※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
永住許可(在留資格「永住者」になるための許可)の審査では、入管法(出入国管理及び難民認定法)に定める届出などの義務を守ってきたかが確認されます。主な届出は、住居地、所属機関・配偶者、在留カードの記載事項の3種類で、届出の期限はいずれも14日以内です。
2027年4月1日以降の申請では、過去の違反が分かった場合も、原則としてマイナスに評価されます。この記事では、届出ごとの期限と届出先、出し忘れていた場合の扱い、今からできることを説明します。
目次
永住申請で確認される「入管法上の届出義務」とは
永住許可の審査では、税金や社会保険料の納付と並んで、入管法上の届出の義務を守っているかが確認されます。対象は、中長期在留者(在留カードを持って日本に在留している人)に課されている義務です。
2027年3月31日までの申請に使われるガイドライン(令和8年2月24日改訂)は、公的義務の1つに「出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務」を挙げています。2027年4月1日以降の申請に使われる改定後のガイドライン(令和8年10月1日改定)は、「法に規定する義務」として、範囲を条文で示しました。
- 住居地届出などの各種届出義務、在留カードの再交付などの取扱いに関する義務(入管法第19条の7から第19条の16まで)
- 在留カードの常時携帯義務・提示義務(第23条)
- 在留資格で認められた活動以外の活動をしない・させない義務(第19条、第73条、第73条の2)など
出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」第2の5(2)、「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」1(3)イ
この記事では、このうち届出と在留カードの手続き(第19条の7から第19条の16まで)を取り上げます。改定後のガイドラインの全体は、永住許可ガイドラインの改定内容にまとめています。
住居地と在留カードの届出の期限・届出先
住居地と在留カードの届出は、在留資格の種類に関係なく、中長期在留者の全員に関係します。住居地は市区町村の窓口、在留カードは地方出入国在留管理官署(入管の窓口)と、届出先が分かれています。
| 届出・申請 | 誰が | いつまでに | どこへ |
|---|---|---|---|
| 新規上陸後の住居地の届出 | 新しく入国した中長期在留者 | 住居地を定めた日から14日以内 | 住居地の市区町村 |
| 在留資格変更等に伴う住居地の届出 | 在留資格の変更などの許可で、新たに中長期在留者になった人 | 住居地を定めた日から14日以内(すでに定めている人は許可の日から) | 住居地の市区町村 |
| 住居地の変更届出 | 住居地を変更した中長期在留者 | 新しい住居地に移った日から14日以内 | 新しい住居地の市区町村 |
| 住居地以外の在留カード記載事項の変更届出 | 氏名、生年月日、性別、国籍・地域が変わった中長期在留者 | 変更が生じた日から14日以内 | 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署 |
| 紛失等による在留カードの再交付申請 | 紛失、盗難、滅失などで在留カードを失った中長期在留者 | 失ったことを知った日から14日以内(出国中に知った場合は、その後最初に入国した日から) | 同上 |
| 汚損等による在留カードの再交付申請 | 在留カードが著しく壊れた・汚れた、ICの記録が壊れた中長期在留者 | 期間の定めなし(再交付申請の命令を受けたときは、命令を受けた日から14日以内) | 同上 |
| 在留カードの有効期間の更新申請 | 永住者(16歳以上)、高度専門職2号 | 有効期間の満了日の3か月前から満了日まで | 同上 |
出典:出入国在留管理庁「新規上陸後の住居地の届出」「在留資格変更等に伴う住居地の届出」「住居地の変更届出」「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」「紛失等による在留カードの再交付申請」「汚損等による在留カードの再交付申請」「在留カードの有効期間の更新申請」、入管法第19条の7〜第19条の13
14日の起点は、住居地を定めた日や変更が生じた日などです。
在留カードの有効期間の更新申請は、永住許可を受けた後に必要になる手続きです。在留カードの有効期間が在留期間の満了日までとされている方は、対象外です。
2026年6月13日までに交付された在留カードで、有効期間の満了日が16歳の誕生日かその前日とされている方は、その6か月前から満了日までに申請します。
住居地の届出は、転入届・転居届と一緒に済ませられる
在留カードを持って市区町村の窓口で転入届や転居届をすれば、入管法上の住居地の届出もしたものとみなされます。入管に別の届出を出す必要はありません。
条件は、届出のときに在留カードを提出していることです。届出を受けた市区町村は、在留カードに新しい住居地を記載して返します。在留カードの住居地の欄が今の住所になっていれば、届出は済んでいます。
在留カードを提出せずに転入届だけをした場合は、入管法上の住居地の届出が済んでいません。在留カードを持って、住居地の市区町村の窓口で住居地届出書を出します。
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」、入管法第19条の7第2項・第3項、第19条の9第2項・第3項
所属機関・配偶者に関する届出は、在留資格で内容が変わる
勤務先や学校、配偶者に関する届出は、持っている在留資格によって、届出が必要になる場面が違います。期限は、どの区分も、事由が生じた日から14日以内です(入管法第19条の16)。
| 区分 | 対象の在留資格 | 届出が必要になるとき |
|---|---|---|
