※この記事は、2026年10月19日時点の報道と公表資料に基づいています。入管庁の正式な発表はありません(同日時点)。
出入国在留管理庁(入管庁)が、在留資格「高度専門職」の最低年収基準を引き上げる方針だと報じられています。今の基準は年収300万円以上で、報道では2026年度内の省令改正を目指すとされています。
引き上げ後の金額と、適用開始日は公表されていません(2026年10月19日時点)。この記事では、今の基準がかかる分野、今の在留者や永住への影響、高度人材を雇う会社が今から確かめておけることを説明します。
報道の内容
報道によると、入管庁は最低年収基準を今の「300万円以上」から引き上げる方針です。2026年8月と10月に報じられていて、どちらも入管庁の正式な発表ではありません。
| 項目 | 報道の内容 |
|---|---|
| 変更基準 | 最低年収基準(今は300万円以上) |
| 理由 | 近年の賃金上昇を受け、条件の厳格化が必要だとの声が有識者から出ていた |
| その他の検討事項 | 一部の評価項目の廃止と、審査の迅速化 |
| 方法と時期 | 2026年度内(2027年3月まで)の省令改正を目指す |
| 引き上げ後の金額 | 報じられていない |
| 適用開始日 | 報じられていない |
報道は、複数の入管庁関係者が明らかにしたと伝えています。入管庁のプレスリリースの一覧には、この件は載っていません(2026年10月19日時点)。
今の最低年収基準
今の最低年収基準は「年収300万円以上」で、かかるのは高度専門・技術活動と高度経営・管理活動の2つです。大学教授や研究者などの高度学術研究活動には、最低年収基準がありません。
| 活動の分野 | 主な例 | 最低年収基準 |
|---|---|---|
| 高度学術研究活動(1号イ) | 大学教授、研究者 | なし |
| 高度専門・技術活動(1号ロ) | 企業で働く技術者 | 300万円以上 |
| 高度経営・管理活動(1号ハ) | 企業の経営者 | 300万円以上 |
1号ロと1号ハでは、年収が300万円に届かないと、ほかの項目で70点以上あっても高度専門職と認められません。ポイント制の仕組みや優遇措置は、高度専門職(高度人材ポイント制)の解説にまとめています。
最低年収と年収ポイントの違い
最低年収基準は「満たさないと不許可」になる条件で、年収ポイントは合計70点に加える点数です。高度人材ポイント制では、学歴・職歴・年収などの項目ごとの点数を足して、70点以上で高度専門職1号が認められます。
1号イと1号ロの年収ポイントは、年齢ごとに、点数がつき始める金額が決まっています。1号ハ(経営者)は年齢に関係なく、1,000万円以上で10点からです。
| 年齢 | 年収ポイントがつき始める金額 |
|---|---|
| 30歳未満 | 400万円以上で10点 |
| 30歳以上35歳未満 | 500万円以上で15点 |
| 35歳以上40歳未満 | 600万円以上で20点 |
| 40歳以上 | 800万円以上で30点 |
たとえば29歳で年収350万円の技術者は、最低年収基準は満たしますが、年収ポイントは0点です。年齢の15点に加えて、学歴や職歴などのほかの項目で、70点を満たしていることになります。
最低年収基準が引き上げられると、この人のように、年収が低めでもほかの項目で70点を満たしている人が影響を受けやすくなります。年収ポイントの表も見直すかどうかは、公表されていません。
今の在留者への影響
今の仕組みでは、最低年収基準は最初の許可だけでなく、在留期間の更新と2号への変更のときにも確かめられます。すでに1号ロ・1号ハで働いている人にも関わる基準です。
| 手続き | 最低年収基準(300万円以上)の確認 |
|---|---|
| 高度専門職1号の許可(認定・変更) | ある |
| 高度専門職1号の在留期間の更新 | ある(許可のときと同じ基準で70点以上か) |
| 高度専門職2号への変更 | ある(1号ロ・1号ハから変わる人) |
在留中に年収が下がって70点を下回っても、すぐに在留できなくなるわけではありません。ただし、更新のときに70点に届いていなければ、高度専門職としての更新は許可されません。
- 引き上げ後の金額
- 適用開始日と、どの申請から新しい基準が当てはまるか
- すでに在留している人の更新や2号への変更に、経過措置を設けるか
- 高度学術研究活動(1号イ)にも最低年収基準を設けるか
- どの評価項目を廃止するか、年収ポイントの表も見直すか
決まった内容は、省令の改正が公布された時点で確かめる必要があります。
永住への影響
高度人材として永住許可を申請するときの特例(70点で3年、80点で1年)は、2026年10月1日に改定された永住許可ガイドラインでも続いています。この点数は、高度専門職省令のポイント計算で数えます。
そのため、省令の基準が変われば、永住の特例を使うときの点数の数え方にも影響する可能性があります。ただし、どう扱うかは公表されていません。
