※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
不法就労助長罪とは、外国人に不法就労をさせた人や、不法就労をあっせんした人を罰する規定です(入管法第73条の2)。罰則は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方で、2027年4月1日に5年以下・500万円以下に引き上げられます。
相手が不法就労者だと知らなかった場合も、在留カードを確認していないなどの過失があれば、処罰を免れません。この記事では、対象になる行為、採用のときに確かめること、許認可への影響を、条文と入管庁の資料に沿って説明します。
目次
不法就労助長罪の対象になる行為
対象になるのは、外国人に不法就労をさせる、そのために支配下に置く、業としてあっせんする、の3つの行為です。
| 号 | 対象になる行為(入管法第73条の2第1項) |
|---|---|
| 第1号 | 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者 |
| 第2号 | 外国人に不法就労活動をさせるために、これを自己の支配下に置いた者 |
| 第3号 | 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為、または第2号の行為に関しあっせんした者 |
第1号は「雇用した者」ではなく「不法就労活動をさせた者」と定めています。第3号があるため、業としてあっせんした側も対象になります。
従業員が会社の業務で違反したときは、その従業員だけでなく、会社にも罰金刑が科されます(入管法第76条の2)。これを両罰規定といいます。
不法就労をさせたり、あっせんしたりした人が外国人であれば、退去強制の対象にもなります。唆した人、助けた人も含まれます(入管法第24条第3号の4)。
出典:出入国管理及び難民認定法 第73条の2、第76条の2、第24条第3号の4
不法就労になる3つの場合
入管庁は、不法就労になる場合を3つに分けて示しています。在留資格がある人でも、認められた範囲を超えて働けば不法就労になります。
| 不法就労になる場合 | 入管庁が挙げている例 | |
|---|---|---|
| 1 | 不法滞在者や、退去強制されることが決まっている人が働く | 密入国した人や在留期限の切れた人が働く |
| 2 | 就労できる在留資格がなく、働く許可も受けていない人が働く | 短期滞在で入国した人が許可を受けずに働く。留学生が許可を受けずに働く |
| 3 | 在留資格などで認められた範囲を超えて働く | 外国料理のコックとして認められた人が工場で作業員として働く。留学生が許可された時間数(原則週28時間以内)を超えて働く |
採用の時点では問題がなくても、3つ目は入社後にも起こります。担当する業務を変えるとき、アルバイトの勤務時間を増やすときは、在留資格や資格外活動許可の範囲に収まるかを確かめてください。
出典:出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」(リーフレット)
「知らなかった」場合はどうなるのか
不法就労だと知らなかったことは、過失がない場合を除き、処罰を免れる理由になりません。
入管法第73条の2第2項は、次の3つを知らなかったことを理由に処罰を免れることはできないと定めています。ただし、過失がないときは別です。
- その外国人の活動が、在留資格で認められていない就労であること
- その外国人が、資格外活動許可(入管法第19条第2項の許可)を受けていないこと
- その外国人が、不法入国や不法残留など、入管法第70条第1項の各号(第1号、第2号、第5号など)に掲げる者に当たること
どのような場合に過失があるとされるのか。入管庁は、「在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」と説明しています。
そのため、在留カードを確かめたうえで雇い入れることが、事業主の側の出発点になります。確かめ方は、「採用のときに確かめること」で説明します。
出典:出入国管理及び難民認定法 第73条の2第2項、出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」
罰則はいつから、どう変わるのか
罰則は、2027年4月1日に「5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金」に引き上げられます。2026年10月9日時点では、引上げ前の罰則が適用されます。
| 2027年3月31日まで | 2027年4月1日から | |
|---|---|---|
| 拘禁刑 | 3年以下 | 5年以下 |
| 罰金 | 300万円以下 | 500万円以下 |
| 両方を科すこと(併科) | できる | できる |
| 会社への罰金(両罰規定) | 300万円以下 | 500万円以下 |
引上げを定めたのは、2024年6月21日に公布された令和6年法律第60号です。育成就労制度の創設と同じ法律で、施行日も同じです。
引き上げられた罰則が適用されるのは、2027年4月1日以降の行為です。それより前の行為には、引上げ前の罰則が適用されます(令和6年法律第60号 附則第22条)。
対象になる行為(第1項の3つ)と、知らなかった場合の扱い(第2項)は、改正後も変わりません。
出典:出入国管理及び難民認定法 第73条の2(現行。改正後の条文は令和6年法律第60号によるもので、2027年4月1日施行)、出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正について」
採用のときに確かめること
