留学ビザの運用が変わります|2026年7月以降の日本語確認とアルバイト把握の厳格化
【2026年5月1日更新】
2026年4月10日付で、出入国在留管理庁が日本語教育機関に向けて新しい通知を発出しました。見直しの中身は大きく2つです。日本語能力の確認方法と、アルバイト(資格外活動)の実態把握。この2点について、留学の在留資格に関する運用が整理されました。
この記事では、日本語学校への進学を考えている方、すでに留学の在留資格で日本に住んでいる方を対象に、何がいつから変わるのか、申請への影響はどうなるのかを整理します。
この記事でわかること
- 2026年4月から始まったアルバイト状況の3か月ごとの確認
- これまで運用上「表面化しなかった超過」が、なぜ今後は更新時に見えやすくなるのか
- 2026年7月以降の申請から原則必須となる日本語能力の証明方法
- 認定証明書(COE)申請・在留資格変更申請・在留期間更新申請それぞれの適用時期
- 日本語能力の立証が不要となる特例の対象範囲
- 申請を控えている方が今のうちに準備しておきたいこと
何が変わるのか(全体像)
今回の通知で入管庁が日本語教育機関に求めているのは、次の2点です。
- アルバイト(資格外活動)の3か月ごとの確認(2026年4月運用開始) 日本語教育機関が、在籍する留学生について、許可の有無・勤務先・活動内容・活動時間を3か月に1度確認する。
- 日本語能力の確認方法の見直し(2026年7月以降の申請から) これまで「150時間以上の日本語学習歴」で立証可とされていた部分を、日本語試験の証明書または日本語教育機関による面接(オンライン可)での確認に切り替える。
別々のテーマに見えますが、根は同じです。「日本語を学ぶために来日した留学生が、実際に勉学を中心とした生活を送っているか」を確認する仕組みを、教育機関と連携して整える流れ、と捉えるとわかりやすいかもしれません。

1. アルバイトの実態把握(2026年4月運用開始)
日本語教育機関に求められること
日本語教育機関は、3か月に1度の頻度で、在籍する留学生について次の4項目を確認することが求められます。
- 資格外活動許可を取得しているか
- 勤務先(複数ある場合はすべて)
- 具体的な活動内容
- 1日あたりの活動時間
複数の勤務先を持つ留学生については、別の流れもあります。雇用主が提出する「外国人雇用状況届出」の情報をもとに、入管庁側で状況を把握します。その情報を教育機関に提供し、教育機関側はとりわけ慎重に確認することになります。
掛け持ちで働いていて、合計時間の管理があいまいになっている方は、特に注意が必要です。
違反が確認された場合
許可内容に違反していると認められる場合、教育機関は直ちに指導を行い、状況を改善させなければなりません。
指導しても改善が見られないとき、または留学生から「雇用主が週28時間を超える勤務を強いている」といった報告があったときは、最寄りの出入国在留管理官署に報告される運用です。報告を受けた入管庁は、内容に応じて調査を行います。その結果は本人の在留審査にも反映されます。
なお、留学の在留資格で認められているアルバイトの上限は、原則「1週28時間以内」です。教育機関の長期休業期間中だけは「1日8時間以内」まで認められます(入管法施行規則第19条第5項に基づく包括許可)。複数の勤務先で働く場合は、各勤務先の合計で28時間を超えないよう管理する必要があります。風俗営業や接待を伴う飲食業などは、許可の対象外です。
「これまでは大丈夫だった」が通用しにくくなる理由
これまでも週28時間という上限は法令で定まっていました。それなのに、超過があっても更新時に問題として表面化しないケースがあった、と指摘されています。
理由はいくつか考えられます。
- 課税証明書には年間の収入額しか出ないため、複数勤務先の合計時間までは紐づかない
- 「外国人雇用状況届出」という制度はあったが、入管庁が個別の留学生に紐づけて参照する運用は限定的だった
- 教育機関側の在籍管理にも温度差があった
結果として、「収入額は多めだけれど、なんとなく更新が通っていた」状況が一部にあった、と指摘されてきました。
今回の見直しは、この構造に三つのつなぎを入れるものです。
- 教育機関による3か月ごとの直接確認(4項目)
- 外国人雇用状況届出を活用した、入管庁から教育機関への情報提供
- 改善されない場合の、教育機関から入管庁への報告ルート
これまで個別判断や実態調査の手間に委ねられていた部分が、仕組み側で連動する形に整理されました。
過去に上限を超えていたかもしれない、と心当たりのある方は、「これまで何も言われなかったから大丈夫」という前提で次の更新を迎えるのではなく、収入の整理や経費支弁の見通しを早めに見直しておくと安心です。
留学生本人として注意したいこと
書類上の手続きを守っているつもりでも、実態として基準を超えてしまうケースは少なくない、と言われています。たとえば次のようなパターンです。
- 最初の勤務先しか頭になく、別の店舗で短時間働き始めて合計が28時間を超えていた
- 繁忙期に1日10時間入った日が続き、1週で28時間を超えていた
更新申請の際には、給与明細書や課税証明書から実態がある程度見えてしまいます。書類だけ整えても説明がつかない場面が出てきます。
また、経費支弁能力(学費や生活費を払えるか)の確認では、アルバイト収入で全額をまかなう前提は認められません。在留中の収支のバランスは、更新時に審査される重要な要素です。
