家族滞在ビザ完全ガイド|対象者・要件・必要書類・就労制限・変更までを行政書士が解説
【2026年4月18日更新】
家族滞在ビザは、日本で就労ビザ等を持って在留する外国人の配偶者・子を日本に呼び寄せるための在留資格です。名称から「家族全員を呼べるビザ」と受け取られがちですが、実際には対象者が限定されており、扶養者の在留資格によっては家族滞在自体が使えないケースもあります。
この記事では、家族滞在ビザの全体像を1ページで把握できるよう、入管庁の公式情報と入国・在留審査要領をもとに整理しました。呼べる家族の範囲、扶養者の在留資格、必要書類、週28時間の就労制限、在留期間の決まり、就労ビザ・永住・定住者への変更ルートまで、基礎から実務の注意点まで一通りカバーします。各テーマをさらに深掘りしたい場合は、本文中の個別記事のリンクからお進みください。
家族滞在ビザとは
家族滞在は、入管法別表第1の4に規定された在留資格です。活動内容は法律上、次のように定められています。
一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用、特定技能(特定技能1号に限る)、技能実習及び短期滞在を除く)をもって在留する者又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
ポイントは3つあります。
- 一定の在留資格者の扶養を受ける者だけが対象
- 対象者は配偶者または子に限定(親や兄弟は対象外)
- 在留できるのは扶養者が在留している間に限られる
扶養者が本邦を離れたり、扶養者の在留資格が終了した場合、家族滞在の在留資格も維持できなくなる点は、制度設計上の大原則として押さえておく必要があります。
家族滞在の扶養者になれる在留資格

扶養者として家族滞在の呼び寄せが認められる在留資格は、以下のとおりです。
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務(技人国)
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能2号
- 文化活動
- 留学(基準省令第1号イまたはロに該当するもの)
実務で最もよく見るのは、技人国・経営管理・高度専門職・特定技能2号あたりです。
家族滞在の扶養者になれない在留資格
次の在留資格で在留する方は、家族を家族滞在で呼ぶことができません。
- 外交・公用(※同一世帯の家族として「外交」「公用」の扱いとなる)
- 特定技能1号
- 技能実習
- 短期滞在
- 研修
- 家族滞在(家族滞在者の家族を家族滞在で呼ぶことは不可)
- 特定活動
特定技能1号と技能実習の方から「家族を呼べないのですか」というご質問をよくいただきますが、制度上、原則として家族帯同は認められていません。ただし、すでに家族滞在で在留していた配偶者が、扶養者の特定技能1号への変更に伴い特定活動(告示外)の在留を認められるなど、人道的配慮による例外的対応は個別に存在します。詳しくは特定技能ビザ完全ガイドで解説しています。
誰を呼べるか:「配偶者」「子」の範囲

家族滞在で呼び寄せ可能な家族は、配偶者と子だけです。親や兄弟姉妹は対象外です。
配偶者
法律上有効な婚姻関係が現に存続している者が配偶者に該当します。次のケースは含まれません。
- 離別した元配偶者
- 死別した配偶者
- 内縁関係の相手
- 外国で有効に成立した同性婚のパートナー
また、法律上の婚姻関係が成立していても、同居し互いに協力・扶助して社会通念上の夫婦の共同生活を営んでいない場合には、配偶者としての在留資格該当性は認められません。合理的な理由がない限り、同居していることが求められます。
子
嫡出子のほか、養子および認知された非嫡出子が含まれます。成年に達した子も含まれるのが特徴です。ただし、成人の子については「現に扶養を受けているか」が実質的に審査されるため、経済的に独立している成人の子は家族滞在の対象にはなりません。
親は対象外
家族滞在で両親を日本に呼ぶことはできません。両親の呼び寄せを検討できるのは、高度専門職ビザ保有者の特例(世帯年収800万円以上+7歳未満の子の養育または妊娠中の配偶者支援という条件)や、人道配慮による特定活動など、限定的なケースに限られます。
扶養関係の要件