採用を決めたら、在留カードの原物で「就労制限の有無」と「資格外活動許可欄」を確かめます。厚生労働省は、選考の段階では口頭か書面で確認し、内定後に在留カードで確認するよう案内しています。
- 表面の「就労制限の有無」欄を見る:「就労制限なし」なら、仕事の内容に制限はありません。「在留資格に基づく就労活動のみ可」なら、在留資格で認められた仕事に限られます。「就労不可」なら、原則として雇用できません
- 「資格外活動許可欄」を見る:「就労不可」の人でも、この欄に許可の記載があれば、その範囲で働けます。留学生に多い「原則週28時間以内」は、複数のアルバイト先の合計です
- 在留カード等読取アプリケーションで読み取る:ICチップの情報と券面を見比べ、偽造や変造がないかを確かめます。入管庁が無料で配布しています
- 失効情報照会を使う:在留カードの番号が失効していないかを確かめます。読取アプリケーションから利用できます
在留資格が「特定技能」や「特定活動」の人は、法務大臣が指定した活動が書かれた「指定書」も確かめます。
在留カードを持っていなくても、働ける場合があります。在留期間が「3月」以下の人や、パスポートに「後日在留カードを交付する」と書かれた人などです。この場合は、パスポートなどで就労できるかを確かめます。
2026年6月14日以降のカードの見方
2026年6月14日から、在留カードの様式が変わり、マイナンバーカードと一体になった「特定在留カード」も始まりました。特定在留カードの取得は任意です。
| 2026年6月13日までに交付されたカード | 新しい様式の在留カード・特定在留カード | |
|---|---|---|
| 在留期間、許可の種類、許可年月日 | 券面に記載 | 券面に記載なし(ICチップに記録) |
| 資格外活動許可欄 | 裏面 | 在留カードは裏面、特定在留カードは表面 |
新しい様式のカードでは、券面に在留期間(「3年」などの長さ)が書かれていません。在留期間の満了日は、券面に書かれています。2026年8月19日以降の版の読取アプリケーションで読み取ると、在留期間などの3項目を表示できます。
出典:出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」、「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」、「特定在留カード交付申請について」、厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
雇い入れと離職のときの届出
外国人を雇い入れたときと、その人が離職したときは、事業主がハローワークに「外国人雇用状況の届出」をします。届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります(労働施策総合推進法第28条第1項、第50条)。
| 雇用保険 | 届出の方法 | 期限 |
|---|---|---|
| 被保険者になる | 雇用保険被保険者資格取得届・資格喪失届を出す | 雇入れは翌月10日まで。離職は翌日から10日以内 |
| 被保険者にならない | 外国人雇用状況届出書(様式第3号)を出す | 雇入れ・離職とも翌月末日まで |
届出の対象は、特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の人を除く外国人です。届け出る内容は在留カードなどで確認しますが、写しを添える必要はありません。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」、労働施策総合推進法 第28条、第50条
許認可にどう響くのか
外国人の受入れや人材に関わる制度では、不法就労助長罪で罰金刑を受けると、5年間、許可や認定を受けられません。2026年10月9日時点の条文で確かめられた制度は、次のとおりです。
| 制度 | 罰金刑を受けた場合の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 労働者派遣事業の許可 | 5年間、許可を受けられない | 労働者派遣法第6条第1号 |
| 有料・無料の職業紹介事業の許可 | 5年間、許可されない | 職業安定法第32条第1号、第33条第4項 |
| 特定技能外国人の受入れ(特定技能所属機関) | 5年間、受入れ機関の基準を満たさない | 特定技能基準省令第2条第1項第4号ロ |
| 登録支援機関の登録 | 5年間、登録を拒否される | 入管法第19条の26第1項第2号 |
| 技能実習計画の認定、監理団体の許可 | 5年間、認定・許可を受けられない | 技能実習法第10条第2号、第26条第1号、同法施行令第1条第5号 |
| 育成就労計画の認定、監理支援機関の許可(2027年4月1日から) | 5年間、認定・許可を受けられない | 育成就労法第10条第2号、第26条第1号、同法施行令第1条第5号(令和6年法律第60号による改正後) |
「5年間」は、刑の執行を終わった日などから数えます。法人の役員がこれに当たる場合も、法人は許可や認定を受けられません。すでに受けている許可・認定・登録は、取り消されることがあります。
拘禁刑以上の刑は、罪名を問わず、これらの制度で5年間の欠格事由になります(法人では、役員が刑を受けた場合)。
一方、建設業の許可では、罰金刑で欠格になる法令に入管法は挙げられていません。拘禁刑以上の刑を受けた場合は、建設業でも5年間、許可を受けられません(建設業法第8条第7号・第8号、同法施行令第3条の2)。
出典:e-Gov法令検索の各法令(労働者派遣法、職業安定法、特定技能基準省令、技能実習法、建設業法)
「各業法の欠格事由への追加」は決まっているのか