アルバイトの状況に不安がある方は、当事務所でも留学・家族滞在など留学生・ご家族向けの在留資格申請サポートを行っており、更新前に申告内容と実態のズレを整理するご相談にも対応しています。
2. 日本語能力の確認方法の見直し(2026年7月以降の申請から)
現在の基準
日本語教育機関に入学するための日本語能力は、入管庁が「日本語教育の参照枠におけるA1相当以上」を目安としています。
A1レベルは、自己紹介や身の回りのことについて、相手がゆっくり話してくれれば簡単なやりとりができる程度のレベル感です。入管庁の審査要領では「日本語を150時間程度学習した者が到達するレベル」と説明されています。
これまでの実務では、150時間以上の学習歴があれば、A1相当の日本語能力があるものとして取り扱われてきました。
新しい確認方法
2026年7月以降の申請からは、「150時間学習歴」での立証ではなく、次のどちらかが基本になります。
- 日本語試験の合格証明書を提出する
- 日本語教育機関による面接(オンライン可)で能力を確認し、その内容を申請書類に反映させる
つまり、「学習時間の記録」だけで判断するのではなく、本人が実際にA1相当の日本語を使えるかどうかを、試験結果か面接で確かめる方向に変わります。
面接の方法は教育機関ごとに具体的に定められます。たとえば「日本語能力試験N5の問題集の中から日本語で問題を出し、何問中何問日本語で回答できたか」といった具体的な記録を提出することが想定されています。
A1相当の目安となる試験は、入管庁が案内しています。現時点で12種類が認められており、代表的なものは次のとおりです。
- 日本語能力試験(JLPT)N5以上
- J.TEST実用日本語検定 F級以上
- NAT-TEST 5級以上
なお、JLPTのN5は、ひらがな・カタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文を読んで理解できるレベルです。教室や身の回りなどよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話から必要な情報を聞き取れるか、が問われます(JLPT公式の認定の目安より)。
適用時期
申請の種類によって、新しい運用が始まる時期が分かれます。
- 在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請:2026年7月1日以降の申請から
- 在留資格認定証明書(COE)交付申請:2026年10月以降の入学を予定する学生に係る申請から
たとえば、2026年9月入学を前提とするCOE申請なら、これまでどおりの取扱いになります。一方、すでに留学で在留している方が同年7月以降に変更や更新を申請する場合は、新しい確認方法が適用されます。
新しい仕組みに沿った面接や試験合格証の準備は、教育機関と早めに連絡を取り合っておくと安心です。
3. 日本語能力の立証が不要となる特例(別表掲載国+海外大学卒業)
入管庁が公表する「別表掲載国・地域」の出身国籍を持つ方が、外国の高等教育機関(大学等)を卒業し、その卒業証明書等を提出する場合は、今回の見直しの対象外です。日本語能力の立証は不要とされています。
ここで「別表掲載国・地域」とは、入管庁が経済水準や不法残留者の発生状況などを踏まえて、慎重審査対象国に該当しないものとして指定している国・地域のことです。慎重審査対象国は、この別表に掲載されていない国・地域、と整理されています。
別表に掲載されているアジアの国・地域には、たとえば次のようなものが含まれます。
- 韓国・シンガポール・タイ・台湾
- 中国(香港・マカオを含む)
- トルコ・ブルネイ・マレーシア・モルディブ・モンゴル
一方、日本語学校への留学で多い国・地域でも、別表に含まれていなければ慎重審査対象国です。たとえ大学を卒業していても、日本語能力の立証は引き続き必要になります。
ご自身の出身国・地域が別表に該当するかどうかは、入管庁が公表する最新の別表で確認します。判断に迷う場合は、ご相談時に最新の指定状況を踏まえてご案内します。

4. アルバイトと日本語能力以外で見直しておきたいこと
今回の通知は、留学の在留資格を全体的に見直すものではありません。とはいえ、これに合わせて他の項目もあらためて確認しておくことをおすすめします。
入管法上の届出
住居地の届出(入国・引っ越し時)や、所属機関に関する届出(在籍する教育機関の変更等)は、更新申請の場面でも確認されます。届出が漏れていると、決定される在留期間が短くなる、または更新そのものに影響が出ることがあります。
引越しをしたとき、学校を変えたとき、それぞれ事由発生から14日以内に届出が必要です。これは基本ルールとしておさえておきたいところです。
通学先の「適正校」選定の有無
入管庁は、過去の不法残留者・不法就労者の発生状況などをもとに、日本語教育機関を「適正校」「非適正校」に選定しています。
適正校に在籍しているかどうかは、決定される在留期間や審査の運びに影響します。すでに進学先が決まっている方も、これから学校を選ぶ方も、選定の状況を確認したうえで判断すると安心です。
経費支弁の見通し
「奨学金やアルバイトの収入で学費と生活費を全額まかなう」という申告は、原則として認められていません。アルバイトはあくまで生活費の一部を補う手段、という位置づけです。
