【2027年4月施行】永住権の取り消し制度|対象となるケース・ならないケース・今からできる対策

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【2027年4月施行】永住権の取り消し制度|対象となるケース・ならないケース・今からできる対策
公開日: 2026年4月10日
カテゴリ: 永住申請

【2027年4月施行】永住権の取り消し制度|対象となるケース・ならないケース・今からできる対策

2024年6月に成立した改正入管法により、2027年4月から永住権の取り消し制度が新たに施行されます。永住権はこれまで、一度取得すれば在留期間の制限なく日本に住み続けることができる在留資格でした。更新手続きも不要で、在留資格の中では最も安定した地位とされています。

今回の制度改正により、一定の事由に該当する場合には永住権が取り消される可能性が生じます。ただし、「うっかり支払いを忘れた」「病気で働けなかった」といったケースまで対象になるわけではありません。この記事では、取り消しの対象となるケースとならないケースを整理し、今からできる対策をお伝えします。

永住権の取り消し制度の概要

法律の成立と施行時期

永住許可制度の適正化を含む改正入管法は、2024年6月14日に国会で成立し、同年6月21日に公布されています(令和6年法律第59号)。施行は2027年4月です。法律はすでに成立・公布されており、施行を待っている段階です。

なぜこの制度が作られたのか

入国・在留審査要領には、永住者の在留資格について以下のように記されています。

永住者の在留資格をもって在留する者は、在留活動に制限はなく、在留期間にも制限がないことから、永住許可に係る審査は言わば入管としては当該外国人の在留に関する最終の審査になる

永住権は「最終の審査」であるがゆえに、取得後に公的義務を果たさなくなった場合の対処手段が限られていました。在留期間の更新がないため、定期的な審査の機会がなかったのです。今回の取り消し制度は、こうした状況を踏まえて整備されたものです。

取り消しの対象となる3つのケース

改正入管法では、以下の3つが新たな取消事由として追加されました(法22条の4第8号・第9号)。

1. 税金・年金・健康保険料の故意の未払い

「故意に公租公課の支払をしないこと」が取消事由とされています。

入管庁のQ&Aによれば、「故意に公租公課の支払をしないこと」とは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことを指します。具体的には、支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず支払をしない場合などが想定されています。

対象となる公租公課には、住民税、所得税、国民年金、国民健康保険料などが含まれます。

2. 入管法上の義務の悪質な違反

入管法に定められた届出義務(所属機関の届出、住居地の届出、在留カードの記載事項変更届出など)を遵守しない場合も取消事由とされています。

3. 重大犯罪による拘禁刑

殺人、強盗、窃盗、詐欺、恐喝、危険運転致死傷などの重大犯罪(故意犯)を犯し、拘禁刑(懲役・禁錮)に処された場合が対象です。

取り消しの対象にならないケース

この制度で最も重要なのは、どういう場合には取り消されないのかという点です。入管庁のQ&Aや運用案から読み取れる内容を整理します。

病気や失業で支払えなかった場合

やむを得ない事情により公租公課を支払えなかった場合は、原則として取り消しの対象にはならないとされています。病気で働けなくなった、失業して収入がなくなったなどの事情がこれにあたります。

支払い忘れや少額の遅延

うっかり支払いを忘れた場合や、短期間の遅延は、「故意に」支払わないこととは異なります。故意性が認められない場合は取り消し対象にはならないとされています。

義務を十分に認識していなかった場合

届出義務の存在を知らなかった場合なども、原則として対象外とする方向で運用が検討されています。

過失による犯罪

過失運転致死傷(いわゆる交通事故)は本制度の対象外です。対象となるのは故意犯のみです。

罰金刑のみの場合

取消事由となるのは拘禁刑(懲役・禁錮)に処された場合に限られます。罰金刑のみの場合は対象外です。

道路交通法違反

道路交通法違反により処罰された場合も対象となりません。

取り消しの手続き——突然取り消されるわけではない

永住権の取り消しは、ある日突然行われるものではありません。

取り消しに先立ち、入管から書面による通知(聴聞通知書または弁明の機会の付与通知書)が届きます。この通知を受けた後、本人には自分の事情を説明する機会が与えられます。やむを得ない事情や反論がある場合はこの場で主張することができます。

ただし、回答期限は通常1〜2週間程度とされており、通知を受けた場合には速やかに対応する必要があります。

取り消し後の在留資格

永住権が取り消された場合でも、直ちに日本から退去しなければならないわけではありません。家族の状況や日本での生活実態を踏まえ、「定住者」など別の在留資格への変更が認められるケースもあるとされています。

取り消しはどうやってチェックされるのか

現行の仕組み——実質的なチェック機会はほとんどない

永住権には在留期間の更新がないため、入管が永住者の状況を定期的に確認する仕組みは現在のところ存在しません。

唯一の接点は在留カードの有効期間更新(7年ごと)ですが、現行の手続きでは申請書・写真・パスポート・在留カードの4点を提出するだけで、課税証明書や納税証明書の提出は求められません。在留資格そのものの審査は行われず、原則として即日交付されています(混雑状況により後日交付となる場合もあります)。

2027年以降の変化——データ連携による自動照会

2027年6月頃から、デジタル庁の情報基盤を通じて、入管が国民健康保険や国民年金の未納情報をリアルタイムで照会できるシステムの運用が始まる予定です。

このシステムが稼働すると、在留カードの更新時やその他の在留手続きの際に、審査官がその場で納付状況を確認できるようになります。ただし、永住者の在留カード更新は7年に1回であるため、全永住者を高頻度でスクリーニングできるかどうかは現時点では不明です。

