※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
在留資格が「家族滞在」のままでも、配偶者が永住者であれば、永住許可の「配偶者の特例」の対象に入ります。永住許可に関するガイドラインは、この特例を在留資格ではなく「永住者の配偶者」という身分で書いています。ただし、家族滞在の方を名指しした入管庁の資料はなく、家族滞在のままだと審査で見られる点も残ります。
必要な年数は、申請した日で変わります。2027年3月31日までの申請は婚姻生活3年以上と引き続き1年以上の在留、2027年4月1日以降の申請は5年以上と3年以上です。提出書類は、現在の在留資格で分かれます。先に「永住者の配偶者等」へ変更してから申請する方法との違いも説明します。
目次
家族滞在のままでも、配偶者の特例は使えるのか
配偶者が永住者であれば、在留資格が「家族滞在」のままでも、ガイドラインの文言上、配偶者の特例の対象に入ります。家族滞在は、就労や留学の在留資格で日本にいる人が扶養する、配偶者と子のための在留資格です。
永住許可(在留資格「永住者」への変更の許可)の審査では、原則として引き続き10年以上の在留があるかが見られます。配偶者の特例は、この10年を短くする仕組みです。ガイドラインは、対象を「日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合」と書いています。
在留資格の名前は、条件に入っていません。同じガイドラインの定住者の特例は、「『定住者』の在留資格で5年以上」と在留資格で書かれています。配偶者の特例は、永住者の配偶者という身分で決まる書き方です。
- 日本人の配偶者
- 永住者の配偶者
- 特別永住者の配偶者
- その実子等(必要な年数は配偶者と別)
入管庁の公表資料に、家族滞在の方を名指しして、この特例を受けられると書いたものはありません(2026年10月時点)。当事務所が2026年4月に名古屋出入国在留管理局へ確認した際は、10年の在留と独立生計要件について、永住者の配偶者として扱うとの説明でした。これは2026年10月1日の改定より前の確認です。改定後のガイドラインでも、特例を身分で書く形は変わっていません。
身分だけで許可が決まるわけではありません。入管庁は、配偶者等についても「その身分関係のみをもって判断するものではありません」とし、各申請者の状況を総合的に考慮して審査するとしています。
出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」第3の1・2、「永住許可に関するガイドライン案改定に係る意見募集の結果について」別紙65(2026年10月1日)
必要な年数は、申請した日で決まる
必要な年数は、許可が出る日ではなく、申請した日で決まります。改定後のガイドラインは、2027年4月1日以降の申請から適用されます。
| 2027年3月31日までの申請 | 2027年4月1日以降の申請 | |
|---|---|---|
| 配偶者 | 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続+引き続き1年以上日本に在留 | 実体を伴った婚姻生活が5年以上継続+引き続き3年以上日本に在留 |
| 実子等 | 1年以上日本に継続して在留 | 3年以上日本に継続して在留 |
出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」第3の1・第6、「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」2(1)
2027年3月31日までに申請した場合は、結果が4月以降に出ても、左の列の年数が当てはまります。
ガイドラインは、婚姻生活の年数と日本での在留の年数を、別々の条件として書いています。婚姻生活を日本で送ったことは、条件に書かれていません。在留の年数は「引き続き」の年数です。
婚姻生活は「実体を伴った」ものに限られます。入管庁は、婚姻の実態を「提出資料その他の情報に基づき個別具体的に確認」するとし、詳しい確認方法は公表しないとしています。
改定の全体と適用時期は、永住許可ガイドラインの改定内容にまとめています。
出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン案改定に係る意見募集の結果について」別紙64(2026年10月1日)
特例を使っても、審査で見られること
永住者の配偶者と子には、素行善良要件と独立生計要件への適合が求められません(入管法第22条第2項ただし書)。残る国益要件(その方の永住が日本の利益に合うこと)は、配偶者の申請でも審査されます。
主な項目は次のとおりです。「消極評価」は、審査で不利な事情として扱うという意味です。
| 項目 | 2027年3月31日までの申請 | 2027年4月1日以降の申請 |
|---|---|---|
