※この記事は、2026年10月9日時点の法令と、出入国在留管理庁(入管庁)・駐日ベトナム大使館の公表資料に基づいています。
推薦者表(特定技能外国人表)とは、ベトナム国籍の人が海外で働くためのベトナム側の手続きを終えたことを、ベトナム政府が証明する書類です。特定技能で受け入れるときは、日本側の申請にこの書類を添えます。
ベトナムから新たに受け入れる場合と、日本に在留する人を受け入れる場合とで、承認する機関と様式が違います。日本に在留する人の場合は、推薦者表が要らない人もいます。必要な申請、申請先、必要書類を、入管庁と駐日ベトナム大使館の案内に沿って説明します。
目次
推薦者表とは
推薦者表は、ベトナム政府が承認した「特定技能外国人として受け入れられる人の一覧」です。正式な名前は「特定技能外国人表」で、日本とベトナムが交わした特定技能の協力覚書(MOC)の添付様式になっています。
協力覚書の中で、日本側は、ベトナムの法令に基づく手続きを終え、ベトナム側が承認した推薦者表に載っている人だけを受け入れると約束しています。入管庁は、在留資格の申請のときにこの書類を確認します。
日本の法令にも根拠があります。特定技能の基準は、本人の国で守るべき手続きが決められている場合に、その手続きを経ていることを求めています(上陸基準省令 特定技能1号の項 第4号)。ベトナムの場合、その手続きを経たことを示す書類が推薦者表です。
提出が必要になったのは、2021年2月15日以降の申請からです。
出典:出入国在留管理庁「ベトナムに関する情報」、「ベトナムとの特定技能に関する協力覚書(和文仮訳)」6(1)、「手続の解説」
推薦者表が必要な申請・不要な申請
推薦者表が必要なのは、在留資格認定証明書交付申請と、一部の人の在留資格変更許可申請です。在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる人を呼び寄せるための申請です。在留資格変更許可申請は、日本に在留する人が在留資格を切り替えるための申請です。
| 場面 | 日本側の申請 | 推薦者表 | 承認する機関と、手続きをする人 |
|---|---|---|---|
| ベトナムにいる人を新たに受け入れる | 在留資格認定証明書交付申請 | 必要(添付様式1) | ベトナム内務省海外労働管理局(DOLAB)。送出機関が手続きをする |
| 日本に在留する人を受け入れる(技能実習2号・3号の修了者、2年以上の課程を修了した留学生。次の節を参照) | 在留資格変更許可申請 | 必要(添付様式2) | 駐日ベトナム大使館。本人または受入れ機関等が手続きをする |
| 日本に在留する人を受け入れる(上の行に当たらない人) | 在留資格変更許可申請 | 不要 | ― |
| 特定技能で在留中の人が、転職で受入れ機関や分野を変える | 在留資格変更許可申請 | 不要 | ― |
| 特定技能で在留中の人が、在留期間を更新する | 在留期間更新許可申請 | 不要 | ― |
日本側の申請先は、どの場面でも地方出入国在留管理官署です。推薦者表は、あらかじめベトナム側の承認を受けてから、ほかの必要書類と一緒に提出します。
出典:出入国在留管理庁「ベトナムに関する情報」申請手続1・4、「特定技能に関する二国間の協力覚書」
日本に在留する人の変更申請で、必要な人と不要な人
日本に在留するベトナム国籍の人の変更申請では、推薦者表が必要な人が2つの類型に絞られています。入管庁が、2024年6月27日以降、当面の間の取扱いとして示しているものです。
- 技能実習2号または3号の修了者(修了見込みの人を含む)
- 日本国内で少なくとも2年間の課程を修了した留学生(修了見込みの人を含む)
この2つに当たらない人は、推薦者表を提出しなくてかまいません。ただし、在留資格「留学」の人で上の条件に当たらない場合は、現在の課程を修了したこと、または修了見込みであることを証明する書類(卒業証明書など)を提出します。
留学生を採用するときは、在籍した課程の年数を先に確認してください。2年以上の課程かどうかで、用意する書類が変わります。
入管庁は、申請の後にこれまでの在留状況を確認し、追加の書類を求めることがあるとしています。
出典:出入国在留管理庁「ベトナムに関する情報」申請手続4
ベトナムから新たに受け入れる場合の流れ
ベトナムから新たに受け入れる場合、推薦者表の手続きをするのは送出機関です。受入れ企業は、ベトナム政府が認定した送出機関(認定送出機関)から推薦者表を受け取り、入管に提出します。
- 受入れ企業が、認定送出機関と「労働者提供契約」を結ぶ
- 認定送出機関を通じて、DOLABに労働者提供契約の承認を申請し、承認を受ける