不法就労助長罪を、ほかの業種の許認可の欠格事由に加える法改正は、決まっていません(2026年10月9日時点)。政府の資料は「在り方を検討する」という段階です。
| 時期 | 資料 | 書かれていること |
|---|---|---|
| 2026年5月22日 | 入管庁「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」 | 「不法就労助長罪を各業法の欠格事由に盛り込むことを提案する(法改正が必要)」 |
| 2026年7月 | 法務省「第2次出入国在留管理基本計画」 | 摘発強化などの「状況を踏まえ、不法就労助長罪と各業法の欠格事由の在り方を検討する」 |
| 2026年8月31日掲載 | 入管庁によるパッケージの解説 | 欠格事由に「不法就労助長行為を行った者を盛り込むことを提案することも検討していく」 |
対象になる業法、欠格になる期間、罰金刑を含めるかどうか、時期は、どの資料にも書かれていません(2026年10月9日時点)。
不法就労助長罪について2027年4月1日に変わることが決まっているのは、罰則の引上げです。雇用している外国人の在留資格と業務内容の確認に不安がある企業は、就労ビザに関するご相談で、状況を一緒に確認します。
出典:出入国在留管理庁「『不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~』について」(本体・解説)、法務省「第2次出入国在留管理基本計画」
よくある質問
留学生のアルバイトが週28時間を超えたら、店も罰せられますか?
不法就労助長罪の対象になり得ます。許可された時間数を超えて働くことは、入管庁が示す不法就労の3つ目の場合に当たります。
週28時間は、ほかのアルバイト先と合計した時間です。採用のときに、ほかの勤務先の有無と時間を本人に確かめてください。
派遣で受け入れている外国人の場合、派遣先は関係ありますか?
条文の文言上、派遣先も対象になり得ます。入管法第73条の2第1項第1号は、「雇用した者」ではなく、「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」を対象にしているためです。派遣先でも、任せる業務が在留資格の範囲に収まるかを確かめてください。
特別永住者を雇うときも、同じ確認と届出が必要ですか?
外国人雇用状況の届出も、届出のための確認も不要です。特別永住者は日本での活動に制限がなく、届出制度の対象外とされています。特別永住者には、在留カードではなく特別永住者証明書が交付されています。
まとめ
不法就労助長罪は、外国人に不法就労をさせた人や、あっせんした人を罰する規定です。知らなかった場合も、在留カードを確認していないなどの過失があれば、処罰を免れません。罰則は、2027年4月1日に5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に引き上げられます。
労働者派遣、職業紹介、特定技能、技能実習では、罰金刑でも5年間の欠格事由になります。ほかの業種へ広げる法改正は、決まっていません(2026年10月9日時点)。
まずは、雇用している外国人の在留カードの「就労制限の有無」と在留期限、任せている業務の内容を、一覧にして確かめておくと安心です。
参考資料
- 出入国管理及び難民認定法 第19条、第19条の26、第24条第3号の4、第73条の2、第76条の2(e-Gov法令検索。第73条の2の改正後の罰則は、令和6年法律第60号によるもので、2027年4月1日施行)
- 出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正について」
- 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」(リーフレット。2026年度の「適正な外国人雇用推進月間」で配布)
- 出入国在留管理庁「秩序ある共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進」
- 出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」
- 出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請について」
- 出入国在留管理庁「『不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~』について」(パッケージは2026年5月22日公表、解説は2026年8月31日掲載)
- 法務省「第2次出入国在留管理基本計画」(2026年7月)
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
- 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
- 労働施策総合推進法 第28条、第50条(e-Gov法令検索)
- 労働者派遣法 第6条、第14条(e-Gov法令検索)
- 職業安定法 第32条、第32条の9、第33条(e-Gov法令検索)
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令 第2条(e-Gov法令検索)
- 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 第10条、第16条、第26条、第37条、同法施行令 第1条(e-Gov法令検索。2027年4月1日から「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」)
- 建設業法 第8条、同法施行令 第3条の2(e-Gov法令検索)




