※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
技人国(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)では、主に言語能力を用いる対人業務に就く場合に、CEFR・B2相当の言語能力を示す資料が必要です。2026年4月15日以降の申請から始まりました。申請のときに提出するのは、所属機関(外国人が働く会社や団体)がカテゴリー3・4の場合です。
カテゴリー1・2の会社も、審査の途中で提出を求められる可能性があります。対象は日本語に限らず、業務で使う言語です。この記事では、誰が・いつ・何を出すのかを、入管庁の公表資料に沿って説明します。
目次
いつの申請から、何が変わったのか
2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3・4の所属機関は、2つの書類を追加で提出することになりました。
- 所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)
- 業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料(主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合)
出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」【お知らせ】
CEFRは「ヨーロッパ言語共通参照枠」の略称で、B2はそのレベルの1つです。
入管庁は同じ日に、審査の考え方をまとめた文書も公表しました。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等についての別紙4です。
別紙4は、主に言語能力を用いる対人業務等に就く場合、申請人がCEFR・B2相当の言語能力を持っていることを前提にすると書いています。この言語能力がない場合は、技人国に当たる「一定水準以上の業務」に従事するものとは認められません。
出典:出入国在留管理庁「別紙4(翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について)」1
誰が・いつ・証明資料を出すのか
申請のときに証明資料を出すのは、カテゴリー3・4の所属機関で、主に言語能力を用いた業務に就く人を申請する場合です。更新の申請では、業務内容が変わったかどうかで扱いが分かれます。
| 申請の種類 | カテゴリー3・4 | カテゴリー1・2 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼ぶ) | 申請時に提出する | 申請時の提出は求められていない |
| 在留資格変更許可申請(留学などから切り替える) | 申請時に提出する | 申請時の提出は求められていない |
| 在留資格取得許可申請 | 申請時に提出する | 申請時の提出は求められていない |
| 在留期間更新許可申請(業務内容の変更や転職などで、主に言語能力を用いた業務に就くことになった) | 申請時に提出する | 申請時の提出は求められていない |
| 在留期間更新許可申請(以前から同様の業務を続けている) | 提出は不要 | 申請時の提出は求められていない |
表は、主に言語能力を用いた業務に就く人を申請する場合の扱いです。
カテゴリー3・4の所属機関に転職した後の初回の更新では、更新用のチェックシートで、この資料が追加の提出書類に挙がっています。「以前から同様の業務を続けている」に当たるのは、同じ所属機関で続けている場合と考えておくと安全です。
出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」【お知らせ】注2・注3、「【更新】提出書類チェックシート」
「提出は不要」「求められていない」場合も、審査で求められることがある
表で「提出は不要」「求められていない」とした場合も、資料が一切要らないという意味ではありません。入管庁は、次の3つを明記しています。
- カテゴリー1・2の所属機関でも、審査の過程で資料の提出を求める可能性がある(別紙4)
- 提出の対象に当たらない場合でも、申請内容を踏まえて提出を求めることがある(注2)
- 以前から同様の業務を続けている場合の更新でも、審査の中で必要に応じて提出を求めることがある(注3)
CEFR・B2相当の言語能力を前提にするという考え方そのものは、カテゴリーで区別されていません。カテゴリーで変わるのは、申請のときに資料を添えるかどうかです。
自社はどのカテゴリーに当たるのか
カテゴリーは、所属機関の区分です。上場しているかどうかや、前年分の源泉徴収税額などで1〜4に分かれます。
| カテゴリー | 当てはまる所属機関 |
|---|---|
| 1 | 日本の証券取引所に上場している企業、保険業を営む相互会社、日本または外国の国・地方公共団体、独立行政法人、特殊法人・認可法人、日本の国・地方公共団体認可の公益法人、法人税法別表第1に掲げる公共法人、イノベーション創出企業、一定の条件を満たす企業等 |
| 2 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表で、源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人。在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関(条件は表の下) |
