※この記事は、2026年10月9日時点の法令と、出入国在留管理庁(入管庁)・国税庁・内閣官房の公表資料に基づいています。
出入国在留管理庁(入管庁)と国税庁の情報連携は、2026年7月1日に新しい確認書の適用が始まりました。国税庁が入管庁に提供する情報は、当分の間、重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のものです。
在留資格「経営・管理」(経営・管理ビザ)では、重加算税の処分があった会社などを運営する人は、審査で「特に消極的な要素」として評価されます。対象の範囲、審査での扱い、更新のときに出す納税の資料を順に説明します。
目次
いつから始まったのか
新しい確認書の適用が始まったのは、2026年7月1日です。入管庁の次長と国税庁の次長が、2026年6月30日付で確認書を取り交わしました。
同じ名称の確認書は、2020年6月18日付でも取り交わされていました。今回の確認書は、その旧確認書を廃止して置き換えたものです。
| 文書 | 日付 | 決めていること |
|---|---|---|
| 確認書 | 2026年6月30日(適用開始は7月1日) | 基本方針、両庁が行う措置、機密保持 |
| 補足書簡1 | 2026年6月30日 | 提供し合う情報の種類 |
| 補足書簡2 | 2026年6月30日 | 対象の具体的な範囲(国税庁が提供する範囲は不開示) |
確認書が根拠として挙げている条文は、入管法第61条の7、国税通則法第74条の12、国税徴収法第146条の2の3つです。いずれも、関係する行政機関や官公署に協力を求めることができる、と定めた規定です。
政府は、2026年1月23日に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定しました。その中で、国税庁から入管庁への情報提供の対象範囲を広げる方針を示していました。内閣官房の進捗資料は、この施策について、確認書とガイドラインの改訂を措置済みとしています(2026年6月末時点)。
確認書は、どの申請から審査に使うかまでは書いていません。書かれているのは、適用の開始日が2026年7月1日であることです。
出典:出入国在留管理庁「出入国在留管理庁が取り交わした文書について」掲載の確認書・補足書簡1・補足書簡2、内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」施策番号22、「同 進捗状況(詳細版・令和8年6月末時点)」管理番号8
国税庁から入管庁に提供される情報
国税庁が提供するのは、当分の間、重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のものです。補足書簡1は、次の2つを挙げています。
- 消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のもの
- 所得税・法人税等の重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のもの
重加算税は、税額の計算のもとになる事実を隠したり、偽ったりして申告した場合などに課される税です(国税通則法第68条)。単なる納付の遅れは、この2つに挙げられていません。
「一定のもの」が具体的に何を指すかは、公表されていません(2026年10月9日時点)。範囲を定めた補足書簡2は、該当する箇所が不開示になっています。
確認書の本文は、対象を「納税の義務に関する悪質な違反があったもの」と定めています。在留資格の種類は限られておらず、入管法の別表第一・別表第二の在留資格で在留する外国人が対象です。
国税庁は、当てはまる事案があるかを定期的に確認して、入管庁に情報を提供します。
出典:国税庁「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」2、「同 補足書簡1」1・3、「同 補足書簡2」1
入管庁から国税庁に提供される情報
情報は、入管庁から国税庁にも提供されます。補足書簡1が挙げているのは、次の2つです。
| 入管庁が提供する情報 | 補足書簡に書かれていること |
|---|---|
| 在留資格の申請に対する処分結果 | 国税庁から情報提供があった外国人が対象。入管庁は、申請人に結果を知らせる前に国税庁に通知する |
| 一定の在留資格や在留期間に当てはまる在留外国人の情報 | 入管庁が定期的に確認して提供する |
2つ目の「一定の在留資格や在留期間」は、補足書簡2が当分の間の範囲を定めています。挙げられているのは、「経営・管理」または「高度専門職1号ハ」で在留する外国人と、別表第一の在留資格で在留する外国人です。
別表第一のうち、外交、公用、高度専門職、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在は除かれています。どちらも、さらに絞り込む条件が付いていますが、その条件は不開示です。
国税庁は、入管庁から受け取った情報を、内国税の賦課と徴収の事務に使います。両庁は、受け取った情報を本来の目的以外に使わないこと、他者に提供しないことも確認しています。
出典:国税庁「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」2〜4、「同 補足書簡1」4・5、「同 補足書簡2」2
経営・管理の審査にどう反映されるのか
重加算税の処分があった会社などを運営する人は、「特に消極的な要素」として評価されます。入管庁は2026年6月に、経営・管理の審査の考え方を示した文書「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」を改訂し、この点を書き加えました。
| 状況 | 入管庁の文書での評価 |
|---|---|
| 納税義務の不履行で刑を受けている | 消極的な要素 |
| 刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した | 消極的な要素 |
| 消費税の不正受還付や、所得税・法人税等に関して重加算税賦課決定処分があった機関を運営している | 事業の運営を適正に行うとは認められないものとして、特に消極的な要素 |
ここでいう「機関」には、会社のほか個人事業も含まれます。経営者本人の税金だけでなく、運営している会社の税務処理が、経営者の在留審査で評価される点に注意してください。
確認書は、入管庁が提供を受けた情報を使って、在留資格の申請があったときに「慎重な審査を行う」と定めています。これらの文書に書かれているのは審査での評価で、在留資格を取り消すとは書かれていません。
