高度専門職ビザとは?70点のポイント制の仕組みとメリット、技人国との違い

日高 拓郎
日高 拓郎行政書士(申請取次)
公開
高度専門職ビザとは?70点のポイント制の仕組みとメリット、技人国との違い

※この記事は、2026年10月19日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。

高度専門職ビザ(在留資格「高度専門職」)とは、学歴・職歴・年収などを点数にする「高度人材ポイント制」で、70点以上になった外国人に認められる在留資格です。1号の在留期間は一律5年で、永住許可に必要な在留年数も短くなります。

技術・人文知識・国際業務(技人国)で採用する予定の社員が、実は70点に届いていることもあります。この記事では、ポイント制の考え方とメリット、技人国との違い、申請の準備でつまずきやすい点を紹介します。

目次
  1. 高度専門職ビザとは
  2. ポイント計算の仕組み
  3. 高度専門職のメリット
  4. 技人国との違い
  5. 申請の流れと審査期間
  6. 申請準備でつまずきやすいポイント
  7. ポイント計算結果通知書とは
  8. 採用後の注意点
  9. よくある質問
  10. まとめ
  11. 参考資料

高度専門職ビザとは

高度専門職1号は、活動の内容でイ・ロ・ハの3つに分かれ、どれもポイントの合計が70点以上であることが条件です。企業で専門的な仕事をする人の多くは、1号ロに当たります。

区分主な活動主に重なる在留資格
1号イ研究、研究の指導、教育教授、研究、教育
1号ロ自然科学・人文科学の知識や技術を要する業務技術・人文知識・国際業務(「国際業務」の部分を除く)、企業内転勤
1号ハ事業の経営・管理経営・管理

1号で3年以上活動し、ポイントが70点以上であることなどの要件を満たすと、在留期間に期限のない「2号」への変更を申請できます。

ポイント計算の仕組み

ポイントは、学歴・職歴・年収・年齢などの項目ごとに付き、合計が70点以上なら対象になります。1号ロの主な項目は、次のとおりです。

1号ロの主な項目
  • 学歴:博士30点、MBA・MOT 25点、修士20点、大卒10点
  • 職歴(これから従事する業務の経験):3年以上で5点〜10年以上で20点
  • 年収(これから1年間の予定):400万円以上で10点〜1,000万円以上で40点。年齢で下限が変わる
  • 年齢:30歳未満15点、35歳未満10点、40歳未満5点
  • 加算:日本の大学・大学院で学位を取得10点、日本語能力試験N1相当15点、法務大臣が告示で定める大学(世界大学ランキングの上位校など)を卒業10点 など

1号ロと1号ハは、年収が300万円に満たないと、ほかの項目で70点以上でも認められません。この最低年収の基準は、入管庁が引き上げる方針だと2026年10月18日に報じられました。報じられた内容は「高度専門職の最低年収基準の引上げ」にまとめています。

ポイントの計算で迷いやすいのは、職歴の数え方と加算です。職歴は、これから就く仕事に関連する実務経験だけを数えます。同じ経歴でも、どの期間をどの書類で裏付けるかで、点数が変わります。

高度専門職のメリット

1号になると、在留期間が一律5年になるほか、家族の帯同や手続きの優先処理で優遇されます。

優遇措置内容
在留期間「5年」法律上いちばん長い5年が一律に決まる
永住許可の在留年数原則10年のところ、70点以上なら3年、80点以上なら1年(ポイントが足りていれば、技人国など他の在留資格のままでも対象)
配偶者の就労学歴・職歴の要件を満たさなくても、「技術・人文知識・国際業務」などに当たる仕事ができる
親の帯同7歳未満の子の養育などのために、本人か配偶者の親を呼べる(世帯年収800万円以上など)
優先処理認定証明書は受理から10日以内、変更・更新は5日以内が目安

永住許可の年数の数え方と、永住の要件の全体は「永住ビザ(永住権)とは?」にまとめています。

技人国との違い

同じ会社で同じ仕事をする場合でも、高度専門職1号ロは、在留期間と手続きの優先処理で技人国より有利です。一方で、勤め先が指定されるという違いもあります。

比較項目技術・人文知識・国際業務高度専門職1号ロ
在留期間5年・3年・1年・3月のいずれか一律5年
永住に必要な在留年数原則10年。ポイントが70点以上・80点以上なら短縮の対象70点以上で3年、80点以上で1年。許可のときの通知書を永住申請で使える
勤め先の指定なしあり。転職のときは変更の申請が要る
最低年収の基準なし(日本人と同等額以上の報酬)年収300万円以上

高度専門職1号ロで申請する場合も、技人国と同じ学歴や業務の基準を満たす必要があります。審査で70点に届かなかった場合でも、技人国の要件を満たしていれば、本人の希望で技人国の認定証明書が交付されます。

技人国の要件と書類は「技人国ビザ完全ガイド」にまとめています。

申請の流れと審査期間

海外から呼ぶときは在留資格認定証明書の交付申請、日本にいる人を切り替えるときは在留資格変更許可申請をします。

  1. 学歴・職歴・予定年収でポイントを計算し、1号イ・ロ・ハのどれで申請するかを決める
  2. ポイント計算表と、ポイントを裏付ける資料(学位や職歴の証明書、年収を示す文書など)をそろえる
  3. もとになる在留資格(技人国など)の提出資料と合わせて、地方出入国在留管理局に申請する