| 3 | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出した団体・個人(カテゴリー2を除く) |
| 4 | 1〜3のいずれにも当てはまらない団体・個人 |
出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」区分(所属機関)
カテゴリーを証明する文書を出せない場合は、カテゴリー4として扱われます。
カテゴリー2のうち、オンラインシステムの利用申出による区分には条件があります。カテゴリー2と同様の添付資料での申請を希望し、カテゴリー審査に係る資料を提出した機関が対象です。
在留資格変更許可申請では、申請人の条件によってカテゴリー2になる場合があります。「留学」からの変更で、日本の大学院・大学・短大を卒業した人(卒業予定を含む)などです。この場合はカテゴリー2の扱いになるため、申請時の提出は求められていません(審査の中で求められることはあります)。
カテゴリーごとの提出書類の全体は、技人国ビザ完全ガイドにまとめています。
どの業務が対象になるのか
対象は、日本語などの言語能力を用いた業務に「主に」従事する場合です。入管庁が例に挙げているのは、次の2つです。
- 申請職種が「翻訳・通訳」の場合
- ホテルフロント業務等の「接客」の場合
出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」【お知らせ】注2
入管庁の文言は「『翻訳・通訳』やホテルフロント業務等の『接客』の場合等」で、例はこの2つに限られません。職種を網羅した一覧は公表されていません(2026年10月時点)。
日本語を使う業務だけではない
求められるのは「業務上使用する言語」の能力です。外国語で通訳や接客をする業務なら、その外国語についてCEFR・B2相当かどうかが見られます。
入管庁は、ホテル・旅館の不許可事例として次のケースを公表しています。本国で日本語学を専攻して大学を卒業した人が、旅館で外国人宿泊客の通訳を行うとして申請したものです。
この旅館の外国人宿泊客の大半が使う言語は、申請人の母国語と異なっていました。その言語についてCEFR・B2相当の言語能力が立証されず、母国語を用いる業務に十分な業務量があるとも認められなかったため、不許可になっています。
出典:出入国在留管理庁「別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)」不許可事例②
入管庁は、事例は一例であり、個々の申請の可否は個別の審査で判断するとしています。
CEFR・B2相当と評価される条件
業務で使う言語が日本語か、日本語以外かで条件が分かれます。それぞれ、いずれか1つに当てはまれば、CEFR・B2相当と評価されます。
日本語を使う業務の場合
| 条件 | |
|---|---|
| ア | JLPT(日本語能力試験)のN2以上を取得している |
| イ | BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得している |
| ウ | 中長期在留者として20年以上日本に在留している |
| エ | 日本の大学を卒業している。または、日本の高等専門学校か、専修学校の専門課程・専攻科を修了している |
| オ | 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業している |
中長期在留者とは、在留カードが交付される外国人のことです(入管法第19条の3)。
エには条件が付いています。専攻科目と業務内容に関連性が認められる場合に限られます。日本の大学や専門学校を出ていれば自動的に当てはまるわけではありません。
外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定を受けた専修学校の学科・専攻科を修了した人は、この関連性が柔軟に判断されます。
日本語以外の言語を使う業務の場合
| 条件 | |
|---|---|
| ア | その言語が、申請人の母国語または公用語である |
| イ | その言語の試験で、CEFR・B2以上の言語能力が証明されている |
| ウ | ア・イに当てはまらない場合で、業務上必要な言語能力があると明らかに評価できる合理的な理由が説明されている |
イの試験は、証明書か、その試験の公式ホームページにCEFRの表示があるものに限られます。
ウの例として入管庁が挙げているのは、母国語以外の言語が業務で必要なケースです。その言語を公用語とする国の大学に留学した経験が、卒業証明書などで証明されていることが想定されています。
出典:出入国在留管理庁「別紙4(翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について)」2
提出するのは、上の条件のどれかに当てはまることを示す資料です。入管庁の提出書類の一覧は「言語能力を有することを証する資料 1通」としており、書類の名称までは指定していません。
採用担当者が確認すること
内定を出す前と、在籍者の更新を申請する前の2つの場面で、業務内容と言語能力の資料を確認します。
内定を出す前に確認すること
- 自社のカテゴリーを確かめる。前年分の法定調書合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上かどうかが、カテゴリー2と3を分ける基準の1つになる
