※この記事は、2026年10月9日時点の法令と、出入国在留管理庁(入管庁)・内閣官房の公表資料に基づいています。
技人国(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)で、技人国に当たらない現場作業や単純作業が主な活動になると、技人国に当たらないと判断されます。在留期間の更新が不許可になる可能性があり、在留資格の取消しや、会社側の不法就労助長罪の対象にもなり得ます。
一方、採用当初などの実務研修は、条件つきで認められています。この記事では、申請した業務内容と実際の業務のズレ(名目と実態の乖離)について、判断の基準、入管庁の不許可事例、業務が変わるときの手続きを説明します。
目次
申請と違う業務をさせると、何が起こり得るのか
技人国に当たらない業務が主な活動になっていると、在留期間の更新が不許可になる可能性があります。入管法には、在留資格の取消しと罰則の規定もあります。
| 対象 | 起こり得ること | 条件と根拠 |
|---|---|---|
| 外国人本人 | 在留期間の更新が不許可になる | 技人国に当たらない業務が、結果的に在留における主たる活動になっていると判明したような場合。入管庁は「不許可とする等の措置がとられる可能性があります」としている(ホテル・旅館についての別紙5) |
| 外国人本人 | 在留資格の取消し | 技人国の活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い、または行おうとして在留している場合。正当な理由がある場合を除く(入管法第22条の4第1項第5号) |
| 外国人本人 | 罰則 | 資格外活動の許可を受けずに、技人国の活動に属しない報酬を受ける活動を行った場合。1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方(入管法第19条第1項、第73条) |
| 会社 | 不法就労助長罪 | 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた場合(入管法第73条の2第1項第1号) |
在留資格の取消しと、罰則の中身
在留資格の取消しについて、条文は、法務大臣が「取り消すことができる」としています。
取消しの理由には、技人国の活動を継続して3か月以上行わないで在留している場合(正当な理由がある場合を除く。同項第6号)や、偽りその他不正の手段で許可を受けた場合(同項第2号)もあります。入管庁は、第2号の例として、単純労働を行おうとする人が「技術」の在留資格に当たる活動を行うと申告した場合を挙げています。
本人の罰則は、技人国に属しない活動を「専ら行っていると明らかに認められる」場合に重くなります。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方で、退去強制の対象にもなります(入管法第70条第1項第4号、第24条第4号イ)。
入管庁はQ&Aで、派遣先で技人国に当たらない業務に従事させた場合、派遣元と派遣先のいずれも同罪に「該当し得る」と説明しています。罰則の内容は、不法就労助長罪の解説にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)」1、「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」、「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)Q42・Q43、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第19条、第22条の4、第24条、第70条、第73条、第73条の2
技人国に当たるかどうかは、どう判断されるのか
入管は、在留期間中の活動を全体として捉えて判断します。技人国に当たる活動がごく一部で、残りが特段の技術や知識を要しない業務や、反復訓練で従事できる業務である場合は、技人国に当たらないと判断されます。
自然科学や人文科学の分野の業務は、学術上の素養を背景とする、一定水準以上の専門的能力を必要とする活動でなければなりません。入管庁は、一般的に対象にならない業務内容として、次の2つを挙げています。
- 求人の際の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます。」と記載のあるような業務内容
- 上陸許可基準に定められた学歴や実務経験の要件を満たしていない日本人従業員が、一般的に従事している業務内容
入管庁のQ&Aも、技人国では「一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められません」と答えています。
入管庁の明確化の文書とQ&Aは、「ごく一部」「大半」「主たる活動」という言葉で説明しています。現場の業務が何割までなら認められる、という数字は載っていません(2026年10月時点)。
出典:出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)1(2)ア・ウ、「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)Q39