| 税金・年金・医療保険料、入管法の届出 | 適正に履行していること。納期限内に納めていない場合は、原則として消極的に評価 | 守られていない場合は消極評価。過去の滞納処分や過去の義務違反も、原則として消極評価。税金と保険料は原則として世帯単位 |
| 刑罰 | 罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと | 拘禁刑や罰金刑を受けた方、少年法による一定の保護処分を受けている方は、原則として消極評価 |
| 在留期間 | 現在の在留資格の最長の在留期間で在留していること | 同じ |
| 現在の在留資格の基準 | 現に有している在留資格について、上陸許可基準等に適合していること | 適合していない場合は消極評価 |
| 公共の負担 | 国益要件の項目としては記載なし(一部の審査中の案件を除く。下の説明) | 下の説明のとおり |
| 日本語能力など | 記載なし | 日本語能力(B1相当レベル以上)、制度・ルールの理解、学齢期の子の就学、出国日数 |
在留期間が「3年」の方の扱いは、在留期間「3年」の経過措置にまとめています。
独立生計要件が不要でも、公共の負担は見られる
配偶者と子は独立生計要件を求められませんが、公共の負担は国益要件の中で見られます。改定後のガイドラインは、配偶者と子に独立生計要件への適合は求められないとしたうえで、公共の負担を国益要件の中で見るとしています。対象は、世帯が現に公共の負担になっている場合や、そのおそれが現実的な場合です。そうなったことに特段の事情が認められないときは、「消極評価をすることがあります」と書かれています。
ガイドラインは、この項目を、家族単位での在留の安定や人道的な配慮を重視して総合的に判断するとも書いています。年収水準と年金の見込額は独立生計要件の中の項目なので、配偶者と子にそのまま当てはめる形にはなっていません。
公共の負担の項目は、2026年4月1日以降に申請し、2026年10月1日時点で審査中だった案件にも適用されています。
出典:出入国管理及び難民認定法 第22条第2項、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」第2の2、第2の5(2)〜(4)・(6)〜(10)、第6、「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」1(3)
提出書類は「現在の在留資格」で分かれる
提出書類は、特例を使えるかどうかとは別に、現在の在留資格で分かれます。入管庁の提出書類一覧表は、列を「現在の在留資格」で分けています。
| 家族滞在のまま申請 | 「永住者の配偶者等」に変更してから申請 | |
|---|---|---|
| 入管庁のページ | 永住許可申請3 | 永住許可申請1 |
| 住民税の課税証明書・納税証明書 | 直近5年分 | 直近3年分 |
| 理由書 | 必要 | 提出書類に入っていない |
| 親族一覧表 | 提出書類に入っていない | 必要 |
| 年金・医療保険料の納付を証明する資料 | 直近2年間 | 直近2年間 |
出典:出入国在留管理庁「永住許可申請」掲載の提出書類一覧表(概要版・就労資格以外)、「永住許可申請1」、「永住許可申請3」
永住許可申請1のページは、対象を「申請人の方が、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者のいずれかである場合」としています。永住許可申請3のページは、就労関係の在留資格、または「家族滞在」の在留資格である場合としています。家族滞在で配偶者が永住者の方は、どちらにも当てはまるように読めます。当事務所が2026年4月に名古屋出入国在留管理局へ確認したところ、家族滞在の方は永住許可申請3の書類を出す、との回答でした。10年の在留と独立生計要件は、永住者の配偶者として扱うとの説明も受けています。
永住許可申請3のページで案内されているセルフチェックシートは就労資格用で、1問目は10年以上の在留を問う形です。配偶者の特例を使う家族滞在の方がこの問いにどう答えるかは、入管庁の資料に説明がありません(2026年10月時点)。
年数の数え方や書類の区分に迷う方は、永住許可申請のご相談で、在留歴と婚姻の時期を一緒に確認します。
家族滞在のまま申請するか、先に在留資格を変更するか
家族滞在のまま申請する方法と、先に「永住者の配偶者等」へ変更してから申請する方法があります。この節の条文の読み方は、入管庁の説明ではなく、当事務所の読みです。配偶者が永住者になった家族滞在の方を名指しした入管庁の資料は、見当たりません(2026年10月時点)。
配偶者が永住許可を受けると、条文の上では、家族滞在の活動に当てはまらなくなります。入管法は、家族滞在を、就労や留学など別表第一の一定の在留資格で在留する人の「扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」と定めています。「永住者」は別表第二の在留資格で、ここに含まれません。
