令を守っている。欠格事由に当たらない。申請の前に、分野の協議会の構成員になっている |
| 会社(支援) | 支援計画(1号特定技能外国人支援計画)を作り、自社で支援するか、登録支援機関に委託する |
技能実習2号を良好に修了した人などには、試験の免除があります。技人国で在留していることは、免除の理由に挙がっていません。
介護分野など、日本語の要件が加わる分野があります。国内の試験は、在留資格を持って日本に在留している人が受けられます(告示で定める一部の国の人を除く)。
入管から受入れ企業としての認定を受ける必要はありません。会社が基準を満たしているかは、本人の申請の審査の中で入管が確認します。建設分野では、国土交通省による受入計画の認定が別に必要です。派遣の形で雇用できるのは、農業分野と漁業分野だけです(2025年12月1日時点)。
19分野の一覧、会社の基準の中身、支援の10項目は、特定技能の全体像にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)第4章・第5章、「制度説明資料(外国人労働者に関する制度概要)」(2026年9月29日更新)6頁、11頁、「特定技能制度に関するQ&A」Q5、Q14、Q27、Q45、Q60/e-Gov法令検索「上陸基準省令」特定技能の項、「特定技能基準省令」第1条・第2条
これまでの業務内容は、審査でどう見られるか
変更の審査では、本人のこれまでの在留活動の状況も考慮されます。運用要領は、試験に合格しても変更の許可が保証されるものではなく、これまでの在留活動の状況や在留の必要性等を考慮するとしています。
入管庁の変更・更新のガイドラインも、考慮する事項として「現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと」を挙げています。例に挙がっているのは、失踪した技能実習生と、除籍・退学後も在留を続けた留学生です。ガイドラインは、これらを、正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価するとしています。
会社の側には、欠格事由があります。出入国または労働に関する法令に関し、不正または著しく不当な行為をした会社は、特定技能の人を受け入れられません。対象になるのは、雇用契約を結ぶ日の前5年以内と、結んだ日以後の行為です。
運用要領は、この行為として主に想定されるものの1つに「不法就労者の雇用」を挙げています。事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせる行為などです。当たるかどうかは、個別具体的な事案の重大性に応じて判断されます。
技人国の人が技人国に当たらない業務をしていた場合を、ガイドラインと運用要領は名指ししていません(2026年10月9日時点)。不法就労活動をさせた場合の罰則は、不法就労助長罪の解説にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)第4章第3節、第5章第2節、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正令和8年6月)3/出入国管理及び難民認定法 第2条の5第4項、特定技能基準省令 第2条第1項第4号リ
変更すると何が変わるのか:技人国と特定技能1号の比較
大きく変わるのは、在留期間に通算の上限ができることと、家族の在留です。転職の手続きと、会社の義務も変わります。
| 項目 | 技人国 | 特定技能1号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 5年、3年、1年または3月 | 3年を超えない範囲で個々に指定される期間 |
| 通算の上限 | 定めなし | 通算で原則5年まで |
| 家族(配偶者・子) | 「家族滞在」の対象 | 基本的に認められない |
| 永住許可の「就労資格で5年以上」 | 数えられる | 数えられない |
| 転職 | 技人国に当たる活動を続けるなら、在留資格の変更は不要。本人が14日以内に届け出る | 会社か分野が変わるときは、在留資格変更許可が必要。申請中は新しい勤務先で働けない |
| 会社の届出 | 入管への受入れの開始・終了の届出は努力義務(ハローワークに外国人雇用状況の届出をする事業主は対象外) | 年1回の定期届出と、事由が生じてから14日以内の随時届出(義務) |
| 支援 | 支援計画の定めなし | 支援計画を作り、10項目の支援を行う義務。費用は会社が負担する |
通算5年には、働いていない期間や、再入国許可で出国していた期間も含まれます。産前産後・育児休業や、病気・けがによる休業の期間などは、通算から除かれます。5年を超えて働き続けるには、熟練した技能を試験などで証明し、特定技能2号に変更します。2号の対象は11分野で、通算の上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も認められます。
永住許可では、原則として引き続き10年以上在留し、そのうち就労資格か居住資格で引き続き5年以上在留していることが求められます。特定技能1号で在留した期間は、この5年に数えられません。要件の詳細は、永住許可ガイドラインの改定内容にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」、「特定技能制度に関するQ&A」Q9、Q10、Q13、Q28、Q79、「制度説明資料」6頁、「通算在留期間」、「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」Q2、「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」、「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」/出入国管理及び難民認定法 第19条の16、第19条の17、第19条の18、第2条の5第6項