一時的な現場業務と実務研修が認められる条件
採用当初などの実務研修は、条件つきで認められています。一時的に技人国に当たらない業務を行わざるを得ない場合は、「直ちに問題とされるものではない」とされています。入管庁は、それぞれの扱いを次のように示しています。
| 場面 | 入管庁の扱い |
|---|---|
| 業務の途中で、一時的に技人国に当たらない業務を行わざるを得ない(ホテル・旅館についての記載) | 入管法上、直ちに問題とされるものではない。結果的にその業務が在留における主たる活動になっていると判明したような場合は、更新を不許可とする等の措置がとられる可能性がある |
| 採用当初などの実務研修として、飲食店での接客、小売店の店頭での販売、工場のライン業務などを行う | 日本人の大卒社員等にも同様に行われる実務研修の一環で、在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めないときは、相当性を判断した上で技人国の範囲内で認める |
| 実務研修が、採用から1年を超える | 研修計画の提出を求め、実務研修期間の合理性を審査する |
| 実務研修が外国人社員だけに設定されている。または日本人社員と差がある | 合理的な理由(日本語研修を目的としたものなど)がある場合を除き、相当性があるとは認められない |
実務研修で確かめる点
明確化の本文は、この研修が、今後技人国に当たる業務を行う上で「必ず必要となるもの」であることも挙げています。
一時的な業務の例として入管庁が挙げているのは、フロント業務の最中に団体客のチェックインがあり、急きょ宿泊客の荷物を部屋まで運ぶことになった場合です。
実務研修でいう「在留期間中」は、1回の許可で決まる在留期間のことではありません。雇用契約書や研修計画から想定される、技人国で在留する期間の全体を指します。
雇用期間の定めがない常勤の職員なら、在留期間「1年」の全部が実務研修になることも想定されています。雇用契約が3年間だけで更新の予定もない場合に、採用から2年間を実務研修にする申請は認められません。
実務研修の期間がある場合、在留資格を決定するときなどの在留期間は、原則として「1年」です。更新のときに当初の予定を超えて実務研修を続けている場合は、事情の説明が必要です。合理的な理由がなければ、更新は認められません。
契約期間の途中に、キャリアステップの一環として行う実務研修も、同様に扱われます。
出典:出入国在留管理庁「別紙1(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について)」、「別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)」1
入管庁が公表している不許可事例
入管庁の不許可事例では、申請書に書かれた職種名ではなく、実際に行う業務の中身が確認されています。次の表は、申請で説明された業務と、確認された中身が食い違っていた事例です。いずれも申請の段階で不許可になったものです。
| 申請で説明された業務 | 確認された中身 | 事例の番号 |
|---|---|---|
| ホテルに採用される | 詳細な資料を求めたところ、主たる業務が宿泊客の荷物の運搬と客室の清掃だった | 別紙5 不許可① |
| ホテルのフロント業務 | 採用後最初の2年間は、実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定だった | 別紙5 不許可⑥ |
| ホテルのフロントスタッフ(予約管理、通訳)。入社当初の1年間は研修で配膳・客室清掃にも従事 | 同じホテルで過去に同様の理由で採用された外国人が、研修の予定を大幅に超えて配膳・客室清掃を続けていた | 別紙3 3-1 不許可(7) |
| 派遣先での翻訳・通訳 | 労働者派遣契約書の職務内容は「店舗スタッフ」。派遣先は小売店で、接客販売に従事させるとの説明だった | 別紙3 3-1 不許可(8) |
| 工場での部品の加工、組み立て、検査、梱包 | 同じ工場の技能実習生と、業務のほとんどが同一だった | 別紙3 3-1 不許可(9) |
| 翻訳・通訳 | 稼働先は飲食店の店舗。通訳は英語で注文を取る内容で、翻訳はメニューの翻訳のみだった | 別紙3 3-2 不許可(5) |
| 飲食チェーン本社の管理者候補 | 数年間に及ぶ期間未確定の店舗での接客・調理を経て、選抜された者だけが技人国に当たる業務に就く計画だった | 別紙3 2 不許可(5) |
許可された事例もあります。大型リゾートホテルの総合職で、一部にレストランでの接客などが含まれていたものです。主な業務はフロントでの翻訳・通訳、予約管理、顧客満足度分析などで、総合職で採用された日本人従業員と同様の業務でした(別紙3 3-1 許可(12))。
別紙5は、挙げた事例は許可・不許可の一例で、個々の申請の可否は個別の審査を経て判断するとしています。
出典:出入国在留管理庁「別紙3(事例)」、「別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)」2