具体的な運用基準はガイドラインで明らかになる

取り消し制度の具体的な運用ガイドラインは、入管庁が2026年夏に案をまとめ、2026年秋に最終決定する予定と報道されています。チェックの頻度や方法も、このガイドラインで明らかになる見込みです。

永住権を取得したら自由に海外に住めるのか

永住権の取り消し制度とは直接関係しませんが、関連する重要な論点として触れておきます。

入国・在留審査要領には、永住者の在留資格について「その後の生涯を本邦に生活の本拠をおいて過ごす者が想定されている」と記されています。永住権は、日本に生活の本拠を置くことを前提とした在留資格です。

永住権を取得した後、年の大半を海外で過ごしている場合に「取り消し」になるかどうかの明確な基準は現時点ではありません。ただし、以下のリスクがあります。

  • 再入国許可の期限切れで永住権を失う:みなし再入国許可の有効期間は出国から1年、通常の再入国許可は最長5年です。この期限内に日本に再入国しなければ、永住権は自動的に失われます(これは「取り消し」ではなく「喪失」です)
  • 在留カードの更新は日本国内でのみ可能:7年ごとの在留カード更新手続きは、海外の日本大使館では行えません。日本に戻って手続きする必要があります
  • 2027年以降、日本に生活の本拠がないことが問題視される可能性:取り消し制度の運用次第では、長期間日本を離れている永住者への対応が変わる可能性があります

今からできる対策

2027年4月の施行に向けて、永住者が今のうちに確認しておくべきことを整理します。

公租公課の納付状況を確認する

住民税、所得税、国民年金、国民健康保険料に未納がないか確認してください。特に、普通徴収(自分で納付)の期間がある場合は、期限内に納付されているかを市区町村の窓口で確認することをお勧めします。

届出漏れがないか確認する

転職・引越し・氏名変更などの際に、入管への届出が漏れていないか確認してください。届出は事由発生から14日以内と定められています。過去に届出が漏れていた場合は、今からでも遅延届出を行っておくことが望ましいです。

届出義務の種類や対象範囲については永住申請で見落としやすい入管法上の届出義務で詳しく解説しています。取消制度の施行後は、これらの届出義務の不履行が取消事由に直結するため、既に永住権を持っている方にとっても重要な内容です。

やむを得ない事情がある場合は証拠を残しておく

病気や失業などで公租公課の支払いが困難になった場合は、その事情を示す書類(診断書、離職票、年金の免除申請の控え等)を保管しておいてください。「故意に支払わなかった」のではなく「やむを得ない事情があった」ことを示す証拠になります。

当事務所でも永住に関するご相談をお受けしています。納付状況や届出履歴に不安がある方は、早めにご相談いただくことをお勧めします。

税金や年金の納付状況も定期的に確認しておく

永住権は取得後に更新審査がないため、取得後に公的義務の履行状況を確認する機会が自然には訪れません。しかし2027年以降は、未納の状態が続いていること自体がリスクとなります。年に一度は納付状況を振り返る習慣をつけておくことが、最も確実な対策です。

よくある質問

Q. 永住権の取り消しは2027年4月より前に行われることはありますか?

今回の改正で新設された取消事由(故意の公租公課未払い、重大犯罪による拘禁刑)については、施行日である2027年4月以降に適用されます。それ以前に取り消されることはありません。ただし、虚偽申請による取り消しなど、従来から存在する取消事由は現行法でも適用されます。

Q. 過去の未納も対象になりますか?

施行後の運用がどうなるかはガイドラインの内容次第ですが、「故意に支払をしないこと」が要件であるため、過去の一時的な遅延が直ちに対象になる可能性は低いと考えられます。ただし、長期間にわたって未納が続いている場合は注意が必要です。未納がある場合は、施行前に解消しておくことが望ましいです。

Q. 交通事故を起こした場合は永住権を失いますか?

過失運転致死傷(過失犯)は今回の取消事由の対象外です。対象となるのは殺人、強盗、窃盗、詐欺、危険運転致死傷などの故意犯で、かつ拘禁刑に処された場合に限られます。道路交通法違反により罰金刑のみに処された場合も対象外です。

Q. 取り消されたら日本から出なければなりませんか?

永住権が取り消された場合でも、直ちに退去強制となるわけではありません。日本での生活実態や家族の状況を踏まえ、「定住者」等の在留資格への変更が認められるケースもあるとされています。

Q. 取り消しの通知が届いたらどうすればよいですか?

弁明の機会が与えられますので、やむを得ない事情がある場合はその旨を主張してください。回答期限は1〜2週間程度と短いため、通知を受けたらすぐに専門家に相談されることをお勧めします。

まとめ

  • 2024年6月成立の改正入管法により、2027年4月から永住権の取り消し制度が施行される
  • 新たな取消事由は「故意の公租公課未払い」「入管法上の義務の悪質な違反」「重大犯罪による拘禁刑」の3つ
  • 病気・失業等のやむを得ない事情、支払い忘れ、過失犯、罰金刑のみの場合は対象外
  • 取り消しは書面通知と弁明の機会を経て行われる(突然取り消されるわけではない)
  • 現行では永住者に対する定期的なチェックの仕組みはないが、2027年以降はデータ連携により納付状況の照会が可能になる見込み
  • 永住権は日本に生活の本拠を置くことを前提とした在留資格。再入国許可の期限切れで永住権を失うリスクにも注意
  • 今からできる対策は、公租公課の納付状況の確認、届出漏れの確認、やむを得ない事情の証拠保全

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