本人または家族の預貯金、送金能力、奨学金の組み合わせで、在留中安定して経費を支弁できる見通しを示すことが必要です。
よくあるご質問
Q. 2026年7月より前にCOEを申請すれば、これまでどおり「150時間学習歴」で大丈夫ですか?
COE申請については、2026年10月以降の入学予定者に係る申請から新しい確認方法が適用されます。それ以前の入学を前提とするCOE申請は、これまでの運用が前提です。
ただし、教育機関が独自に面接や試験を入学者選抜に組み込んでいる場合は、それに従うことになります。
Q. すでに留学で在留しています。次の更新時に、日本語の試験合格証を出さなければなりませんか?
2026年7月1日以降の更新申請から、確認方法が見直されます。在学中の方の場合は、教育機関での学習状況や面接の結果を通じて確認されることが想定されます。必ずしも本人が新たに試験を受ける必要はありません。
学校から、面接や定期試験の結果を申請書類に反映させる動きが出てくる可能性があります。教育機関の案内を確認しておくと安心です。
Q. アルバイトを始めるとき、何をしておけばよいですか?
最低限、資格外活動許可を取得し、勤務先・勤務時間を学校に伝えておくことが大切です。許可があっても、1週28時間(長期休業中は1日8時間)を超えると不許可の理由になり得ます。
複数の勤務先を持つ場合は、合計時間で管理してください。
Q. これまで超過していたことがあるのですが、次の更新は大丈夫でしょうか?
不安に感じていらっしゃる方は少なくないと思います。今回の見直しで、教育機関の継続的な確認と外国人雇用状況届出を通じた情報提供が連動するため、これまで表面化しなかった超過が更新時に確認される可能性は以前より高くなります。
だからといって、すぐに更新が通らなくなると決まっているわけではありません。超過の規模や期間、その後の改善状況、経費支弁の見通しなどを総合的に見て判断されます。
心当たりがある方は、ご自身の状況を一度整理したうえでご相談いただくのが安心です。
Q. 試験はどの試験を受ければよいですか?
入管庁ホームページで、A1相当として認められる試験が案内されています。代表的なものは、JLPT N5以上、J.TEST F級以上、NAT-TEST 5級以上で、現時点で12種類が対象です。
JLPTは年に2回、海外でも多くの国・都市で実施されています(実施回数は地域により異なります)。教育機関によっては独自の入学者選抜試験を採用しているところもあるため、進学先の方針に合わせて選んでください。
まとめ
- 2026年4月から、日本語教育機関は3か月に1度、在籍する留学生のアルバイト状況(許可有無・勤務先・内容・時間)を確認する運用が始まりました
- 教育機関の3か月ごとの確認・外国人雇用状況届出を活用した情報提供・入管への報告ルートが連動することで、これまで運用上表面化しなかった超過が更新時に確認されやすくなります
- 違反が確認され、改善が見られない場合や週28時間超の就労が報告された場合は、入管庁に報告され、本人の在留審査に反映される可能性があります
- 2026年7月1日以降の在留資格変更・在留期間更新申請、2026年10月期以降の入学予定者に係るCOE申請から、日本語能力の確認は試験合格証明書または日本語教育機関の面接(オンライン可)が原則となります
- 入管庁が公表する別表掲載国・地域の出身者で、外国の大学等を卒業し卒業証明書を提出する方は、引き続き日本語能力の立証が不要とされる特例があります
「これまでは150時間の学習歴で大丈夫だった」という前提で準備を進めていた方には、変化が大きく感じられるかもしれません。ただ、日本に住んで勉学に取り組むためにある程度の日本語力が必要、という前提は以前から変わりません。今回の見直しは、その確認の仕方を整理したもの、と捉えていただくとよいと思います。
なお、2026年は留学以外にも、就労ビザ・永住・帰化・手数料など複数の在留資格制度で見直しが進む年です。全体像を確認したい方は、2026年の入管法改正で何が変わるかもあわせてご参照ください。
ご自身の申請のタイミングや出身国によって、適用される運用は異なります。ご相談の際には、最新の入管庁の運用と、進学予定の教育機関の方針を踏まえてご案内します。