| 活動機関に関する届出 | 教授、高度専門職1号ハ、高度専門職2号(ハ)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学、研修 | 活動機関(会社や学校)の名称変更・所在地変更・消滅、活動機関からの離脱、移籍 |
| 契約機関に関する届出 | 高度専門職1号イ・ロ、高度専門職2号(イ・ロ)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(所属機関との契約に基づいて活動する場合に限る)、技能、特定技能 | 契約機関(会社など)の名称変更・所在地変更・消滅、契約の終了、新たな契約の締結 |
| 配偶者に関する届出 | 家族滞在、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等(いずれも、配偶者として在留している人に限る) | 配偶者との離婚、死別 |
出典:出入国在留管理庁「所属(活動)機関に関する届出」「所属(契約)機関に関する届出」「配偶者に関する届出」、入管法第19条の16
「離脱」「契約の終了」は退職や卒業、「移籍」「新たな契約の締結」は進学や就職のことです。転職は、前の勤務先からの離脱(契約の終了)と、新しい勤務先への移籍(新たな契約の締結)の両方に当たります。定住者や特定活動など、この表にない在留資格には、第19条の16の届出はありません。
届出の方法は、インターネット(電子届出システム)、窓口、郵送の3つです。窓口は最寄りの地方出入国在留管理官署で、在留カードを見せて届出書を出します。郵送は、届出書に在留カードの写しを添えて、東京出入国在留管理局 在留調査部門 届出受付担当に送ります。
届出が必要か迷いやすい場面
| 場面 | 届出 |
|---|---|
| 派遣会社は同じで、派遣先だけが変わった(契約機関の区分) | 不要。派遣会社と雇用契約を結んだときに、新たな契約の届出をする |
| 派遣会社は同じで、派遣先が変わった(活動機関の区分) | 必要。前の派遣先からの離脱と、新しい派遣先への移籍を届け出る |
| 転職と同時に、在留期間の更新許可を受けた | 必要 |
| 転職と同時に、在留資格の変更許可を受けた | 不要 |
| 勤務先は同じで、契約の内容だけが変わった | 不要 |
出典:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」Q9・Q10・Q12・Q17
届出をしなかった場合の罰則
届出をしなかった場合は20万円以下の罰金、うその届出をした場合は1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が、入管法に定められています。
| 違反の内容 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 住居地の届出、住居地以外の記載事項の変更届出、所属機関等に関する届出をしなかった | 20万円以下の罰金 | 入管法第71条の5第1号〜第3号 |
| これらの届出で、うその届出をした | 1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金 | 第71条の2第1号 |
| 在留カードの有効期間の更新申請、紛失等による再交付申請、命令を受けた再交付申請をしなかった | 1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金 | 第71条の2第2号 |
住居地の届出には、罰則とは別に、在留資格の取消しの定めもあります。届け出た住居地を出た日から90日以内に、新しい住居地の届出をしない場合です。届出をしないことに正当な理由がある場合は除かれます(入管法第22条の4第1項第9号。2026年10月時点の号数)。新しく中長期在留者になった方が、90日以内に住居地の届出をしない場合も同じです(同項第8号)。
うその住居地を届け出た場合も、取消しの対象です(同項第10号)。取消しは、法務大臣が「取り消すことができる」という定めです。
2027年4月1日からは、永住者が入管法上の義務を正当な理由なく守らないことが、在留資格の取消事由に加わります。入管庁は、うっかり在留カードを携帯しなかった場合などに取り消すことは想定していない、としています(令和6年の入管法等改正法による改正後の入管法第22条の4第1項第8号。2027年4月1日施行)。対象になる義務と手続きは、永住権の取り消し制度にまとめています。
出典:入管法第22条の4第1項、第71条の2、第71条の5、出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」Q8
出し忘れや遅れは、永住申請でどう評価されるのか
ガイドラインの書き方は、申請した日が2027年3月31日までか、4月1日以降かで変わります。届出の義務についてどちらの版の記載が使われるかは、許可が出る日ではなく、申請した日で決まります。
| 申請した日 | 使われるガイドライン | 届出の義務についての記載 |
|---|---|---|
| 2027年3月31日まで | 令和8年2月24日改訂版 | 入管法に定める届出等の義務を含む公的義務を「適正に履行していること」 |
| 2027年4月1日以降 | 令和8年10月1日改定版 | 義務が守られていない場合は消極評価(マイナスの評価)。申請時点で違反の状態にある場合だけでなく、過去の義務違反が判明した場合も、原則として消極評価 |
出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」1(3)イ、「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」第1、第2の5(2)、第6
2月24日改訂版には、期限を過ぎてから履行した場合は「原則として消極的に評価されます」という注記があります。ただ、この注記が挙げているのは納税と保険料の納付です。届出が期限に遅れた場合の評価は、この版には書かれていません。
