2026年(令和8年)1月23日、政府は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の改訂を発表しました。 今回の発表では、一部の制度不適正利用やルール逸脱に対処するため、主要な在留資格の審査および管理を大幅に厳格化する方針が打ち出されています。
ジプニー行政書士事務所として、特に関心の高い5つのポイントを分かりやすく解説します。
「経営・管理」:実態調査の徹底と納税情報の連携
これまでは書類審査が中心でしたが、今後は「事業の実態」がより厳しく問われます。
- 同一ビルへの集中にメス: 小規模な事務所が同じビルに密集しているケースなどは、ペーパーカンパニーの疑いがあるとして、優先的に実態調査(現地確認)が行われます。
- 国税庁との連携: 納税義務の違反がある場合、国税庁から入管庁へ情報が提供される範囲が拡大されます。税金を納めていない場合、更新や変更は極めて困難になります。
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」:派遣実態の把握
ホワイトカラーの就労ビザにおいても、適正化が進められます。
- 単純労働の防止: 認められた専門業務(エンジニア、通訳、デザイナー等)ではなく、実態として単純労働に従事していないか、受入れ機関や派遣先への調査が強化されます。
- 申請書類の見直し: 資格外活動を防止するため、申請時に提出する書類そのものの見直しも検討されています。
「留学」:マイナンバーによるオーバーワークの把握
留学生のアルバイト(資格外活動)に関する管理がデジタル化されます。
- 所得情報の照会: 2027年(令和9年)から開始予定のシステム連携により、マイナンバーを通じて留学生の所得情報がチェックされます。これにより、複数のバイト先で週28時間を超えて働いているケースが即座に判明するようになります。
- 教育機関の責任: 出席率だけでなく、資格外活動の状況を把握・指導していない教育機関に対しても厳しい目が向けられます。
「永住者」:許可後の「取消し」運用が本格化
永住権は「取ったら終わり」ではなくなります。
- 取消事由の追加: 2027年4月の施行に向け、「故意に税金や社会保険料を支払わない」「入管法違反」などによる永住許可の取消し基準(ガイドライン)が策定されます。
- 日本語要件の検討: 今後の課題として、永住申請時に日本語習得や社会ルールに関する学習プログラムの受講を条件とすることも検討されています。
「帰化」:在留期間「10年」が原則に?
日本国籍の取得についても、永住審査との整合性が図られます。
- 居住要件の厳格化: 現在、帰化に必要な在留期間は原則5年以上ですが、永住許可(原則10年)とのバランスを考慮し、「原則10年以上の在留」を求める方向で検討が進められています。
- 社会への融和: 日本社会のルールを遵守し、融和しているかどうかがより厳しく個別審査されます。
マイナンバーカード活用で「在留管理DX」が加速
今回の対応策で特に注目すべきは、マイナンバーを活用した在留管理のデジタル化(DX)です。これまでのアナログな手続きが大きく変わり、利便性が向上する一方で、情報の透明性が飛躍的に高まります。
1. 在留カードとマイナンバーカードの原則一体化
2026年(令和8年)6月14日から、在留カードとマイナンバーカードの機能を1枚に集約した「特定在留カード」の運用が開始されます。
- 手続きのワンストップ化: 住所変更などの際に、入管と市区町村の双方で手続きを行う手間が軽減されます。
- 取得は任意: 現時点では義務ではありませんが、政府は将来的に「原則として全ての在留外国人が取得する」ことを目指し、所属機関(会社や学校)を通じた取得支援を検討しています。
2. 公共サービスメッシュによる「情報の直接連携」
2027年(令和9年)3月以降、マイナンバーを介した「公共サービスメッシュ」の活用により、入管庁が関係機関から直接以下の情報を取得できるようになります。
- 健康保険料・国民年金・住民税の納付状況
- 医療保険の被保険者資格情報
これにより、更新申請時に納税証明書などの提出を省略できるようになるメリットがある反面、未納や滞納がある場合は隠すことができず、即座に審査に影響することになります。
出典・参考資料について
本記事の内容は、政府より発表された以下の公的資料に基づいています。詳細な施策番号や具体的な実施スケジュールを確認したい方は、リンク先をご参照ください。
- 出典: 「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」 (令和8年1月23日 外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議決定)
- 資料本文: 「総合的対応策 本文(PDF)」
ジプニー行政書士事務所からのアドバイス
今回の政府決定は、「ルールを守って真面目に生活・事業をしている外国人には安心を、そうでない者には厳正な対処を」という国の方針がより鮮明になったものです。
入管庁が掲げる「在留管理DX」の推進により、今後はマイナンバーを通じて納税や社会保険の状況がリアルタイムに、かつ正確に把握されるようになります。これは、手続きが簡略化されるという「利便性」の裏側で、公的義務を果たしていない場合にはこれまで以上に許可が下りにくくなる「審査の厳格化」を意味しています。
特に「経営・管理」や「永住・帰化」を検討されている方は、以下の2点が今後の成否を分ける鍵となります。
- 公的義務の完全な履行: 税金、年金、健康保険に未納や遅延がないか。
- 事業・生活実態の証明: 書類上の整合性だけでなく、実際に事業が行われ、日本社会に融和しているか。
令和8年以降、スムーズな在留手続きのために
マイナンバーによる情報連携が本格化する前に、ご自身の現在の在留状況や公租公課の納付状況を一度棚卸ししておくことを強くお勧めします。
「自分のケースは今の基準で大丈夫かな?」 「マイナンバー連携が始まる前に永住を申請すべき?」 「特定在留カードへの切り替えはどうすればいい?」
このような不安をお持ちの方は、ぜひお早めに当事務所へご相談ください。 最新のガイドラインに基づき、法改正の波に翻弄されない「適正な在留管理」を全力でサポートいたします。