家族滞在の審査で中核となるのは、次の4つです。
- 扶養者の扶養意思:扶養者が申請人を扶養する意思を明確に有していること
- 扶養者の扶養能力:扶養者が申請人を扶養するだけの経費支弁能力を有していること
- 同居(配偶者の場合)/監護養育(子の場合):配偶者は原則同居、子は扶養者の監護養育を受けている状態
- 経済的依存:申請人が扶養者に経済的に依存している状態(経済的に独立している配偶者・子は対象外)
扶養能力(年収)の目安
入管は一律の年収基準を公表していませんが、実務では居住地域の生活保護の支給基準額が最低ラインの目安になると言われています。行政書士の実務感覚としては、単身で約300万円+扶養家族1人につき60〜80万円程度の年収があると比較的審査が通りやすい、とされるのが一般的です。
ただし、居住地域の物価や家賃、世帯人数、扶養者の勤務継続年数などが総合的に見られるため、単純に「〇〇万円あれば大丈夫」と言い切れるものではありません。特に留学生の方が扶養者となる場合は、親族からの定期的な送金や奨学金の安定性が重要な判断材料になります。
書類の準備や扶養能力の説明の仕方で審査の通りやすさが変わるケースも少なくありません。当事務所でも家族滞在ビザの申請サポートを行っており、収入証明の組み立てや扶養関係の立証を含めて一貫してご相談いただけます。
必要書類(認定・変更・更新共通)

家族滞在の申請では、認定申請・変更申請・更新申請のいずれでも提出書類の基本構成はほぼ同じです。就労ビザのように扶養者のカテゴリ別に書類が大きく変わることはなく、次の6項目が共通して求められます(出典:入管庁「家族滞在に係る提出書類一覧」各チェックシート)。
- 申請書(認定/変更/更新/取得で書式が異なる)
- 写真(縦4cm×横3cm、申請前6か月以内に撮影、無帽・無背景)
- パスポートおよび在留カード(提示。認定申請の場合は返信用封筒)
- 申請人と扶養者との身分関係を証する文書:戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書(写し)、出生証明書(写し)のいずれか
- 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
- 扶養者の職業および収入を証する文書:
- 就労中・事業運営中の場合:在職証明書または営業許可書の写し+住民税の課税(非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得と納税状況が記載されたもの)
- 上記以外の活動(文化活動・留学等)の場合:扶養者名義の預金残高証明書、または奨学金給付に関する証明書
実務では、これに加えて申請理由書(特に海外から呼び寄せる場合の経緯説明)や住民票などを補助資料として添付するのが一般的です。書類の形式は揃っていても、身分関係の立証や扶養能力の説明が不十分だと不許可になるケースもあるため、一次資料の補強と理由書の丁寧な作成が重要になります。
COE審査期間の実務
家族滞在の在留資格認定証明書(COE)の審査期間は、2025年後半から2026年初頭にかけての公表データで70〜110日程度で推移しています。特に外国人労働者の家族呼び寄せ申請が増えている影響で、就労系在留資格のCOEより長期化する傾向があり、家族の出国予定日の4〜6か月前から申請準備を始めるのが安全です。
COEの有効期間は交付から3か月間のため、交付後は速やかに在外公館でのビザ発給手続き・日本への入国手続きを進める必要があります。
就労制限:週28時間の資格外活動許可

家族滞在ビザで在留する方は、原則として就労できません。日本でアルバイトやパートをする場合は、「資格外活動許可」を入管庁で取得する必要があります。
包括許可(週28時間以内)
申請の多くは「包括許可」で処理されます。
- 1週間につき28時間以内の収入を伴う活動が可能
- 風俗営業および性風俗関連特殊営業に従事する活動は除外(キャバクラ、スナック、パチンコ店など)
- 勤務先は特定されず、複数のアルバイトを掛け持ちしても合計が週28時間以内であれば問題ない
包括許可を受けている場合、在留カード裏面の「資格外活動許可」欄に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載されます。採用側は必ずこの欄を確認する必要があります。
