技人国の雇用理由書の書き方|提出は必要か・書く項目・テンプレート(構成の例)

日高 拓郎
日高 拓郎行政書士(申請取次)
公開 / 更新
技人国の雇用理由書の書き方|提出は必要か・書く項目・テンプレート(構成の例)

※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。

技人国(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)の申請で会社が添える「雇用理由書」は、法令で提出を求められている書類ではありません。入管庁の提出書類の一覧にも載っていません。

ただし入管庁は、業務の内容をより具体的に確認する必要があると判断した場合に、説明文などの追加提出を求める場合があるとしています。海外から呼ぶ申請と、在留資格を変更する申請についての説明です。この記事では、書く項目、申請書や雇用契約書との突き合わせ方、構成の例を説明します。

目次
  1. 雇用理由書は提出しなければならないのか
  2. 入管が説明や資料を追加で求める場面
  3. 雇用理由書に書く項目
  4. 申請書・雇用契約書と食い違わせないための確かめ方
  5. 雇用理由書の構成の例(テンプレート)
  6. 事実と異なる記載をした場合の定め
  7. よくある質問
  8. まとめ
  9. 参考資料

雇用理由書は提出しなければならないのか

雇用理由書は、法令で提出を求められている書類ではありません。入管庁がQ&Aで、在留資格認定証明書交付申請(海外から呼ぶ)と在留資格変更許可申請(留学などから切り替える)について、そう答えています。

雇用理由書は、雇用主が採用の理由を書いた文書です。入管庁の技人国のページと提出書類チェックシートには、認定・変更・更新のどの申請にも、この名前の書類は載っていません。様式や記載項目の指定もありません。

区分書類入管庁の資料での扱い
提出書類の一覧にある活動の内容等を明らかにする資料(労働条件を明示する文書など)、学歴・職歴を証明する文書(履歴書、卒業証明書など)、登記事項証明書、事業内容を明らかにする資料、決算文書の写しなど所属機関がカテゴリー3・4の場合に、認定・変更の申請で提出する
一覧にない雇用理由書法令で提出を求めている書類ではない

一覧にない資料でも、入管が審査の過程で求める場合があります(次の節)。

カテゴリーは所属機関(外国人が働く会社や団体)の区分です。カテゴリー1・2について、入管庁は、申請書やカテゴリーを証明する文書などのほかは「原則不要」としています。

カテゴリー3・4は、2026年4月15日以降の申請から、所属機関の代表者に関する申告書も提出します。主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合は、CEFR・B2相当の言語能力を証する資料も加わります。書類の全体は、技人国ビザ完全ガイドにまとめています。

入管法施行規則は、在留資格ごとに決めた資料のほかに、「その他参考となるべき資料」を提出すると定めています。会社が任意で添える雇用理由書は、当事務所の整理では、この資料として出すものです。

認定の申請は、外国人本人か、受け入れる機関の職員(代理人)が行います。変更と更新は、原則として外国人本人が申請します。

出典:出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月。以下「就労資格Q&A」)Q2・Q5・Q22、「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」、提出書類チェックシート(認定・共通、認定・カテゴリー3・4、変更・共通、変更・カテゴリー3・4、更新)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」第6条の2第2項、第20条第2項、第21条第2項

入管が説明や資料を追加で求める場面

入管庁は、審査の過程で、提出書類の一覧に載っていない資料を求める場合があるとしています。公表資料には、説明や資料を求める場面が、次のように書かれています。

入管庁の資料にある「説明や資料を求める」場面
  • 認定・変更の申請で、業務の内容をより具体的に確認する必要があると判断した場合:雇用理由や職務内容の詳細な説明文などの追加提出を求める場合がある
  • 翻訳・通訳業務に従事するとして申請した場合:能力の証明のほか、何語と何語の間の翻訳・通訳か、どういった業務があるのかについて、必要に応じ説明を求めることがある(専門学校を卒業した留学生の事例の節での記載)
  • 技人国に当たらない活動を研修として行う必要がある場合:必要に応じ、日本人社員を含めた入社後のキャリアステップと各段階の具体的職務内容を示す資料などの提出をお願いすることがある
  • 採用から1年を超えて実務研修に従事する申請:研修計画の提出を求め、実務研修期間の合理性を審査する

入管庁は、不許可事例の1つに、雇用理由書が提出された申請を載せています。専門学校を卒業した留学生の、変更の申請です。新規開拓を計画中の海外事業分野で、申請人を通訳人として必要とする、という内容の理由書でした。

入管は成績証明書と日本語能力を示す資料を求めました。日本語科目の成績はすべてC判定(3段階評価の最低)で、日本語能力を示す資料の提出もなく、不許可になっています。

技人国のページには、提出書類が揃っていない申請は、審査が大幅に遅れるか、不利益処分となり得る可能性がある、という注意書きがあります。これは提出書類についての注意書きです。雇用理由書を添えなかった場合の扱いは、今回確認した入管庁の資料には書かれていません(2026年10月時点)。