ポイントの裏付け資料は、70点以上と確認できる分だけ出せば足ります。1年で永住を目指すなら、80点以上と確認できる分を出します。

高度専門職の申請は優先処理の対象で、目安は認定証明書が10日以内、変更・更新が5日以内です。ただ、実際にかかった日数の平均は、次のとおりです。

区分認定証明書の交付在留資格の変更在留期間の更新
1号イ41.1日38.8日63.3日
1号ロ38.7日51.5日38.8日
1号ハ70.8日119.1日54.8日

全国の地方出入国在留管理局で、令和8年7月に許可された申請の平均です。追加の資料を求められた期間を含み、変更と更新は、審査が終わってから許可を受けに行く日までを含みます。

入社日や入国の予定から逆算して、早めに準備を始めると安心です。

申請準備でつまずきやすいポイント

当事務所でサポートする中でも、手間がかかりやすいのは、ご本人の経歴を書類で裏付けるところと、会社側の窓口を確かめるところです。

つまずきやすいポイント
  • 以前の勤務先の在職証明書:期間・役職・業務内容が、オファーレターや辞令などほかの書類と食い違わないようにする
  • 職歴に数える期間:入社後の研修やローテーションの期間を職歴に数えるには、その間の業務内容が分かる証明書が要る
  • 会社の窓口:採用の担当とビザの担当が別のこともあり、最初に窓口を確かめておく

どの項目で何点を取るかを先に決め、必要な証明書から順に集めると、準備が早く進みます。

ポイント計算結果通知書とは

高度専門職の許可などを受けると、入管から「ポイント計算結果通知書」が渡され、認められたポイントの区分が分かります。入管庁の案内では「高度専門職ポイント計算結果通知書」とも呼ばれます。永住許可に必要な在留年数がポイントで変わるため、入管が結果を知らせる書類です。

通知書に書かれていること
  • 結果:「70点未満」「70点以上80点未満」「80点以上」のどれかにチェックが入る。具体的な点数は書かれない
  • 入国審査官の認証印
  • 注記:通知した点数はその許可のときに認められたもので、今後も同じ点数が認められることを保証するものではない、という趣旨

当事務所で担当した在留資格変更の申請では、新しい在留カードを窓口で受け取るときに、在留カードと一緒に渡されました。ご自身の区分が80点以上かどうかは、この通知書で確かめられます。

80点以上の区分で1年以上在留した方は、永住許可を申請するときに、この通知書の写しを出せます。通知書を出せば、通知を受けた時点のポイントの裏付け資料は要りません。永住申請の時点で80点以上あることは、計算表と資料で改めて示します。

永住を考える方は、通知書を大切に保管してください。

採用後の注意点

高度専門職1号は勤め先が指定されているため、転職するときは在留資格の変更の申請が必要です。

在留期間の更新のときも、改めて70点以上かを見られます。年齢が上がったり年収が下がったりして70点に届かないと、高度専門職としては更新できません。

よくある質問

専門学校を卒業した社員は、学歴のポイントの対象になりますか?

「高度専門士」の称号を受けた人は、大学卒と同じく対象になります。「専門士」の称号の人は対象になりません。

高度専門職の配偶者は、フルタイムで働けますか?

働けます。高度専門職の「就労する配偶者」として在留すれば、技術・人文知識・国際業務などに当たる仕事に、時間の制限なく就けます。高度専門職の本人と同居し、日本人と同じ額以上の報酬を受けることが条件です。

社員が取締役に昇進したら、在留資格の変更が必要ですか?

必要ありません。役員として担う業務が、専門的な知識や技術を要するものであれば、引き続き1号ロに当たります。希望すれば、1号ハへ変更することもできます。

在留中に70点を下回ったら、すぐに日本にいられなくなりますか?

すぐに在留できなくなるわけではありません。ただし、在留期間を更新する時点で70点に届かないと、高度専門職としては更新できません。その場合は、要件を満たせば、技人国など別の在留資格への変更を申請します。

2号には、いつ変更できますか?

高度専門職1号で3年以上活動し、申請の時点でポイントが70点以上あれば、変更を申請できます。素行が善良であることなども求められます。2号になると、在留期間に期限がなくなります。

まとめ

高度専門職ビザは、学歴・職歴・年収などのポイントが70点以上の外国人に認められる在留資格です。1号になると在留期間が一律5年になり、永住許可に必要な年数も3年か1年に短くなります。

70点に届くかは、職歴をどの書類で裏付けるかや、加算を使えるかで変わります。技人国で採用を考えている社員も、一度計算してみる価値があります。

高度専門職ビザの申請サポートでは、経歴と予定年収をうかがって、70点に届くかの見通しからお伝えします。

参考資料

執筆者

日高 拓郎
日高 拓郎

行政書士(申請取次)。ジプニー行政書士事務所 代表。千葉県行政書士会所属(登録番号 第25101585)。
フィリピンの現地法人で責任者を務めた後、2023年に株式会社ジプニー(登録支援機関)を創業。2025年にジプニー行政書士事務所を開業。

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