家族滞在ビザで永住申請|永住者の配偶者特例の3パターンと提出書類の落とし穴

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家族滞在ビザで永住申請|永住者の配偶者特例の3パターンと提出書類の落とし穴
公開日: 2026年4月18日
カテゴリ: 永住申請

家族滞在ビザで永住申請|永住者の配偶者特例の3パターンと提出書類の落とし穴

【2026年4月18日更新】

就労ビザで在留する方が先に永住許可を取得し、家族滞在ビザでその扶養を受けてきた配偶者が後から永住申請する——このパターンは実務上よくあるご相談です。

「家族滞在ビザでは永住申請できない」と思われている方もいますが、これは誤解です。配偶者が永住者になった時点で「永住者の配偶者」という身分関係が成立し、永住申請の特例が適用されます。

ただし、この特例には 3つのパターンがあり、提出書類の区分や進め方がそれぞれ異なります。特に「同時申請」と「永住者の配偶者等ビザに変更してから申請」では、住民税の提出年数が変わります。さらに「永住者の配偶者なのに家族滞在のまま放置」という状態は、入管法上、本来あってはならない状態です。

この記事では、3つのパターンに整理して、それぞれの要件・提出書類・注意点を解説します。

特例で何が緩和されるのか(共通の前提)

3パターンに共通する特例の中身を、まず整理しておきます。

10年の在留要件が「婚姻3年+日本在留1年」に緩和される

通常、永住許可には「引き続き10年以上日本に在留」し、そのうち就労資格等で5年以上在留していることが求められます。しかし、入国・在留審査要領の特例(1)により、永住者の配偶者は以下の要件で足ります。

  • 実体を伴った婚姻が3年以上継続していること
  • 引き続き1年以上日本に在留していること

婚姻期間の3年は日本国内に限りません。海外での婚姻期間を含めて3年以上であり、かつ日本での在留が引き続き1年以上あれば要件を満たします。

在留資格が「永住者の配偶者等」でなくても特例は適用される

この特例は、在留資格が「永住者の配偶者等」であることを条件としていません。身分関係——つまり永住者の配偶者であるという事実——で判断されます。

そのため、家族滞在ビザのまま申請するパターン(後述のパターン1)でも特例は適用されます。

素行善良要件・独立生計要件が免除される

入管法第22条第2項により、永住者の配偶者については素行善良要件・独立生計要件に適合することを要しないとされています。審査の対象となるのは国益要件のみです。具体的には以下の点が確認されます。

  • 公的義務の適正な履行(納税、年金、医療保険料、入管法上の届出義務)
  • 最長の在留期間をもって在留していること
  • 公衆衛生上有害でないこと
  • 著しく公益を害するおそれがないこと

公的義務の履行が国益要件の中核です。

パターン1:扶養する側(就労資格)と扶養される側(家族滞在)の同時申請

実務上もっとも多いのが、就労ビザで在留する方とその扶養を受ける家族滞在ビザの方が、同時に永住申請を提出するパターンです。

審査の進み方

申請は同時に出しますが、審査は同時には進みません。

  1. まず扶養する側(就労ビザ)が、通常の永住要件(10年在留+就労5年等)で審査される
  2. 扶養する側が永住許可を受けた段階で、扶養される側(家族滞在)はそのまま「永住者の配偶者」として特例の審査に入る

家族滞在の方が日本に10年在留していなくても、婚姻3年+日本在留1年の要件を満たしていれば問題ありません。

注意①:1年の日本在留がない場合は申請できない

特例の要件である「日本在留1年」を満たしていないと、永住申請は受け付けられません。この場合、まず家族滞在から「永住者の配偶者等」へ在留資格変更を行ったうえで在留期間を積むか、要件を満たすまで待つ必要があります。

注意②:提出書類は家族滞在カテゴリ(住民税5年分)が適用される

ここが同時申請パターンの最大の落とし穴です。

特例で在留要件が「婚姻3年+在留1年」に緩和されるため、提出書類も配偶者カテゴリ(永住許可申請1・住民税3年分)が適用されると思われがちです。しかし、家族滞在のまま申請する以上、提出書類の区分は申請時点の在留資格で決まり、永住許可申請3(家族滞在カテゴリ)が適用されます。住民税は直近5年分の提出が必要です。

  • 特例の適用(在留要件の緩和・素行善良要件・独立生計要件の免除) → 身分関係で判断
  • 提出書類の区分 → 在留資格で判断 → 永住許可申請3

要件の緩和と書類の区分は別のロジックで動いている、という点は申請準備の段階で十分ご注意ください。

注意③:5年分が出せない場合は出せる分だけでOK。ただし扶養する側により安定性が求められる

特例の「婚姻3年+在留1年」で申請できる以上、日本での在留が短く住民税5年分を提出できないケースは当然ありえます。たとえば、海外で結婚生活を3年送った後、扶養する側の日本転勤に帯同して来日し1年が経過した——このような場合です。

住民税5年分が揃わないからといって、直ちに申請できないわけではありません。出せる分だけの提出で問題ありません。

ただし、提出できる期間が短い分、扶養する側(就労ビザ)の収入の安定性や公的義務の履行状況により安定性が求められます。同じ会社で長く勤務しているか、収入が安定しているか、納税・年金・保険料を一貫して履行しているか——こうした点が総合的に評価されます。

当事務所でも永住許可申請のサポートを行っており、家族滞在ビザからの同時申請についても、提出書類の準備からご相談いただけます。

パターン2:永住者の配偶者なのに家族滞在のまま放置 ── 本来あってはならない状態

扶養する側だけが先に永住許可を取得し、家族滞在の方がそのまま放置されているケース。これは本来あってはならない在留状態であり、実務上このまま永住申請を出す状況は基本的に発生しません。