業務内容が変わるときの手続き
担当させる業務が変わるときは、新しい業務が技人国に当たるかを先に確かめます。当たらない場合は、その業務に就く前に在留資格の変更が必要です。
| 場面 | 手続き | 誰が・いつ |
|---|---|---|
| 新しい業務が技人国に当たるかを確かめたい | 就労資格証明書交付申請 | 外国人本人が、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請する。義務ではない |
| 転職などで、契約している会社が変わった | 所属(契約)機関に関する届出 | 外国人本人が、契約の終了や新たな契約の締結から14日以内に届け出る |
| 新しい業務が技人国に当たらない | 在留資格変更許可申請 | 外国人本人が申請し、法務大臣が許可するかどうかを判断する |
就労資格証明書は、その人が行うことができる就労活動を、出入国在留管理庁長官が証明する文書です。勤務先や活動内容が変わる場合は、新しい勤務先や活動内容の詳細が分かる書類を添えて申請します。標準処理期間は「当日(勤務先を変えた場合などは1か月〜3か月)」です。
就労資格証明書は、就労のための許可書ではありません。これがなければ就労できない、というものでもありません。
届出が必要な場合と、要らない場合
所属(契約)機関に関する届出の対象は、契約機関の名称・所在地の変更、消滅、契約の終了、新たな契約の締結です。同じ会社の中で担当業務が変わることは、届出の事由に挙がっていません。グループ会社などへの出向は、新たな契約の締結として届出が必要です(入管庁の届出Q&A Q16)。
届出が要らない場合も、次の更新では活動の内容が見られます。入管庁のガイドラインは、行おうとする活動が在留資格に当たることを、許可に必要な要件としています。現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことも必要です。
現場の業務が中心になる場合は、技人国ではなく、特定技能など別の在留資格への変更を考えます。特定技能の全体像は、特定技能ビザ完全ガイドにまとめています。判断に迷う場合は、技術・人文知識・国際業務の申請に関するご相談で、業務内容を一緒に確認します。
出典:出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請」、「就労資格証明書(入管法第19条の2)」、「所属(契約)機関に関する届出」、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正令和8年6月)1・3、「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)Q3、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第19条の2、第19条の16、第20条
審査と実態調査について、公表資料で確認できること
政府は、2026年1月23日に決定した総合的対応策で、技人国について「審査の厳格な運用」を施策に挙げました。関係閣僚会議が決定した文書です。
| 時期 | 公表資料に書かれていること |
|---|---|
| 2026年1月23日 | 総合的対応策に、実施中の施策として記載。活動の実態に疑義がある案件は、地方出入国在留管理局の職員が勤務先に調査に赴くなどの実態調査を行った上で、慎重な審査を行っている |
| 同上 | 速やかに実施する施策として記載。資格該当性のない業務に従事させている疑いのある受入れ機関や派遣先の活動状況を調査し、審査の厳格な運用を行うとともに、許可の在り方を検討する |
| 2026年2月 | 派遣形態の在留審査で、活動内容に疑義がある場合は派遣先に対する実態調査を行うよう、地方局に指示(進捗状況の資料) |
| 2026年3月9日の申請分から | 派遣形態の提出書類を変更。派遣元と派遣先の誓約書などが加わった |
| 2026年4月15日以降の申請から | 明確化の文書を改定。主に言語能力を用いる対人業務について、カテゴリー3・4は、申請の種類に応じて言語能力の資料を提出 |
入管は、在留審査の際に、派遣元のほか派遣先にも、業務内容や活動状況を直接確認する場合があります。在留審査のための事実の調査は、入管法第59条の2に定めがあります。入国審査官などは関係人に質問し、文書の提示を求めることができます。
公表されている取消しの件数
件数が公表されているのは、在留資格の取消しです。技人国の取消しは、2021年から順に、11件、23件、32件、69件、63件でした。2025年の63件の理由は、第2号19件、第3号23件、第5号13件、第6号8件です。
第5号13件の内訳(業務内容の食い違いによるものかどうか)、実態調査の件数、技人国の更新が不許可になった件数は、今回確認した資料には載っていません(2026年10月時点)。