28時間を超えると取消リスク
週28時間を超えて働いた場合、不法就労とみなされ、家族滞在の在留資格が取消される可能性があります(入管法第22条の4)。繁忙期でも上限は厳格で、年収103万円・130万円といった税制上の扶養ラインの前に、この28時間ルールが実質的な上限になります。
28時間を超えて働きたい場合は、技人国などの就労ビザへの変更を検討する必要があります。
在留期間のルール
家族滞在の在留期間は、扶養者の在留期間と連動して決定されます。
- 扶養者の在留期間の満了日から1月を超えない日まで、月単位(12月=1年)で決定
- 扶養者が中長期在留者の場合、家族滞在の方にも4月以上の在留期間を付与
- 3年を超える在留期間が付与されるのは、婚姻後の同居期間(本国における同居期間を含む)が3年を超えている場合に限られる
実務上、最長の「5年」が付与されるのは扶養者が5年を保有し、婚姻の継続性・安定性が明確に確認できるケースに限られます。新規呼び寄せでは「1年」から始まることが多いのが実情です。
家族滞在からの変更ルート

家族滞在の在留資格は、扶養者の状況やライフステージの変化に伴って、他の在留資格に変更する必要が生じます。主なルートは3つです。
ルート1:就労ビザ(技人国など)への変更
家族滞在の方が、日本の大学や専門学校を卒業して就職した場合、技人国などの就労ビザへ変更するのが基本ルートです。
主な要件は次のとおりです。
- 日本または海外の大学・専門学校を卒業し、学位・専門士等を取得していること(高卒不可)
- 専攻分野と業務内容に関連性があること
- 日本人と同等以上の報酬を受けること
- 過去に資格外活動許可の範囲を超えて就労していないこと(週28時間超過歴がないこと)
28時間ルールを継続的に超過していた場合、課税証明書に反映されて変更申請時に不許可の原因になるため、就労ビザへの変更を見据えている方は日々の労働時間管理が重要です。
ルート2:永住者の配偶者等(扶養者が永住許可を取得した場合)
扶養者(配偶者)が永住許可を取得した場合、家族滞在の方は速やかに「永住者の配偶者等」への在留資格変更を行う必要があります。
これは、家族滞在の扶養者として認められる在留資格に「永住者」が含まれていないためです。扶養者が永住者になった時点で、家族滞在の活動要件を満たさない状態になり、入管法第22条の4第1項第6号(活動を3か月以上行っていない場合の取消事由)に該当するリスクが発生します。
永住者となった配偶者に随伴して永住申請まで視野に入れる場合は、家族滞在から永住申請|永住者の配偶者特例の3パターンと提出書類の落とし穴で3つの申請パターンと書類区分を整理しています。
ルート3:高校卒業後の定住者・特定活動(告示)への変更
18歳未満で家族滞在として来日し、日本の高校を卒業して就職する方向けに、定住者または特定活動への変更という特別ルートが用意されています。
定住者への変更の要件: - 家族滞在で在留していること - 入国時に18歳未満であったこと - 日本の義務教育(小中学校)を修了していること - 日本の高等学校等を卒業または卒業見込みであること - 就労先が決定(内定含む)していること - 公的義務を履行していること
特定活動への変更の要件(定住者に該当しない方向け): - 家族滞在で在留していること - 入国時に18歳未満であったこと - 日本の高等学校等を卒業または卒業見込みであること - 高等学校等に編入している場合は、日本語能力試験N2相当の日本語能力を有すること - 就労先が決定(内定含む)していること - 公的義務を履行していること - 扶養者が身元保証人として本邦に在留していること
定住者と特定活動の大きな違いは、日本の義務教育を修了しているかという点です。日本の小中学校を出ていれば定住者、中学校から日本に来たケースは特定活動、という整理で概ね判断できます。
よくある誤解・注意点
家族滞在ビザで特に間違われやすいポイントを整理します。
両親・兄弟は呼べない
「家族滞在」という名称から、両親や兄弟の呼び寄せにも使えると誤解されやすいのですが、家族滞在の対象は配偶者と子だけです。両親を呼びたい場合は、高度専門職の親ビザ(特定活動)や人道的配慮による特定活動などの検討が必要です。