根拠:入管法第22条の4第1項第6号

家族滞在の活動内容(入管法別表第1の4)は、就労系・文化活動・留学などの在留資格者の扶養を受ける配偶者又は子としての活動と定められています。「永住者」は家族滞在の扶養者として列挙されていません

そのため、扶養する側が永住者になった時点で、家族滞在の在留資格に該当する活動を行っていない状態となります。入管法第22条の4第1項第6号は、別表第1の在留資格をもって在留する者が当該活動を継続して3か月以上行っていない場合(正当な理由を除く)、在留資格の取消対象となると定めています。

必要な対応:速やかに「永住者の配偶者等」へ変更

扶養する側が永住許可を取得したら、家族滞在の方は速やかに「永住者の配偶者等」への在留資格変更許可申請(入管法第20条)を行う必要があります。

その上で、永住申請を出す場合は次のパターン3に進みます。

なお、変更申請の準備期間中は「正当な理由」として考慮されうるため、即座に取消というわけではありません。しかし放置すれば取消リスクが現実化するため、扶養者の永住許可取得が見えた段階から準備を始めるのが安全です。

パターン3:永住者の配偶者等ビザを取得済みの場合

家族滞在から「永住者の配偶者等」に変更を済ませた方、または最初から「永住者の配偶者等」で在留している方が永住申請するパターンです。

要件は共通:婚姻3年+日本在留1年

特例の要件は他のパターンと同じく、婚姻3年以上+日本在留1年以上です。

提出書類は永住許可申請1(住民税3年分)

このパターンでは、提出書類の区分が永住許可申請1(永住者の配偶者等カテゴリ)となり、住民税は直近3年分の提出で足ります。

パターン1と比べて住民税の負担が軽い分、申請準備はやや簡素になります。

3年分が出せない場合の扱い

「永住者の配偶者等」への変更直後で、住民税3年分の履歴がまだ揃っていない場合は、出せる分だけの提出で問題ありません。ただしその場合も、永住者である配偶者側の就労収入の安定性により安定性が求められます。配偶者の勤務先・収入・納税状況などが総合的に確認されます。

補足:そもそも住民税履歴が足りないケースは実務上ほぼ起きない

ここまで「住民税が5年分(あるいは3年分)出せない場合」の取扱いを説明してきましたが、この状況は実務上ほぼ発生しません。理由は永住申請の要件と在留期間のしくみにあります。

永住許可ガイドラインは「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」を要件としています。多くの就労系在留資格や家族滞在の最長在留期間は 5年です。

経過措置(注1)により、令和9年3月31日(2027年3月31日)までは在留期間「3年」でも要件を満たすとみなされます。同日時点で「3年」を有する方は、その有効期間内・初回に限り「3年」でも申請可能です。経過措置の詳しい読み方は在留期間「3年」での永住申請の経過措置で解説しています。

在留期間は「1年→3年→5年」と段階的に取得していくため、永住申請のタイミングでは自然と在留歴も住民税履歴も5年分以上揃っているのが通常です。同時申請(パターン1)で住民税5年分が出せないケースが想定されるのは、海外婚姻が長くて来日後の在留歴が短い等、特殊な事情がある場合に限られます。

よくある質問

Q. 扶養する側が永住許可を取った後、家族滞在のまま何もしないとどうなりますか?

入管法第22条の4第1項第6号により、家族滞在の活動を3か月以上行っていない状態が続くと、在留資格の取消対象になります。扶養する側が永住許可を受けた段階で、速やかに「永住者の配偶者等」への在留資格変更を行う必要があります。

Q. 家族滞在のまま永住申請する場合と、永住者の配偶者等に変更してから申請する場合で、どちらが有利ですか?

特例の要件(婚姻3年+在留1年)は同じです。違いは提出書類の区分で、家族滞在のまま申請すると住民税5年分、永住者の配偶者等に変更後だと住民税3年分が必要になります。同時申請の場合は家族滞在のまま提出するのが一般的ですが、扶養する側がすでに永住許可を持っている場合は、まず変更してから申請する方が書類の負担は軽くなります。

Q. 婚姻3年の要件は、日本国内での婚姻期間だけですか?

いいえ。海外での婚姻期間を含めて3年以上であれば要件を満たします。ただし、日本での在留が引き続き1年以上であることは別途必要です。

Q. 素行善良要件が免除されるということは、過去に罰金刑を受けていても申請できますか?

永住者の配偶者として申請する場合、法律上は素行善良要件に適合することを要しないとされています。ただし、国益要件の一部として「著しく公益を害する行為をするおそれがないこと」は審査されるため、重大な法令違反がある場合は影響する可能性があります。

まとめ

  • 永住者の配偶者として永住申請する場合、特例により婚姻3年+日本在留1年で申請可能
  • 素行善良要件・独立生計要件は免除。審査対象は国益要件のみ
  • パターンは3つに整理できる:
    • パターン1(同時申請):提出書類は永住許可申請3(住民税5年分)。5年分が出せない場合は扶養する側により安定性が求められる
    • パターン2(家族滞在のまま放置):入管法第22条の4第1項第6号により本来あってはならない状態。速やかに「永住者の配偶者等」へ変更が必要
    • パターン3(永住者の配偶者等を取得済み):提出書類は永住許可申請1(住民税3年分
  • 在留期間の最長要件と経過措置のしくみから、住民税履歴が足りないケースは実務上ほぼ発生しない

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