行政書士法改正【2026年1月施行】登録支援機関・受入れ企業は在留資格の申請書類を作成できるか

日高 拓郎
日高 拓郎行政書士(申請取次)
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行政書士法改正【2026年1月施行】登録支援機関・受入れ企業は在留資格の申請書類を作成できるか

※この記事は、2026年10月9日時点の法令と、総務省・出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。

2026年1月1日に、改正行政書士法が施行されました。行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、名目を問わず報酬を得て、官公署に出す書類の作成を業として行えません(弁護士など、他の法律に定めがある場合を除く)。

改正で条文に加わったのは「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言です。条文に「登録支援機関」という語はありません。この記事では、登録支援機関、人材紹介会社、受入れ企業が在留資格の申請書類を作成できる場合とできない場合を、条文と公表資料の範囲で説明します。

目次
  1. 2026年1月1日の改正で変わった条文
  2. 禁止されているのは、誰のどの行為か
  3. 申請取次と書類の作成は別の行為
  4. 場面ごとの整理:作成できる場合、できない場合
  5. 支援委託料に書類作成を含めている契約
  6. 違反したときの罰則と、登録支援機関の登録への影響
  7. 施行の前後に出ている公的な資料
  8. よくある質問
  9. まとめ
  10. 参考資料

2026年1月1日の改正で変わった条文

この記事に関わる改正は、行政書士でない者の業務を制限する第19条第1項と、罰則の第21条の2・第23条の3です。ほかに、使命・職責の規定の新設と、特定行政書士の業務範囲の拡大があります。改正法(令和7年法律第65号)は2025年6月13日に公布され、2026年1月1日に施行されました。

条文改正前改正後(2026年1月1日施行)
第19条第1項(業務の制限)の本文行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。
業務を定める条第1条の2第1条の3(条番号が1つ繰り下がった。文言は同じ)
第19条第1項に違反したときの罰則第21条第2号:1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金第21条の2:1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
両罰規定(第23条の3)対象は第23条の2第1号の違反行為対象に第21条の2(第19条第1項違反)などが加わった

出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律 新旧対照表」、「行政書士法の一部を改正する法律要綱」

第19条第1項のただし書(他の法律に別段の定めがある場合など)は、改正されていません。

総務省は、この改正を「趣旨の明確化」と説明しています。行政書士や行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、「手数料」や「コンサルタント料」などどのような名目でも、対価を受け取って業として書類を作成することは違法である。この改正前からの解釈を、条文に明示したものです。

出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」(令和7年6月13日付総行行第281号)

禁止されているのは、誰のどの行為か

禁止されているのは、行政書士または行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て、業として、官公署に提出する書類などを作成することです。条文の主語は「行政書士又は行政書士法人でない者」で、業種を限っていません。

第19条第1項に当たる条件(条文の文言)
  • 行政書士又は行政書士法人でない者が
  • 他人の依頼を受け
  • いかなる名目によるかを問わず報酬を得て
  • 業として
  • 官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成する(第1条の3の業務)

在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の申請書は、地方出入国在留管理局に提出する書類です。登録支援機関、人材紹介会社、受入れ企業は、行政書士でも行政書士法人でもなければ、この条文の主語に当たります。

条文には、当たらない場合も書かれています。

場合根拠
他の法律に別段の定めがある場合(入管庁の注意書きは、弁護士を対象から除いている)第19条第1項ただし書
総務省令で定める手続について、総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合(自動車の登録などの手続。在留資格の手続は入っていない)第19条第1項ただし書、行政書士法施行規則第20条

入管庁も、申請取次の案内の中で注意を書いています。弁護士と行政書士以外の人が、官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがある、という内容です。

出典:行政書士法 第1条の3、第19条第1項(e-Gov法令検索)、出入国在留管理庁「申請等取次者としての承認手続」

申請取次と書類の作成は別の行為

登録支援機関の職員に認められているのは、申請書と資料を入管に提出する「取次ぎ」です。書類の作成は、取次ぎに含まれません。

申請等取次制度は、本人が地方出入国在留管理局に出頭するという原則の例外です。地方出入国在留管理局長が適当と認めた人が、本人に代わって申請書などを提出します。

取次ぎ書類の作成
内容申請書や資料の提出などの事実行為申請書などの書類そのものを作ること
根拠入管法施行規則第6条の2第4項(認定)、第59条の4第4項・同条第2項第1号イ(変更・更新)行政書士法第1条の3、第19条第1項
登録支援機関の職員支援計画の全部の実施を委託され、地方出入国在留管理局長が適当と認めた職員はできる他人の依頼を受け、報酬を得て、業として行うことはできない

