特定技能ビザとは?1号・2号の違い、対象19分野、取得要件を行政書士が解説【2026年最新】
特定技能ビザは2019年に始まった比較的新しい制度で、毎年のように対象分野の追加や要件の変更が行われています。2026年1月には対象が19分野に拡大された一方で、外食業は受入停止になるなど、分野ごとに状況が大きく異なります。
「自社で受け入れられるのか」「1号と2号はどう違うのか」「どうやって採用すればいいのか」——この記事では、特定技能の制度全体を一つずつ整理していきます。
特定技能1号と2号——何が違うのか
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。大きな違いは在留期間の上限、家族の帯同、永住申請への道の3点です。
在留期間
特定技能1号の在留期間は通算で5年が上限です。「通算」とは、特定産業分野を問わず、在留資格「特定技能1号」で実際に日本に在留した期間を合算したものです。途中で出国して再入国した場合でも、過去の在留期間が含まれます。
なお、妊娠・出産・育児・病気やけが等のやむを得ない事情で業務に従事できなかった期間は、通算在留期間に含めない取り扱いがあります。
特定技能2号には在留期間の上限がありません。1回の在留許可は3年・1年・6ヶ月のいずれかで、何度でも更新が可能です。
家族帯同
特定技能1号では、原則として家族の帯同(配偶者・子の「家族滞在」ビザ)は認められていません。
特定技能2号では、配偶者と子の帯同が認められます。
永住申請への道
特定技能1号は在留期間が通算5年で終了するため、1号のままでは永住申請に必要な在留年数を積むことが難しい場合があります。
特定技能2号は在留期間に上限がなく、長期間日本に在留し続けることが可能です。素行善良要件や独立生計要件など他の永住許可の条件を満たせば、将来的に永住申請を行える可能性があります。
支援計画
特定技能1号の受入機関は、外国人に対する日常生活上・職業生活上・社会生活上の支援を行うための「1号特定技能外国人支援計画」を策定し、実施する義務があります。自社で支援体制を整えられない場合は、登録支援機関に委託することができます。
特定技能2号では支援計画の策定・実施は不要です。
転職
特定技能外国人は、同一の特定産業分野内であれば転職が可能です。ただし、転職する場合は在留資格変更許可申請が必要になります。
1号と2号の比較まとめ
- 在留期間:1号は通算5年 / 2号は上限なし
- 家族帯同:1号は不可 / 2号は可能(配偶者・子)
- 永住申請:1号は困難 / 2号は可能性あり
- 支援計画:1号は必要 / 2号は不要
- 技能水準:1号は「相当程度の知識又は経験」/ 2号は「熟練した技能」
- 対象分野:1号は19分野 / 2号は11分野
- 転職:同一分野内で可能(1号・2号共通)

対象19分野と仕事内容【2026年最新】
2026年1月23日の閣議決定により、新たに3分野が追加され、特定技能の対象は19分野となりました。受入見込数は2029年度末までの5年間で123万1,900人です。
特定技能1号の対象19分野
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 自動車運送業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
- リネンサプライ(2026年追加)
- 物流倉庫(2026年追加)
- 資源循環(2026年追加)
特定技能2号の対象分野
特定技能2号は上記のうち介護を除く分野が対象です。介護分野については、別の在留資格「介護」への移行ルートが用意されているため、特定技能2号の対象外となっています。
外食業の新規受入が原則停止(2026年4月〜)
外食業分野については、在留者数が政府の設定する受入見込数の上限に達する見込みとなったことから、2026年4月13日以降、新規の受入れが原則停止されています。当事務所でも就労ビザの申請サポートを行っており、外食業を含む各分野の最新の受入状況についてご案内しています。