2026年10月1日の永住許可ガイドラインの改定は、今回の報道とは別の見直しです。また、年収2,000万円以上などで認められる特別高度人材(J-Skip)は、高度専門職のポイント制とは別の省令で基準が決まっています。J-Skipの基準を変えることは、報じられていません。
今からできる備え
今からできるのは、高度専門職で雇っている人と、これから申請する人の年収を、審査と同じ数え方で確かめておくことです。
- 年収は、今後1年間に会社から受ける予定の報酬で数えます。ボーナスは含みます。
- 残業代(超過勤務手当)は含みません。通勤手当・扶養手当・住宅手当など、実費を補う手当(課税されるものを除く)も含みません。
- 海外の会社から転勤で受け入れている人は、海外の会社から受ける報酬も合わせて数えます。この場合は、その額を資料で示す必要があります。
- 年収が300万円台など基準に近い人と、年収ポイントが0点の人を書き出し、それぞれの在留期限(更新の時期)を確かめます。
1号の更新で70点に届かない場合でも、ほかの在留資格の要件を満たしていれば、その在留資格への変更の許可を受ける扱いがあります。
省令を改正するときは、原則として、案を公表して広く意見を募る手続き(パブリックコメント)が行われます(行政手続法第39条)。案が e-Gov に載れば、金額の案や、適用開始日の予定が分かる見込みです。2026年10月19日時点では、まだ載っていません。
年収の数え方や、高度専門職を続けられるかに迷う場合は、高度専門職の申請サポートで、ポイントの計算から一緒に確認します。
見直しの経緯
今の300万円という基準は、2013年(平成25年)12月の見直しで決まりました。それまで高度専門・技術活動と高度経営・管理活動にあった年齢別の基準をやめ、全年齢で共通の300万円に引き下げたものです。このとき、高度学術研究活動の最低年収基準もなくなりました。
審査要領は、300万円を決めるときに、2012年(平成24年)の厚生労働省の賃金の統計を参考にしたとしています。従業員10〜99人の企業で働く30歳未満の人の平均年収(学歴を問わない)は、約290万円でした。
その後、入管庁の出入国在留管理政策懇談会が2025年にまとめた報告書は、受入れの効果を検証しながら、たとえば賃金水準の上昇を踏まえるなどして、ポイント項目を見直すべきだとしました。審査処理期間の短縮も求めています。法務省が2026年7月にまとめた第二次の出入国在留管理基本計画も、高度専門職について「年収基準等」や配点を含めて必要な見直しを行うとしています。
よくある質問
新しい基準は、いつから適用されますか?
公表されていません。報道では、2026年度内(2027年3月まで)の省令改正を目指すとされています。省令の改正では、原則として案のパブリックコメントがあるので、e-Gov に案が載れば、適用開始日の予定が分かる見込みです。
最低年収は、いくらに引き上げられますか?
公表されていません。報道でも、金額は伝えられていません。
すでに高度専門職で働いている人は、どうなりますか?
今の仕組みでは、在留期間の更新と2号への変更のときに、最低年収基準を満たしているかが確かめられます。経過措置を設けるかは公表されていません。今の仕組みでは、在留中に70点を下回っても、すぐに在留できなくなるわけではありません。改正後の扱いは、改正の内容で確かめる必要があります。
高度人材としての永住許可の申請に、影響はありますか?
影響があるかは公表されていません。70点で3年、80点で1年の特例は、高度専門職省令のポイント計算で点数を数えます。省令が変わったときにどう扱うかは、改正の内容で確かめる必要があります。
特別高度人材(J-Skip)も変わりますか?
報道で伝えられているのは、高度専門職のポイント制の基準です。J-Skipは別の省令で基準が決まっていて、変えることは報じられていません。
まとめ
高度専門職の最低年収基準(今は年収300万円以上)を引き上げる方針が、報道で伝えられています。今の基準がかかるのは、高度専門・技術活動(1号ロ)と高度経営・管理活動(1号ハ)です。引き上げ後の金額、適用開始日、すでに在留している人の扱いは、公表されていません(2026年10月19日時点)。
今の基準は、更新と2号への変更のときにも確かめられます。高度専門職で雇っている人の予定年収を、ボーナスを含め、残業代を除いた額で確かめておきましょう。基準に近い人の更新の時期も把握しておくと、省令が改正されたときにすぐに動けます。
参考資料
- 時事通信「「高度外国人材」年収要件上げ 入管庁、賃金上昇受け」(2026年10月18日)
- 日本経済新聞「外国人の高度人材、認定の年収条件引き上げ 26年度にも省令改正」(2026年8月14日)
- 出入国在留管理庁「高度人材ポイント制Q&A」
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」
- 入国・在留審査要領「高度専門職」