出典:内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(令和8年1月23日決定)施策番号24・25、「国民の安全・安心のための取組の概要(進捗状況・詳細版)」(令和8年6月末時点)管理番号10、出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(令和8年7月)、「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」【お知らせ】、「令和7年の「在留資格取消件数」について」(令和8年3月27日)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第59条の2
会社が確認しておくこと
申請書と雇用契約書に書いた業務内容と、いま実際に担当させている業務を突き合わせます。次の手順は、ここまでの入管庁の資料をもとにした、当事務所の整理です。
- 申請書の「活動内容詳細」と雇用契約書の業務内容を出し、実際の業務と比べる
- 現場の業務が含まれている場合は、一時的なものか、実務研修か、主な活動になっているかを分ける
- 実務研修の場合は、その後の業務に必要な研修か、日本人社員にも同様に行っているか、いつ終わるかを確かめる。採用から1年を超えるなら、研修計画を用意する
- 配置転換や業務の変更を決める前に、新しい業務が技人国に当たるかを確かめる
- 派遣で受け入れている場合は、派遣先で実際に担当させている業務も同じように確かめる
- 業務日報など、実際に従事した業務の記録を残す
2で「主な活動になっている」と分かった場合は、業務内容を技人国に当たるものに戻すか、在留資格の変更を考えます。そのまま更新を申請すると、不許可になる可能性があります。
よくある質問
通訳として採用した社員に、店舗で接客もさせられますか?
接客が主な活動になる場合は、技人国では認められません。入管庁は、技人国では一般的なサービス業務が主たる活動となるものは認められないとしています。
日本の大学を卒業し、高い日本語能力がある人などには、「特定活動」(告示46号・本邦大学等卒業者)という別の在留資格があります。入管庁は、この在留資格の例として、飲食店での店舗管理業務や、通訳を兼ねた接客業務を挙げています。
特定技能や技能実習の経験は、技人国の実務経験になりますか?
単に技能実習や特定技能で実務経験を積んだだけでは、技人国の基準の「実務経験」を満たすものとして扱われません。入管庁は、特定技能での実務経験を土台にして、特定技能1号から技人国に変更してキャリアアップを図ることは想定していない、と説明しています。
出典:出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)Q38・Q39・Q41
まとめ
技人国に当たるかどうかは、在留期間中の活動を全体として捉えて判断されます。技人国に当たらない現場作業や単純作業が主な活動になっていると、更新が不許可になる可能性があり、在留資格の取消しや不法就労助長罪の対象にもなり得ます。
採用当初などの実務研修は、条件つきで認められています。一時的に技人国に当たらない業務を行わざるを得ない場合は、ホテル・旅館の文書で「直ちに問題とされるものではない」とされています。まずは、申請書と雇用契約書に書いた業務内容と、実際の業務を突き合わせてください。配置転換などで業務が変わるときは、新しい業務が技人国に当たるかを先に確かめ、当たらない場合は在留資格の変更を考えます。
参考資料
- 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(最終改定2026年4月)、「別紙1(実務研修)」、「別紙3(事例)」、「別紙5(ホテル・旅館等)」
- 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(2026年7月)
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正2026年6月)
- 出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「令和7年の「在留資格取消件数」について」(2026年3月27日)
- 出入国在留管理庁「令和7年の在留資格取消件数について(広報資料)」(2026年3月27日)
- 出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請」、「就労資格証明書(入管法第19条の2)」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(2026年7月)
- 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」(2026年10月9日閲覧)
- 内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(2026年1月23日 関係閣僚会議決定)
- 内閣官房「国民の安全・安心のための取組の概要(進捗状況・詳細版)」(2026年6月末時点)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条、第19条の2、第19条の16、第20条、第22条の4、第24条、第59条の2、第70条、第73条、第73条の2