内縁関係・同性婚は対象外
家族滞在の「配偶者」は、日本の法律上有効な婚姻が成立している者に限られます。内縁関係のパートナーや、外国で同性婚が成立しているパートナーは対象になりません。
被扶養者の収入が扶養者を超えると不許可傾向
配偶者がアルバイト等で働き、その年収が扶養者の年収を超えている場合、「扶養を受けている」状態と評価されにくくなり、不許可になるケースがあります。28時間制限の範囲内であっても、扶養関係の実体が問われます。
離婚・死別した場合は14日以内に届出
家族滞在ビザで在留中に離婚または死別した場合、事由発生から14日以内に入管庁への届出が義務です(入管法第19条の16)。また、離婚後3か月以上配偶者としての活動を行わない状態が続くと、在留資格の取消対象になり得ます(入管法第22条の4第1項第7号)。
離婚後は、就労ビザ、経営・管理ビザ、新しい配偶者との再婚による日本人/永住者の配偶者等ビザなど、別の在留資格への変更を3か月以内に進める必要があります。
家族滞在 → 留学 → 就職失敗 で家族滞在には戻れない
大学進学のタイミングで家族滞在から留学に変更する方は多くいますが、卒業後に就職が決まらなかった場合、家族滞在にはもう戻れません。留学ビザから再度家族滞在への変更申請自体は可能ですが、すでに成人しており扶養の必要性が認められにくいため、実質的に難しいケースが大半です。
よくある質問
Q. 家族滞在ビザで両親を日本に呼び寄せることはできますか?
できません。家族滞在の対象は配偶者と子のみです。両親の呼び寄せは、扶養者が高度専門職の在留資格で世帯年収800万円以上かつ7歳未満の子を養育している、といった限定的な特例の範囲でのみ検討できます。
Q. 特定技能1号で働いている配偶者を家族滞在で呼べないのはなぜですか?
制度設計上、特定技能1号は「人材不足分野での即戦力受入れ」を目的としており、家族帯同は原則として想定されていません。これに対し、特定技能2号は熟練労働者として長期就労を前提としているため、配偶者と子の家族帯同が認められています。1号から2号への移行ができれば、家族滞在での呼び寄せが可能になります。
Q. 資格外活動許可を受けずにアルバイトした場合どうなりますか?
不法就労にあたり、家族滞在の在留資格の取消事由になります。雇用主にも不法就労助長罪(入管法第73条の2)が適用される可能性があり、本人・雇用主の双方にとって重大なリスクになります。アルバイトをする前に必ず資格外活動許可を取得してください。
Q. 家族滞在のまま高校卒業後に日本で就職できますか?
そのままでは働けません。資格外活動許可の週28時間を超える就労は家族滞在のままでは不可能です。ただし、日本の高校を卒業し就職先が決まっている場合は、定住者または特定活動への変更が認められる特例ルートがあります(本記事「ルート3」参照)。
Q. 家族滞在ビザは最長で何年付与されますか?
最長5年ですが、初回から5年が付与されることは稀です。扶養者の在留期間と連動するため、扶養者が1年の場合は家族滞在も1年、扶養者が3年・5年と伸びていくのに合わせて家族滞在も伸びていくのが一般的です。また、3年を超える付与には、婚姻後の同居期間が3年を超えていることが要件とされています。
まとめ
家族滞在ビザの要点を整理すると、次のとおりです。
- 対象となるのは配偶者と子のみ。親・兄弟・内縁・同性婚は対象外
- 扶養者として認められる在留資格は限定されており、特定技能1号・技能実習は対象外
- 必要書類は認定・変更・更新で共通の6項目。扶養者のカテゴリ別書類差異はない
- 就労は週28時間以内の資格外活動許可が原則。風俗営業等は除外
- 在留期間は扶養者と連動。3年超の付与は婚姻後の同居期間3年超が条件
- 変更ルートは就労ビザ/永住者の配偶者等/高校卒業後の定住者・特定活動の3系統
- 離婚・死別時は14日以内に届出、3か月以内に在留資格変更が必要
家族滞在は一見シンプルな制度ですが、扶養者の在留資格の変化や離婚・永住取得など、ライフイベントごとに在留資格の整理が必要になります。各論点の詳細は、本記事からリンクしている個別記事も併せてご参照ください。書類準備や変更申請でご不明な点がある場合は、家族滞在ビザの変更申請サポートについてもお気軽にご相談ください。