入管庁は、取次ぎをする人は申請人として署名したり、記載内容を直接訂正したりできない、と案内しています。受入れ企業の職員が申請等取次者の承認を受けた場合も、同じです。

出典:出入国在留管理庁「申請等取次制度」、「申請等取次者としての承認手続」、「申請等取次制度の概要」(令和7年10月)

場面ごとの整理:作成できる場合、できない場合

分かれ目は、「他人の依頼」かどうか、作成の対価を受け取っているかどうか、業として行っているかどうかです。下の表は、条文と公表資料に書かれていることと、当事務所の整理を分けて示しています。

場面扱い根拠の区分
受入れ企業が、自社の雇用契約書や会社の資料を自社で作る第19条第1項に当たらない。同項は「他人の依頼を受け」が条件条文+当事務所の整理
受入れ企業の職員が、在留資格認定証明書交付申請を代理人として行うできる。受入れ機関の職員は代理人として申請できる入管法第7条の2第2項、入管庁
登録支援機関や人材紹介会社が、依頼を受け、対価を得て、業として申請書類を作成するできない条文、入管庁の注意書き
対価を別の名目(手数料、コンサルタント料など)で受け取って作成するできない。名目は問わない条文、総務省の通知
対価を一切受け取らずに作成する第19条第1項は「報酬を得て」が条件。ほかの料金に作成の対価が含まれていれば、報酬を得たことになり得る条文+当事務所の整理
利用者が自分の判断で入力する入力フォームやシステムを提供する書類の作成者は利用者本人で、業として作成したとの評価まではされないと考えられる(照会された事業を前提にした回答)総務省の回答(2025年2月6日)
書類を作るための基礎や参考になる資料を提供する資料の提供にとどまる限り、書類の「作成」に当たらないと考えられる(補助金申請の支援についての照会への回答)総務省の回答(2025年10月10日)

総務省の2つの回答は、産業競争力強化法に基づく照会への回答で、照会された事業の内容が前提です。2025年10月10日の回答は、事業の実施が書類の作成にならないよう留意することも求めています。

書類の記載内容への助言や点検がどこから「作成」になるかを示した公表資料は、確認できていません(2026年10月9日時点)。第19条第1項が制限するのは第1条の3の業務(書類の作成)で、相談に応じること(第1条の4第1項第4号)は挙がっていません。

出典:総務省「新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表(令和7年2月6日回答)」、「同(令和7年10月10日回答)」、行政書士法 第1条の3、第1条の4、第19条第1項

支援委託料に書類作成を含めている契約

支援委託料という名目でも、その中に書類作成の対価が含まれていれば、「報酬を得て」に当たります。条文が「いかなる名目によるかを問わず」としているためです。

入管庁と総務省の公表資料で、支援委託料そのものに触れたものは確認できていません(2026年10月9日時点)。日本行政書士会連合会は、2019年3月29日の会長声明で見解を示しています。登録支援機関が、作成の報酬を「他の業務等に係る報酬と包括して得る場合」も、行政書士法に違反するという内容です。

条文の条件に照らすと、個別の契約が違反に当たるかどうかは、契約書の名目ではなく、誰が書類を作成し、対価が何に対して支払われたかで決まります(当事務所の整理)。

契約を見直すときの確認点(当事務所の整理)
  • 申請書類を実際に作成しているのは誰か(受入れ企業、本人、登録支援機関の職員、行政書士・弁護士)
  • 支援委託契約の業務の範囲に、申請書類の作成が入っていないか
  • 書類の作成を行政書士に依頼する場合、依頼と報酬の支払いが、依頼者と行政書士の間で行われているか

契約の内容や書類の作り方によって当てはめが変わるため、詳しくは特定技能ビザの申請サポートのご相談の際に確認いたします。

2027年4月1日からは、1号特定技能外国人の支援の委託先が登録支援機関に限られます。特定技能ビザの全体像にまとめています。

出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」、日本行政書士会連合会「【会長声明】登録支援機関の職員が行う申請取次ぎに関する声明」(2019年3月29日)