在留審査のための事実の調査は、入管法第59条の2に定めがあります。入国審査官は、関係人に質問し、文書の提示を求めることができます。

出典:出入国在留管理庁「就労資格Q&A」Q22、「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」申請に当たっての留意事項、「別紙1(許容される実務研修について)」2・3、「別紙3(事例)」3-2、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第59条の2

雇用理由書に書く項目

雇用理由書に書く項目は、入管庁が「明確化等について」で説明している要件に対応させて決めます。項目の分け方は当事務所の整理で、入管庁が指定したものではありません。

書く項目(当事務所の整理)対応する入管庁の説明
会社の事業と、採用の理由契約に基づく活動は、日本で適法に行われ、継続して行われることが見込まれることが必要
担当させる業務の内容自然科学・人文科学の分野の業務は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動であること。技人国に当たるかは、在留期間中の活動を全体として捉えて判断する
本人の専攻・経歴と業務のつながり専攻した科目と従事しようとする業務が関連していることが必要(学歴で要件を満たす場合)
報酬日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
入社当初の実務研修(ある場合)日本人の大卒社員等にも同様に行われる実務研修の一環で、在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めるようなものではないときに、相当性を判断した上で認める
業務で使う言語(主に言語能力を用いる対人業務等の場合)申請人がCEFR・B2相当の言語能力を有していることが前提

業務の内容は、職種名だけでなく、何をするのかを書きます。入管庁の不許可事例には、業務量が理由になったものがあります。

入管庁が公表している不許可事例(業務量に触れたもの)
  • 従業員12名の会社での会計管理と労務管理:主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められない、とされた
  • ビル清掃会社でのマニュアルの翻訳:常時発生する業務ではなく、業務量が認められない、とされた

専攻と業務の関連性の見方は、卒業した学校の種類で変わります。学校ごとの判断は、技人国の「専攻と業務の関連性」で説明しています。対人業務で必要になる言語能力の資料は、技人国の言語能力の証明資料にまとめています。

出典:出入国在留管理庁「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月。以下「明確化等について」)1(1)・1(2)・2(1)・2(3)、「別紙1(許容される実務研修について)」1、「別紙3(事例)」3-1・3-2、「別紙4(言語能力を用いる対人業務)」1

申請書・雇用契約書と食い違わせないための確かめ方

雇用理由書に書く内容は、申請書と雇用契約書に書いた内容と同じにします。入国・在留審査要領では、申請書の欄の記載と立証資料によって、技人国に当たる活動かなどを確認するとされています。

雇用理由書に書く内容突き合わせる申請書の欄突き合わせる書類
業務の内容職種、活動内容詳細、職務上の地位(役職名)労働条件を明示する文書の「従事すべき業務」
報酬の額給与・報酬(税引き前の支払額)労働条件を明示する文書の賃金
契約の期間、入社日就労予定期間、雇用開始(入社)年月日労働条件を明示する文書の契約期間
学歴、専攻、職歴最終学歴、専攻・専門分野、職歴、実務経験年数履歴書、卒業証明書、在職証明書
会社の資本金、売上高、従業員数資本金、年間売上高(直近年度)、従業員数登記事項証明書、決算文書の写し、事業内容を明らかにする資料

申請書の「給与・報酬」の欄には、各種手当(通勤・住宅・扶養等)と実費弁償の性格を有するものを除く、という注記があります。雇用理由書に報酬を書くときは、どの範囲の金額かをそろえます。

申請書の欄に書ききれないときは、別紙に記載して添付するよう、申請書の注意事項に書かれています。申請書(所属機関等作成用)の末尾には「以上の記載内容は事実と相違ありません。」とあり、所属機関の名称と代表者の氏名を記名します。

入管庁の不許可事例には、書類の間で業務の内容が食い違っていたものがあります。派遣先で翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったものの、労働者派遣契約書の職務内容は「店舗スタッフ」でした。入管が派遣先に確認したところ、小売店で接客販売に従事させるとの説明があり、不許可になっています。

契約書の各欄の書き方は、技人国の雇用契約書・労働条件通知書の書き方で説明しています。書類の間で内容がそろっているか不安な場合は、技術・人文知識・国際業務の申請に関するご相談で、申請書・契約書・雇用理由書の案を一緒に確認します。

出典:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請書」申請人等作成用2、所属機関等作成用1・2、注意事項、「別紙3(事例)」3-1、入国・在留審査要領第12編第2章第15節第1の4

雇用理由書の構成の例(テンプレート)

次の構成は、当事務所が作った例です。入管庁が定めた様式ではありません。「〇〇」の部分と記載例の内容は、架空のものです。

雇用理由書の構成の例(当事務所作成)
  • 作成日、宛名、会社の所在地・名称・代表者の氏名
  • 表題(雇用理由書)
  • 1 申請人:氏名、国籍・地域、生年月日
  • 2 当社の事業と採用の理由:事業の内容、配属する部署の仕事、その業務に人が必要になった事情
  • 3 担当させる業務:業務の内容、使う知識や技術、業務ごとのおおよその割合
  • 4 専攻・経歴と業務のつながり:専攻した科目や職歴のうち、3の業務に使うもの
  • 5 報酬と労働条件:報酬の額、契約の期間、就業の場所(労働条件を明示する文書と同じ内容)
  • 6 入社当初の実務研修(ある場合):期間、内容、日本人社員にも同じ研修があること、研修後の業務
  • 7 業務で使う言語(主に言語能力を用いる対人業務等の場合):使う言語と、使う場面
3「担当させる業務」の記載例(架空の内容)
  • 申請人は、当社の〇〇部で、次の業務を担当します。
  • (1)〇〇語圏の取引先との契約書・仕様書の翻訳(業務全体の約〇割)
  • (2)取引先との商談と、納期・数量の調整での通訳(約〇割)
  • (3)海外向けの製品資料の作成(約〇割)
  • いずれも、大学で専攻した〇〇学の知識と、〇〇語・日本語の能力を使う業務です。