入管法第22条の4第1項第6号は、別表第一の在留資格の活動を継続して3か月以上行わないで在留している場合を定めています。この場合、法務大臣は在留資格を取り消すことができます。正当な理由がある場合は除かれます。「取り消すことができる」という定めで、3か月たつと自動的に取り消されるわけではありません。取り消す前には、意見を聴く手続きがあります(同条第2項)。
永住許可の審査でも、同じ点が関わります。家族滞在の基準(上陸許可基準)は、就労や留学などの在留資格で在留する人の扶養を受けることです。ガイドラインは、現在の在留資格の基準に適合していない場合を消極評価としています。家族滞在のまま申請すると、この点がどう見られるかが残ります。
2つの方法をどう選ぶか
違いは、現在の在留資格の基準の点が残るかどうかと、書類の年数、変更にかかる期間です。
- 家族滞在のまま申請する:変更の手続きを挟まずに申請できる。現在の在留資格の基準に適合しているかという点が残り、住民税の証明書は直近5年分
- 先に「永住者の配偶者等」へ変更する:現在の在留資格と身分が一致する。住民税の証明書は直近3年分。変更の申請と審査の期間が要る
2027年3月31日までに永住許可を申請したい方は、変更にかかる期間も含めて、どちらの方法にするかを決めることになります。
永住者の配偶者のための在留資格は「永住者の配偶者等」です。家族滞在から変更するときは、本人が、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に在留資格変更許可申請を出し、法務大臣が許可するかどうかを決めます。申請できるのは、変更の事由が生じたときから在留期間の満了日までです。変更後に永住許可を申請する場合の提出書類は、永住許可申請1です。
出典:出入国管理及び難民認定法 第20条、第22条の4第1項第6号・第2項、別表第一の四の表(家族滞在)、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(家族滞在の項)、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」第2の5(5)、別表第二(永住者の配偶者等)、出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」、「在留資格変更許可申請」
よくある質問
住民税の証明書が5年分そろいません。申請できますか?
発行される分を提出します。入管庁は、市区町村で直近5年分の証明書が発行されない場合は、発行される最長期間分を提出するよう案内しています。当事務所が2026年4月に名古屋出入国在留管理局へ確認した際も、取得できる期間分の提出でよいとの回答でした。
世帯で生活保護を受けています。配偶者の特例で申請すると、どう見られますか?
改定後のガイドラインでは、国益要件の「公共の負担」の項目で見られます。入管庁は、生活保護法の取扱いに準じた保護措置を受けている場合は「現に公共の負担となっているものと考えられます」としています。そうなったことに特段の事情があるかも、審査で考慮されます。
配偶者の永住許可申請と同時に、家族滞在の私も申請する場合の書類は?
家族滞在の方は、永住許可申請3の書類一式を出します(当事務所が2026年4月に名古屋出入国在留管理局へ確認)。配偶者の特例は、配偶者が永住者であることが前提です。同時に申請したときの審査の順序は、入管庁の公表資料に書かれていません(2026年10月時点)。
まとめ
在留資格が家族滞在のままでも、配偶者が永住者であれば、ガイドラインの文言上、永住許可の配偶者の特例の対象に入ります。必要な年数は申請した日で決まり、2027年3月31日までの申請は婚姻生活3年以上と引き続き1年以上の在留、2027年4月1日以降の申請は5年以上と3年以上です。
素行善良要件と独立生計要件は求められませんが、納付状況や刑罰などの国益要件は審査されます。提出書類は現在の在留資格で分かれ、家族滞在のまま申請する場合は永住許可申請3です。家族滞在のままだと、現在の在留資格の基準に適合しているかという点が残ります。先に「永住者の配偶者等」へ変更する方法と比べて決めてください。
まずは、婚姻した日、日本での在留が始まった日、住民税と年金・医療保険料の納付状況を確認しておくと、申請の時期を決めやすくなります。
参考資料
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」(2026年2月。改定前の版)
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン案改定に係る意見募集の結果について」(2026年10月1日)
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」、「永住許可申請1」、「永住許可申請3」
- 出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」、「在留資格変更許可申請」
- 出入国管理及び難民認定法 第20条、第22条第2項、第22条の4第1項第6号、別表第一の四の表、別表第二