違反したときの罰則と、登録支援機関の登録への影響

第19条第1項に違反すると、違反行為をした者は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処されます。法人の業務に関して違反したときは、法人にも100万円以下の罰金刑が科されます。

対象罰則条文
違反行為をした者1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金第21条の2
その法人又は人(代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して違反行為をしたとき)100万円以下の罰金刑第23条の3

行為者への罰則の重さは、改正前と同じです。法人などへの罰金刑(両罰規定)は、2026年1月1日以降の行為から対象になりました。施行前にした行為には、改正前の罰則が適用されます(改正法附則第2条)。

登録支援機関は、刑の種類によって登録への影響が変わります。

刑登録への影響根拠
拘禁刑以上(個人で登録している本人、または法人の役員が受けた場合)登録の拒否事由に当たる(刑の執行を終えた日などから5年)。登録後に当たれば、出入国在留管理庁長官は登録を取り消すことができる入管法第19条の26第1項第1号、第19条の32第1項第1号
罰金刑第2号の拒否事由には当たらない。罰金刑が拒否事由になるのは、入管法、技能実習法、政令で定める労働関係の法律など(第2号〜第4号)で、行政書士法は入っていない入管法第19条の26第1項第2号、入管法施行令第5条
法人の役員が拒否事由に当たる法人も拒否事由に当たる入管法第19条の26第1項第12号

登録を取り消されると、取消しの日から5年間は登録を受けられません(同項第7号)。

拒否事由には「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」(同項第9号)もあります。行政書士法違反がこれに当たるかを示した入管庁の資料は、確認できていません(2026年10月9日時点)。

出典:行政書士法 第21条の2、第23条の3、出入国管理及び難民認定法 第19条の26、第19条の32(e-Gov法令検索)

施行の前後に出ている公的な資料

公表されているのは、制度の説明と注意の呼びかけです。在留資格の申請書類についての摘発や処分を、総務省や入管庁が公表した資料は確認できていません(2026年10月9日時点)。

発行元内容
総務省改正法の説明を「行政書士制度」のページに掲載。各府省と地方公共団体に、行政書士でない者の関与を防ぐ取組を依頼(2025年6月13日の通知。別添資料は2026年1月1日に一部更新)
入管庁申請取次の案内ページに、書類の作成についての注意書きを掲載(掲載の時期は書かれていない)
日本行政書士会連合会改正の趣旨についての会長談話(2025年11月1日)。自動車登録の手続で違反になると考えられる例の公開(2026年7月29日)

日本行政書士会連合会が例を公開しているのは、自動車登録の手続です。在留資格の手続について同じ形の資料は、確認できていません(2026年10月9日時点)。

出典:総務省「行政書士制度」、日本行政書士会連合会「【会長談話】行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」、「自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について」

よくある質問

2025年までの行為に、改正後の罰則は適用されますか?

施行前の行為には、改正前の罰則が適用されます(改正法附則第2条)。総務省は、対価を受け取って業として書類を作成することは改正前から違法と解釈されていた、と説明しています。改正前は、法人などへの両罰規定の対象ではありませんでした。

登録支援機関に行政書士が在籍していれば、作成できますか?

在籍しているだけで作成できる、とは条文から言えません(当事務所の整理)。依頼を受けて報酬を得るのが登録支援機関であれば、第19条第1項の主語は登録支援機関です。行政書士法の条文に、行政書士が使用人として業務に従事できる先として挙がっているのは、他の行政書士と行政書士法人です(第1条の5)。

まとめ

2026年1月1日施行の改正で、行政書士法第19条第1項に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言が加わりました。行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、支援委託料や手数料などの名目でも、対価を得て業として在留資格の申請書類を作成できません(他の法律に定めがある場合を除く)。違反した者には1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、法人には100万円以下の罰金刑が定められています。

登録支援機関の職員に認められているのは提出の取次ぎで、受入れ企業が自社の書類を自社で作ることは制限されていません。まずは、申請書類を実際に誰が作成しているか、支援委託契約の業務の範囲に書類の作成が入っていないかを確かめてください。

参考資料

執筆者

日高 拓郎
日高 拓郎

行政書士(申請取次)。ジプニー行政書士事務所 代表。千葉行政書士会所属(登録番号 第25101585)。
フィリピンの現地法人で責任者を務めた後、2023年に株式会社ジプニー(登録支援機関)を創業。2025年にジプニー行政書士事務所を開業。

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