表題、宛名、分量の定めはありません。認定・変更・更新の申請書の宛名は、いずれも「法務大臣 殿」です。

申請人の氏名は、申請書と同じ表記にします。申請書には、有効な旅券を持っている場合は旅券の身分事項ページのとおりに書く、という注意書きがあります。

例の文言は、そのまま使わないでください。自社の実際の業務と、本人の実際の経歴に書き換えます。

出典:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請書」、「在留資格変更許可申請書」、「在留期間更新許可申請書」

事実と異なる記載をした場合の定め

事実と異なる記載のある文書を提出して許可を受けたことが判明した場合、法務大臣は在留資格を取り消すことができます。根拠は入管法第22条の4第1項です。罰則の定めもあります。

定め内容根拠(入管法)
在留資格の取消し偽りその他不正の手段により、上陸許可の証印等を受けたことが判明したとき第22条の4第1項第2号
在留資格の取消し上の場合のほか、不実の記載のある文書の提出・提示により、上陸許可の証印等を受けたことが判明したとき同項第3号
罰則偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて日本に上陸した人、または在留資格の変更・在留期間の更新などの許可を受けた人。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方第70条第1項第2号の2
罰則営利の目的で、上の行為の実行を容易にした人。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方第74条の6

「上陸許可の証印等」には、在留資格の決定を伴う上陸許可と、在留資格の変更や在留期間の更新などの許可が入ります。複数あるときは、直近のものを指します。

入管庁は、第2号の例として、単純労働を行おうとする人が「技術」の在留資格に当たる活動を行うと申告した場合を挙げています。第3号は、偽りその他不正の手段によることが要件になっておらず、申請人に故意があることは要しない、と説明しています。

会社が作る書類にも、事実であることの確認が入っています。所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)には、事実ではない内容が含まれている場合、虚偽の申請と判断される可能性がある、と書かれています。

申請した業務と、入社後の実際の業務が食い違った場合の扱いは、技人国で申請と違う業務をさせるとどうなるかで説明しています。

出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第22条の4、第70条、第74条の6、出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」、「所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)」

よくある質問

カテゴリー1・2の会社でも、雇用理由書を添えたほうがよいですか?

提出は求められていません。入管庁は、カテゴリー1・2について、申請書やカテゴリーを証明する文書などのほかは「原則不要」としています。入管が審査の過程で一覧にない資料を求める場合がある点は、どのカテゴリーでも同じです。

在留期間の更新でも、雇用理由書は必要ですか?

更新の提出書類の一覧にも、雇用理由書は載っていません。カテゴリー3・4の企業等に転職した後の初回の更新では、活動の内容等を明らかにする資料などが、一覧に加わります。

実務研修については、更新のときに当初の予定を超えて従事する場合、その事情を説明することになる、と入管庁の資料に書かれています。合理的な理由がない場合は、更新が認められないこととなります。

インターネット上の文例や、他社の雇用理由書を下書きに使えますか?

雇用理由書に様式の定めはありません。ただし、他社のものを下書きにして、自社の業務や本人の経歴と違う記載が残ったまま提出すると、事実と異なる文書を出すことになります。業務の内容、金額、専攻との対応は、申請書と雇用契約書を見ながら書き直してください。

出典:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」、「【更新】提出書類チェックシート」、「別紙1(許容される実務研修について)」4

まとめ

技人国の雇用理由書は、法令で提出を求められている書類ではなく、入管庁の提出書類の一覧にも載っていません。入管庁は、業務の内容をより具体的に確認する必要があると判断した場合に、雇用理由や職務内容の詳細な説明文などの追加提出を求める場合があるとしています。認定と変更の申請についての説明です。

書くときは、申請書の「活動内容詳細」「給与・報酬」などの欄と、労働条件を明示する文書の内容を先に確定させてください。雇用理由書には、それと同じ内容を、事業と採用の理由、業務、専攻とのつながり、報酬、実務研修、業務で使う言語の順に文章で書きます。事実と異なる記載は、在留資格の取消しや罰則の対象になり得ます。

参考資料

執筆者

日高 拓郎
日高 拓郎

行政書士(申請取次)。ジプニー行政書士事務所 代表。千葉行政書士会所属(登録番号 第25101585)。
フィリピンの現地法人で責任者を務めた後、2023年に株式会社ジプニー(登録支援機関)を創業。2025年にジプニー行政書士事務所を開業。

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