すでに家族滞在で在留している家族はどうなるか
本人が特定技能1号になると、配偶者と子は「家族滞在」の対象から外れます。家族滞在は、扶養する人の在留資格から特定技能1号を除いているためです(入管法別表第一の四の表)。
入管庁は、例外として「特定活動」への変更が認められる場合があるとしています。例の1つに挙げているのは、「留学」から特定技能1号に変更する際に、すでに「家族滞在」で在留している配偶者や子です。特に人道上の配慮が必要である、という理由です。
公表されているQ&Aと運用要領は、技人国からの変更を例に挙げていません。一方、入管庁が審査の取扱いを定めた入国・在留審査要領は、対象として想定する家族を次のように書いています。変更前の在留資格を、留学に限っていません。
- 中長期在留者として在留していた人が特定技能1号に変更する前から、すでに身分関係が成立し、中長期在留者として在留していた配偶者や子
- 特定技能1号の人の子として日本で生まれ、その人の扶養を受ける人
同要領は、1つ目の家族について、次の2つの両方に当たる場合は、地方出入国在留管理局の判断で許可して差し支えないとしています。
- 身分関係(婚姻や親子関係)が成立した日が、本人の特定技能1号への変更許可の日より前である
- 家族が、変更許可の日より前から、本人の扶養を受ける目的で「家族滞在」などの在留資格で在留している
身分関係が先に成立していても、家族が本人の扶養を受けるための在留資格を持っていない場合は、これに当たりません。
日本で生まれた子(母親が中長期在留者である場合)も、同じ扱いです。いずれにも当たらない配偶者や子は、特に人道上の配慮が必要かどうかを、個別の事情に応じて判断するとされています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q9、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)第2章第1節、「在留資格「家族滞在」」、「入国・在留審査要領」第12編第26節「特定活動」/出入国管理及び難民認定法 別表第一の四の表
外食業分野への変更は、原則として不許可
外食業分野の特定技能1号への変更は、2026年4月13日以降に受理された申請が、原則として不許可です。外食業分野の1号の在留者数が、受入れ見込数(受入れの上限)を超えると見込まれたためです。
同じ日以降も審査や許可の対象になるのは、次の3つです。
- 外食業分野の特定技能1号で在留する人の申請(転職等に伴う申請):通常どおり審査
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了して移行する人:審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次許可
- すでに外食業分野の特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けていて移行する人:同上
入管庁の審査状況のページは、上の区分に入らない在留資格からの変更申請について、2026年4月13日以降に受理した申請は原則不許可としています。技人国からの変更は、これに当たります。申請の種類ごとの扱いは、特定技能「外食業」の受入れ停止にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について」(2026年3月27日)、「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年9月10日掲載)
手続きの流れと、許可までの働き方
特定技能の業務を主な活動にできるのは、変更の許可を受けた後です。許可は、新しい在留カードの交付を受けた時に効力を生じます(入管法第20条第4項・第5項)。それまでは技人国の在留資格のままで、行えるのは技人国に当たる活動です。
- 任せたい業務が、特定産業分野の業務区分に当たるかを確かめる
- 本人が、技能試験と日本語試験に合格する
- 会社が、分野の協議会の構成員になる
- 会社と本人が、特定技能雇用契約を結ぶ。会社は支援計画を作り、申請の前に事前ガイダンスを行う
- 本人が、地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を出す
- 許可を受けて、新しい在留カードと指定書を受け取る
指定書には、働くことができる会社と特定産業分野が書かれます。
特定技能1号への変更の審査にかかった日数は、申請の受理から許可までの平均で59.5日でした(2026年7月許可分、外食業分野の申請を除く)。
許可のときに納める手数料は、在留手数料の金額表にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)第3章、第6章、「特定技能制度に関するQ&A」Q14、Q16、「在留審査処理期間(令和8年7月許可分)」/出入国管理及び難民認定法 第19条、第20条
変更するか、業務を技人国の範囲に戻すか
現場の業務が主な活動になる場合は、特定技能への変更のほかに、業務を技人国に当たる内容に戻す方法があります。技人国のまま更新を申請した場合に起こり得ることと、判断の基準は、技人国で申請と違う業務をさせるとどうなるかで説明しています。
変更を申請するのは本人で、特定技能雇用契約を結ぶのも本人です。会社の判断だけで切り替えることはできません。