- 認定送出機関が人材を募集し、受入れ企業は紹介を受けて雇用契約を結ぶ
- 認定送出機関がDOLABに推薦者表を申請し、DOLABが発行する
- 認定送出機関が、発行された推薦者表を受入れ企業に送る
- 受入れ企業が、地方出入国在留管理官署に在留資格認定証明書交付申請をし、推薦者表を提出する
- 交付された証明書を本人に送り、本人が在ベトナム日本国大使館で査証(ビザ)を申請する
- 本人がベトナムを出国し、日本に入国する
入管庁の案内によると、ベトナム側は、出国の少なくとも5日前までに、送出機関と本人が「労働者海外派遣契約」を結ぶことを求めています。
1と2の労働者提供契約と、受入れ企業が送出機関に支払う費用は、ベトナムの特定技能「労働者提供契約」と受入れ企業の費用負担にまとめています。
外食業分野は、在留資格認定証明書の交付が止まっています。日本に在留する人の変更の申請も、原則として不許可です(2026年10月9日時点)。扱いは特定技能「外食業」の受入れ停止で説明しています。
日本に在留する人を受け入れる場合の流れ
日本に在留する人の推薦者表は、駐日ベトナム大使館の労働管理部に郵送で申請します。申請できるのは、本人のほか、受入れ企業(特定技能所属機関)、職業紹介事業者、登録支援機関です。
- 受入れ企業と本人が、特定技能の雇用契約を結ぶ
- 申請者が、推薦者表(添付様式2)と特定技能外国人表交付申請書を作り、必要書類と一緒に大使館の労働管理部に郵送する
- 労働管理部が、署名と押印をした推薦者表を郵送で返す
- 本人が、地方出入国在留管理官署に在留資格変更許可申請をし、推薦者表を提出する
推薦者表(添付様式2)は、申請書類の1つとして申請者が用意します。大使館は、承認したものに署名と押印をして返します。
大使館の案内は、不備のない書類を受け取ってから5勤務日以内に発送するとしています。手続きの費用は無料です。
当事務所でも、特定技能ビザの申請サポート(受入企業向け)で、ベトナム側の手続きと日本側の申請の時期を合わせるところからご相談いただけます。
出典:出入国在留管理庁「手続の解説」、駐日ベトナム社会主義共和国大使館「特定技能外国人表交付申請書の手続きのご案内」
駐日ベトナム大使館に出す書類
大使館に出す書類は7点で、4点目と5点目が、技能実習からの変更か留学からの変更かで違います。
| 書類 | 技能実習から変更する人 | 留学から変更する人 |
|---|---|---|
| 特定技能外国人表交付申請書(大使館の添付1) | 必要 | 必要 |
| 旅券の写し(身分事項のページ) | 必要 | 必要 |
| 推薦者表(協力覚書の添付様式2。大使館の添付2) | 必要 | 必要 |
| 修了を証明する書類 | 技能実習2号または3号の修了証明書の写し。または、修了見込証明書、専門級・随時3級の合格証明書や通知書の写し、技能実習生に関する評価調書の写しのいずれか | 日本の学校の、最低2年間の課程の卒業証明書・修了証書の写しなど |
| 試験の合格証明書の写しなど | 職種を変える場合に、技能試験と日本語試験(あれば)のもの | 技能試験と日本語試験(あれば)のもの |
| 住民票の写し | 必要 | 必要 |
| 返信用封筒 | 必要 | 必要 |
住民票は、発行から3か月以内で、国籍・在留資格・在留期間が記載されたものを出します。大使館は、記載がない場合は書類不備として返送することがあるとしています。
留学生が修了見込みの段階で申請するときは、修了・卒業の前3か月以内に発行された見込証明書の原本だけが受け付けられます。特定技能の在留資格が交付される前に、修了証明書か卒業証明書を追加で提出します。
返信用封筒は、宛名と送付先を書き、切手を貼ったものか、レターパックを用意します。複数の人をまとめて申請するときは、旅券の写し、修了を証明する書類、試験の合格証明書、住民票を、1人分ずつまとめます。
交付申請書には、本人の旅券番号のほか、技能実習のときのベトナムの送出機関名(留学生は日本の学校名)と、母国の親族の連絡先を書く欄があります。雇用契約を結ぶ前に本人から聞いておくと、書類をそろえやすくなります。
出典:駐日ベトナム社会主義共和国大使館「特定技能外国人表交付申請書の手続きのご案内」と、同ページに掲載の添付1・添付2
推薦者表の様式と記載事項
推薦者表の様式は2種類あり、認定申請用は2024年3月25日に変更されています。入管庁が変更を公表しているのは、この認定申請用(別添1)だけです。
| 認定申請用(別添1・変更後) | 変更申請用(添付様式2) | |
|---|---|---|
| 承認する機関 | 海外労働部(DOLAB) | 在日本国ベトナム労働管理部門(駐日ベトナム大使館労働管理部) |