ただし、2027年3月31日までの申請なら届出の遅れが見られない、という意味ではありません。改定後のガイドラインは、法律に加わる「この法律に規定する義務の遵守」という文言について、従前のガイドラインの記載を法律上の要件として明確にしたもので、2027年4月1日より前の審査でも考慮されていた、と注記しています(第2の1 注1)。
入管庁のQ&Aは、所属機関や配偶者に関する届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、「在留諸申請で不利になる場合もあります」としています。入管の審査の手引き(入国・在留審査要領。開示文書)は、申請時の在留資格における入管法上の届出の義務を適正に履行していることを確認する、としています。
出典:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」Q7、入国・在留審査要領 第12編第27節「永住者」(開示文書。令和8年10月1日のガイドライン改定より前の版)
期限を過ぎてから出した届出は「過去の義務違反」になるのか
ここからは当事務所の整理です。入管法は「14日以内に」届け出ることを義務としています。
遅れて出した届出は、出した時点で違反の状態は終わっていても、期限を守らなかった事実は残ります。そのため、10月1日改定版がいう「過去の義務違反」に当たり得ると考えています。
一方で、ガイドラインの文言は「原則として」です。永住許可の判断は、個々の事案の事情を総合的に考慮して行うとも書かれています。遅れた回数や期間ごとの線引きは、公表資料には示されていません(2026年10月時点)。
出し忘れに気づいたら、今からすること
届出をしていないことに気づいたら、14日を過ぎていても、気づいた時点で届け出ます。入管庁のQ&Aも、所属機関・配偶者に関する届出について、していないことが分かった場合は速やかに届け出るよう求めています。
- これまでの出来事を書き出す。引越し、就職・退職・転職、氏名や国籍の変更、離婚・死別を、日付と一緒に並べます。
- 届出が済んでいるかを確かめる。住居地は、在留カードの住居地の欄で確かめられます。所属機関や配偶者の届出を電子届出システムでした方は、システムで届出の履歴を確認できます。
- 済んでいない届出を出す。住居地は市区町村の窓口、所属機関・配偶者は電子届出システムか窓口・郵送、在留カードの記載事項は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。
- 遅れた経緯をまとめておく。在留カードの記載事項の変更届出は、期間を過ぎた場合、理由などを書いた書類を別に出します。
出典:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」Q5、「所属(契約)機関に関する届出」、「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」
届出の履歴に不安がある方は、永住許可申請のサポートで、届出の履歴の確認と、申請前の状況の整理をお手伝いしています。
よくある質問
退職してから次の勤務先が決まるまで、期間が空きました。届出はどうなりますか?
退職と再就職で、届出を2回します。退職した時点で契約の終了(活動機関の区分では離脱)を、再就職した時点で新たな契約の締結(同じく移籍)を、それぞれ14日以内に届け出ます。先の日付を事由の発生日にした届出はできないため、再就職の届出は、実際に入社してから出します。
入国して、予定していた会社にそのまま入社しました。所属機関の届出は必要ですか?
不要です。入管庁のQ&Aは、新規の上陸許可を受けて、予定していた機関に予定どおり所属した場合は届出不要としています。届出が必要になるのは、その後に退職や転職などがあったときです。
所属機関の届出に、雇用契約書などの資料は必要ですか?
必要ありません。入管庁のQ&Aは、届出に係る資料は必要ないとしています。郵送で出す場合は、在留カードの写しを同封します。
まとめ
永住許可の審査では、入管法上の届出の義務を守ってきたかが確認されます。届出の期限はいずれも14日以内です。届出先は、住居地が市区町村、所属機関・配偶者が電子届出システムなど、在留カードの記載事項の変更が地方出入国在留管理官署です。
2027年4月1日以降の申請では、過去の義務違反が分かった場合も、原則としてマイナスに評価されます。申請の前に、引越し・転職・氏名変更などの履歴と届出を照らし合わせ、済んでいない届出があれば、気づいた時点で出してください。遅れた事実は残りますが、届出をしていない状態は解消できます。
参考資料
- 出入国管理及び難民認定法 第19条の7〜第19条の16、第22条の4第1項、第71条の2、第71条の5(e-Gov法令検索。2026年10月9日取得)
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」(2026年2月。改定前の版)
- 出入国在留管理庁「新規上陸後の住居地の届出(中長期在留者)」
- 出入国在留管理庁「在留資格変更等に伴う住居地の届出(中長期在留者)」
- 出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」
- 出入国在留管理庁「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」
- 出入国在留管理庁「紛失等による在留カードの再交付申請」
- 出入国在留管理庁「汚損等による在留カードの再交付申請」
- 出入国在留管理庁「在留カードの有効期間の更新申請」
- 出入国在留管理庁「所属(活動)機関に関する届出」
- 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」
- 出入国在留管理庁「配偶者に関する届出」
- 出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」
- 出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」
- 入国・在留審査要領 第12編第27節「永住者」(開示文書。令和8年10月1日のガイドライン改定より前の版)