会社は、変更の申請の前に、本人に事前ガイダンスを行います。雇用契約の内容、日本で行える活動の内容、在留の条件などを伝える支援で、支援計画に書く事項です。雇用条件書は、本人が十分に理解できる言語で作り、本人が内容を十分に理解した上で署名していなければなりません。
ここからは当事務所の考えです。変更は、本人の在留の見通しと家族の生活を変えます。通算5年の上限、家族の在留資格、永住許可への影響の3点は、契約を結ぶ前に本人に伝え、意向を確かめてから進めるのがよいと考えます。
判断に迷う場合は、技術・人文知識・国際業務の申請に関するご相談で、業務内容と要件を一緒に確認します。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)第5章第1節、第6章/特定技能基準省令 第3条第1項第1号イ
よくある質問
特定技能1号に変更した後、技人国に戻せますか?
戻すには、あらためて在留資格変更許可申請を出し、技人国の要件を満たす必要があります。入管庁は、単に特定技能で実務経験を積んだだけでは、技人国の基準の「実務経験」を満たすものとして取り扱わないとしています。
入管庁の説明では、特定技能の人のキャリアアップは、基本的に1号から2号への移行によって行うこととされています。特定技能での実務経験を土台にして、1号から技人国に変更してキャリアアップを図ることは、想定されていません。技人国の要件は、技人国の全体像にまとめています。
在留期限が近く、申請の書類がそろいません。どうすればよいですか?
準備に時間がかかる場合は、「特定活動(6月・就労可)」への変更を申請できます。特定技能1号で働く予定の会社で働きながら、移行の準備をするための在留資格です。
技能試験と日本語試験に合格していることが要件の1つで、合格していない人は対象になりません。この在留資格で在留した期間は、特定技能1号の通算在留期間に含まれます。外食業分野では、この特定活動への変更も、一部の場合を除いて不許可です。
移行があらかじめ見込まれている場合について、入管庁は、できる限り特定技能1号への変更を申請するようお願いしています。
変更の申請中に在留期限が来たら、働き続けられますか?
在留期間の満了日までに申請していれば、技人国の在留資格のまま在留し、従前の活動(技人国に当たる活動)を行えます。期間は、結果が出る時か、満了日から2か月が経過する日が終了する時の、どちらか早い時までです(入管法第20条第6項)。
出典:出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)Q41、「特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)」、「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について」、「特例期間とは?」
まとめ
技人国から特定技能1号への変更は、入管法第20条の在留資格変更許可申請で行えます。許可には、本人の技能試験と日本語試験の合格、業務が特定産業分野の業務区分に当たること、会社が受入れの基準を満たすことが必要です。外食業分野への変更は、2026年4月13日以降に受理された申請が原則として不許可です。
変更すると、在留期間は通算で原則5年までになり、配偶者と子は「家族滞在」の対象から外れます(例外として「特定活動」が認められる場合があります)。会社には、支援と届出の義務が生じます。
まずは、任せたい業務が特定技能の業務区分に当たるかを確かめてください。そのうえで、変更で変わる点を本人に伝え、変更するか、業務を技人国に当たる内容に戻すかを決めます。
参考資料
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(2026年8月)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「制度説明資料(外国人労働者に関する制度概要)」(2026年9月29日更新)
- 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(2026年7月)
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正2026年6月)
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」、「特例期間とは?」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」、「在留資格「家族滞在」」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「通算在留期間」(2026年6月17日更新)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について」(2026年3月27日)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年9月10日掲載)
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)
- 出入国在留管理庁「入国・在留審査要領」第12編第26節「特定活動」(リンクなし)
- 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第2条の5、第19条、第19条の16〜第19条の18、第20条、別表第一
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(上陸基準省令)特定技能の項
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(特定技能基準省令)第1条〜第3条