| 1の欄 | ベトナムの認定送出機関に関する情報 | 登録支援機関に関する情報 |
| 2の欄 | 日本の受入機関に関する情報(名称、法人番号、代表者の氏名、所在地、電話番号) | 日本の受入機関に関する情報(名称、認可番号、代表者の氏名、所在地、電話番号、ファックス番号) |
| 3の欄 | 日本の職業紹介事業者に関する情報(利用する場合) | 労働期間 |
| 4の欄 | 労働期間 | 特定技能外国人に関する情報(従前の在留資格を含む) |
| 5の欄 | 特定技能外国人に関する情報(出国予定日を含む) | ― |
| 承認欄 | 電子公印、電子署名 | 署名および印 |
| 有効期間 | 署名日から1年間 | 署名日から1年間 |
認定申請用は、変更前は4つの欄でした。変更後は、受入機関の「認可番号」が「法人番号」になり、日本の職業紹介事業者の欄が加わっています。承認欄も「署名および印」から電子署名に変わりました。
どちらの様式にも、受入機関の欄があります。様式から見ると、推薦者表は、人と受入れ企業の組み合わせで承認される形です。
特定技能外国人に関する情報の欄には、1号・2号の別、氏名、生年月日、性別、旅券番号、職種(添付様式2では「職業」)を書きます。
出典:出入国在留管理庁「別添1の変更後の様式(和文仮訳)」、「協力覚書の添付様式1」(変更前)、「協力覚書の添付様式2」
よくある質問
修了見込みの段階でも、推薦者表は出ますか?
出ます。技能実習の修了見込みの人と、留学中の学校を修了(卒業)見込みの人にも発行され、推薦者表に修了(卒業)見込みと記載されます。
この記載がある場合、元留学生は、入管に推薦者表を出すときに、学校が発行した修了(卒業)を証明する文書をあわせて提出します。元技能実習生は、基本的に、技能実習2号を良好に修了したことに関する書類を出すため、別の修了証明は要りません。
カンボジアやタイの人を受け入れるときも、推薦者表は必要ですか?
必要ありません。推薦者表はベトナムの書類です。入管庁が申請のときに独自の書類の提出を求めている国は、カンボジア、タイ、ベトナムの3か国で、書類は国ごとに違います。
カンボジアは、カンボジア政府が発行する登録証明書を提出します。タイは、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所の認証を受けた雇用契約書を提出します。タイで提出が必要なのは、日本に在留する人が、技能実習2号または3号を修了した後に特定技能1号への変更を申請する場合です。
送出機関を使わずに、ベトナムから受け入れられますか?
入管庁の案内は、ベトナム側は基本的に認定送出機関の利用を求めている、としています。推薦者表の手続きも、送出機関がDOLABで行う仕組みです。ベトナムから新たに受け入れるときは、認定送出機関との契約から始めることになります。
まとめ
推薦者表は、ベトナム側の手続きを終えたことをベトナム政府が証明する書類です。ベトナムから新たに受け入れるときは、送出機関がDOLABで手続きをし、受入れ企業は在留資格認定証明書交付申請で提出します。
日本に在留する人の変更申請で必要なのは、技能実習2号・3号の修了者と、2年以上の課程を修了した留学生(どちらも修了見込みを含む)です。特定技能で在留中の人の転職と更新では要りません。
採用が決まったら、まず、その人が推薦者表の必要な類型に当たるかを確認してください。必要な場合は、住民票や修了を証明する書類をそろえ、在留期限から逆算して大使館に郵送します。
参考資料
- 出入国在留管理庁「ベトナムに関する情報」
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」
- 出入国在留管理庁「ベトナム特定技能外国人に係る手続の流れについて(フローチャート)」
- 出入国在留管理庁「ベトナム国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ(手続の解説)」
- 出入国在留管理庁「ベトナムとの特定技能に関する協力覚書(和文仮訳)」(2019年5月署名)
- 出入国在留管理庁「協力覚書 別添1の変更後の様式(和文仮訳)」(2024年3月25日変更)
- 出入国在留管理庁「協力覚書の添付様式2」
- 駐日ベトナム社会主義共和国大使館「「特定技能」への在留資格変更を希望する在日ベトナム人技能実習生又は留学生対象に対する特定技能外国人表交付申請書の手続きのご案内」
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(上陸基準省令)特定技能1号の項 第4号