特定技能ビザの取得方法——2つのルート

特定技能1号を取得するには、原則として以下のいずれかのルートがあります。
ルート1:試験ルート
技能試験と日本語試験の両方に合格する方法です。
- 技能試験:従事しようとする分野ごとに定められた技能試験に合格する
- 日本語試験:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する
なお、介護分野では上記に加えて介護日本語評価試験の合格も必要です。また、自動車運送業分野と鉄道分野(運輸係員に限る)については、N3レベルの日本語能力が求められます。
ルート2:技能実習ルート
技能実習2号を良好に修了した場合、従事しようとする業務と修了した技能実習の職種・作業に関連性が認められれば、技能試験と日本語試験が免除されます。
「良好に修了」とは、技能実習を2年10ヶ月以上修了し、技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること等を指します。
特定技能2号への移行
特定技能2号を取得するには、各分野で定められた「特定技能2号評価試験等」に合格する必要があります。1号よりも高い技能水準(「熟練した技能」)が求められ、自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ熟練した技能で業務を遂行できる水準が求められます。
受入機関(企業側)の要件

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、以下の基準が求められます。
受入機関になれないケース(欠格事由)
以下に該当する企業は、特定技能外国人を受け入れることができません。
- 5年以内に出入国・労働関係法令で不正行為があった場合
- 社会保険・労働保険の加入義務を果たしていない場合
- 技能実習において改善命令や事業停止命令を受けた場合
- 1年以内に受入機関の責めに帰すべき事由により、特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を発生させている場合
2026年4月の技人国ビザの指針改定では、技能実習・特定技能で暴行・賃金未払い等により5年間受入停止となった事業者は、技人国での受入れも認められないクロスチェック体制が導入されています。
協議会への加入
各分野ごとに設置される協議会に加入することが必要です。入国・在留審査要領にも「分野の該当性については、基本的に分野ごとに設置される協議会への加入にあたって判断される」と記載されており、協議会の構成員であることの証明書が申請時に求められます。
雇用契約の基準
- 原則としてフルタイム・直接雇用であること(分野の特性に応じ、一部派遣も認められる)
- 所定労働時間が通常の労働者と同等であること
- 報酬が日本人と同等以上であること
- 外国人であることを理由とした差別的な取扱いをしないこと
- 一時帰国を希望した場合に有給休暇を取得させること
支援計画(1号の場合)
特定技能1号を受け入れる場合、受入機関は支援計画を策定し、以下のような支援を実施する義務があります。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国時の送迎
- 生活に必要な契約の支援(住居の確保、銀行口座、携帯電話等)
- 生活オリエンテーションの実施
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
自社で支援体制を整えられない場合は、登録支援機関に支援の全部を委託することができます。
登録支援機関とは
登録支援機関は、受入機関との委託契約に基づき、1号特定技能外国人への支援を行う法人または個人で、出入国在留管理庁長官の登録を受けた者です。受入機関に代わって支援計画の実施を行います。
なお、2026年1月1日施行の行政書士法改正により、行政書士以外の者が報酬を得て入管への申請書類を作成することが明確に禁止されています。登録支援機関は申請書類を入管に「取り次ぐ」ことはできますが、書類を「作成する」ことはできません。申請書類の作成は行政書士に依頼する必要があります。
在留期間の更新
特定技能は在留期間の更新手続きが必要です。更新申請は在留期限の3ヶ月前から可能で、審査期間は通常1〜3ヶ月程度です。在留期限までに申請を済ませていれば、結果が出るまでの間は引き続き在留が認められる特例期間があります。更新手続きの詳細は別の記事で解説します。
申請の流れ

海外から呼び寄せる場合(在留資格認定証明書交付申請)
海外にいる外国人を日本に呼び寄せる場合は、受入機関(または取次行政書士)が入管に在留資格認定証明書の交付を申請します。交付されたCOEを外国人に送付し、現地の日本大使館・領事館でビザを取得して入国します。
なお、申請人の国籍がカンボジア・タイ・ベトナムの場合は、各国の送出手続きに基づく書類の提出が追加で必要です。国によって必要書類が異なるため、事前の確認が重要です。
国内で変更する場合(在留資格変更許可申請)
留学ビザや技能実習からの変更など、既に日本に在留している外国人が特定技能に変更する場合は、在留資格変更許可申請を行います。
届出の簡素化(2025年4月〜)
受入機関と登録支援機関が提出する定期届出は、2025年4月以降、従来の3ヶ月ごとから年1回に変更されています。
2027年の育成就労制度——特定技能への影響