- 担当させる業務が、言語能力を用いた業務に主に従事するものかを確かめる。翻訳・通訳や、ホテルフロントなどの接客が例に挙がっている
- その業務で使う言語を特定する。日本語か、日本語以外かで条件が変わる
- 候補者が、上の表のどの条件に当てはまるかを確かめ、それを示す資料を受け取る
- 日本の大学や専門学校の卒業・修了で条件を満たす場合は、専攻科目と業務内容の関連性も確かめる
CEFR・B2相当の言語能力があると評価されない場合、入管庁の考え方では、その業務は技人国に当たる「一定水準以上の業務」と認められません。内定の前に確認しておくと、採用の計画を立て直す時間を取れます。
カテゴリー1・2の会社も、同じ確認をしておくと、審査の途中で資料を求められたときにすぐ出せます。
在籍者の更新を申請する前に確認すること
- 当初申請していた業務内容から変わっていないか、転職していないかを確かめる
- 業務内容の変更や転職で、言語能力を用いた業務に主に従事するようになった人は、更新の申請時に証明資料を出す(カテゴリー3・4)
- 同じ所属機関で、以前から同様の業務を続けている人は、提出は不要。ただし、審査の中で求められることがあるため、資料があるかどうかは把握しておく
業務内容が変わったと言えるかどうか、判断に迷う場合は、技術・人文知識・国際業務の申請に関するご相談で、業務内容と資料を一緒に確認します。
同じ文書で確認しておきたい2つの点
言語能力の資料のほかに、カテゴリー3・4の申告書と、受入れが認められない機関の扱いも確認が必要です。
所属機関の代表者に関する申告書
カテゴリー3・4の所属機関は、2026年4月15日以降の申請から、この申告書も提出します。更新の申請でも提出します。
代表者が日本人か特別永住者の場合は、該当する欄にチェックを入れます。代表者の氏名と在留カード番号の記入は要りません。それ以外の場合は、代表者の氏名(英字表記)と在留カード番号を書きます。作成できるのは所属機関の職員に限られます。
出典:出入国在留管理庁「所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)」
受入れ停止期間中の機関は、原則として新たに受け入れられない
特定技能や技能実習で、外国人への暴行や報酬の不払いなどによる欠格事由の認定等を受けた機関があります。こうした機関は、受入れ停止期間中、原則として技人国の外国人を新たに受け入れることが認められません。派遣先などの機関も含まれます。
出典:出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)1(1)注
よくある質問
JLPTのN2に合格していない人は、技人国で働けないのですか?
N2の合格は、条件の1つです。日本語を使う業務なら、BJT400点以上、日本の大学の卒業(専攻科目と業務内容に関連性がある場合)などでも評価されます。言語能力を用いた業務に主に従事する場合でなければ、この資料の提出は求められていません。
母国語ではない英語で接客する人は、何を出せばよいですか?
英語が申請人の公用語でもない場合は、CEFR・B2以上が証明される英語の試験の結果か、合理的な理由の説明が必要です。試験は、証明書か公式ホームページにCEFRの表示があるものに限られます。
申請の後で資料を求められると、審査の日数はどうなりますか?
資料を出すまでの日数も、審査の期間に含まれます。入管庁が公表している技人国の平均日数(変更と更新は、許可の告知までの日数)は、令和8年7月許可分で、認定49.8日、変更72.9日、更新40.8日です。この日数には、追加資料の提出を求められてから提出するまでの日数が含まれています。
出典:出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)
まとめ
技人国で、言語能力を用いた業務に主に従事する場合は、業務で使う言語についてCEFR・B2相当の言語能力が前提になります。カテゴリー3・4の所属機関は、認定・変更・取得の申請時と、業務内容の変更や転職があった後の更新時に、証明資料を提出します。
カテゴリー1・2の所属機関や、同様の業務を続けている人の更新でも、審査の中で求められることがあります。まずは、自社のカテゴリー、担当させる業務、業務で使う言語の3つを確かめ、候補者や在籍者が条件のどれに当てはまるかを資料で確認してください。
参考資料
- 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」(2026年10月9日閲覧)
- 出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(最終改定2026年4月)
- 出入国在留管理庁「別紙4(翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について)」(2026年4月15日公表)
- 出入国在留管理庁「別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)」(2026年4月15日更新)
- 出入国在留管理庁「【更新】提出書類チェックシート」
- 出入国在留管理庁「所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)」
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条の3