2027年4月から、現行の技能実習制度が廃止され、「育成就労制度」に移行します。
育成就労制度は、特定技能1号への移行を前提とした制度として設計されており、「育成就労→特定技能1号→特定技能2号」という新たなキャリアパスが形成されることになります。
技能実習と異なり、育成就労制度では一定の条件のもとで本人の意向による転籍(転職)も認められる方向です。
特定技能の受入れを検討している企業にとっては、2027年以降の制度移行を見据えた採用計画が重要になります。
よくある質問
Q. 特定技能と技人国ビザの違いは?
技人国(技術・人文知識・国際業務)は、大学卒業等の学歴や10年以上の実務経験が求められ、専門的な知識・技術を活かす業務が対象です。単純労働は認められません。一方、特定技能は学歴要件がなく、技能試験と日本語試験に合格すれば取得できます。現場業務を含む幅広い業務に従事できる点が特徴です。
Q. 特定技能1号から2号に移行するにはどうすればいいですか?
各分野で定められた特定技能2号評価試験等に合格し、在留資格変更許可申請を行います。1号より高い技能水準(「熟練した技能」)が求められます。
Q. 特定技能外国人は転職できますか?
同一の特定産業分野内であれば転職可能です。ただし、転職する場合は在留資格変更許可申請が必要です。
Q. 受入機関はどんな支援をしなければなりませんか?
特定技能1号の場合、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談対応などの支援が義務づけられています。自社で対応できない場合は登録支援機関に委託できます。
Q. 登録支援機関に委託する場合の費用は?
登録支援機関への委託費用は機関によって異なりますが、一般的に月額2万〜5万円程度(外国人1人あたり)が目安です。支援内容や対応言語によって変動します。
Q. 特定技能と技能実習は何が違いますか?
最大の違いは制度の目的です。技能実習は「技能移転による国際協力」が目的で、特定技能は「人手不足分野での即戦力の確保」が目的です。特定技能は同一分野内での転職が認められていますが、技能実習は原則として転職できません。なお、技能実習は2027年4月に廃止され、育成就労制度に移行する予定です。
Q. 特定技能の審査期間はどのくらいですか?
在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)は1〜3ヶ月程度、在留資格変更許可申請(国内で変更する場合)は2週間〜1ヶ月程度が目安です。1月〜3月は申請が集中するため、通常より時間がかかることがあります。
Q. 特定技能外国人の受入れにかかる費用の目安は?
主な費用は、行政書士への申請報酬(認定申請で9万〜15万円程度)、登録支援機関への委託費(月額2万〜5万円/人)、渡航費用(海外採用の場合)、技能試験・日本語試験の受験費用等です。企業の規模や採用ルートによって大きく異なります。
Q. 特定技能で働ける期間が終わったらどうなりますか?
特定技能1号の通算5年が終了した場合、特定技能2号への移行、他の在留資格への変更、または帰国のいずれかになります。2号に移行できれば在留期間の上限はなくなります。2号への移行には各分野の評価試験等に合格する必要があります。
Q. 特定技能1号の通算5年には、出国期間も含まれますか?
再入国許可による出国期間も、特定技能1号で在留している期間として通算在留期間に計上されます。ただし、妊娠・出産・育児・病気やけが等のやむを得ない事情で業務に従事できなかった期間は、通算在留期間に含めない取り扱いがあります。
Q. 小規模企業でも特定技能外国人を受け入れられますか?
企業の規模に関する要件はありません。個人事業主でも受入れは可能です。ただし、社会保険・労働保険への加入、日本人と同等以上の報酬、支援計画の策定(または登録支援機関への委託)等の基準を満たす必要があります。
まとめ
- 特定技能は2019年創設の在留資格。人手不足分野での外国人就労を認める制度
- 1号は通算5年・家族帯同不可・支援計画必要。2号は上限なし・家族帯同可・支援計画不要
- 2026年1月の閣議決定で対象分野が19分野に拡大。受入見込数は5年間で123万人
- 取得ルートは「試験ルート」と「技能実習ルート」の2つ
- 受入機関には直接雇用・同等報酬・支援計画策定等の義務がある
- 2027年4月から育成就労制度が開始。技能実習→特定技能の新たなキャリアパスが形成される
- 外食業の新規受入れは2026年4月13日以降、原則停止