在留期間の更新は、法務大臣が、更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可します(入管法第21条第3項)。入管庁のガイドラインは、活動の内容、在留の状況、在留の必要性などを総合して判断するとしています。
このガイドラインにも、2026年6月の改正で注記が加わりました。入管庁の求めに応じて関係機関から提供を受けた納税義務等の履行状況の情報を踏まえ、許否の判断を行う場合がある、という内容です。
出典:出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」4(1)、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正令和8年6月)7、国税庁「確認書」3
更新の申請で出す公租公課の資料
経営・管理の更新では、会社などの税金と社会保険料の納付状況を、申請人が資料で示します。情報連携とは別に、2025年10月16日に施行された許可基準の改正に合わせて、更新のときに確認する項目として明記されたものです。
| 資料 | 法人の場合 | 個人事業主の場合 |
|---|---|---|
| 労働保険の加入状況と保険料の納付状況を示す文書 | ○ | ○ |
| 社会保険の加入状況と保険料の納付状況を示す文書 | ○ | ○(加入義務がない場合は、強制適用事業所に当たらないことの説明資料) |
| 国民健康保険の加入状況と保険料の納付状況を示す文書 | — | ○ |
| 国税の納税証明書 | 源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税 | 源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税 |
| 地方税の納税証明書 | 法人住民税、法人事業税 | 個人住民税、個人事業税 |
出すのは、このうち自分の会社や事業に当てはまる全ての資料です。入管庁は、納付が義務づけられているものは全て提出が必要、と案内しています。申請人本人の住民税の課税(または非課税)証明書と納税証明書も出します。
提出書類の一覧では、これらはカテゴリー3・4の機関の書類です。カテゴリーは、所属する機関の区分です。上場企業など(カテゴリー1)と、前年分の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人(カテゴリー2)は、その他の資料が原則不要とされています。
入管庁は、経営状況や納税状況に問題がなくても、更新が認められない事例があるとも案内しています。挙げられているのは、労働関係法令を守っているか、社会保険・雇用保険・労災保険の加入や納付の状況、事業に必要な許認可の取得状況に問題がある場合です。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」在留期間更新許可申請、「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」申請に関する取扱い5、問2、Q&A問24〜問26
2025年10月に施行された許可基準の改正と経過措置
経営・管理の許可基準は改正され、2025年10月16日に施行されました。2025年10月15日までに受け付けられて審査が続いている申請には、改正前の基準が適用されます。
| 項目 | 改正後の基準 |
|---|---|
| 常勤職員 | 1人以上の常勤職員を雇用する(日本人、特別永住者、別表第二の在留資格〔永住者、定住者など〕の人に限る) |
| 資本金等 | 3,000万円以上(法人は資本金の額または出資の総額、個人は事業のために投下している総額) |
| 日本語能力 | 申請者または常勤職員のいずれかが、「日本語教育の参照枠」B2相当以上 |
| 経歴 | 経営管理、または事業に必要な技術・知識の分野の博士・修士・専門職の学位があること。または、事業の経営・管理の経験が3年以上あること |
| 事業計画書 | 在留資格を決定するときに出す事業計画書は、経営の専門家(施行日時点で中小企業診断士・公認会計士・税理士)の確認を受ける |
既に経営・管理で在留している方には、経過措置があります。2028年10月16日までの更新の申請は、改正後の基準に合っていなくても、経営状況や基準に合う見込みなどを踏まえて許否が判断されます。
2028年10月16日を過ぎた後の更新の申請は、改正後の基準に合っている必要があります。合っていない場合でも、次の3つを満たすときは、その他の在留状況を総合的に考慮して判断するとされています。
- 経営状況が良好である
- 法人税等の納付義務を適切に履行している
- 次回の更新の申請までに、改正後の基準を満たす見込みがある
経過措置の後の判断でも、納税の状況が条件の1つに入っています。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」主な改正内容、施行に伴う留意点1・2
納税情報そのものの連携は、2028年6月以降に向けて調整中
7月に始まった情報連携は、すべての外国人の納税状況が入管庁に届く仕組みではありません。提供されるのは、重加算税の事案のうち一定のものです。
課税や納税の情報を入管庁と国税庁の間で連携する仕組みは、別に進められています。内閣官房の進捗資料は、2028年6月以降の開始に向けて、両庁が実現の方式を協議・調整中としています(2026年6月末時点)。開始日、連携する情報の範囲は公表されていません(2026年10月9日時点)。
国税の未納があるかどうかは、当面、申請人が出す納税証明書などの資料で確認する形が続きます。
出典:内閣官房「総合的対応策 国民の安全・安心のための取組における進捗状況(詳細版・令和8年6月末時点)」管理番号4
更新の前に確認しておくこと
当事務所では、更新の申請の前に、会社の納税証明書と、労働保険・社会保険の納付の資料を先に確かめておくことをおすすめしています。未納や手続きの漏れに早く気づけるためです。日本で発行される証明書は、発行日から3か月以内のものを出す決まりなので、提出用は申請の時期に合わせて取り直してください。取得先は、入管庁が次のように案内しています。
| 資料 | 取得先 |
|---|---|
| 労働保険 | 最寄りの都道府県労働局 |
| 社会保険 | 最寄りの年金事務所 |
| 国民健康保険 | 最寄りの市区町村 |
| 源泉所得税、法人税、消費税など国税 | 最寄りの税務署 |
| 法人住民税 | 都道府県の税金事務所と市区町村 |
税務処理を外部に任せている場合も、申告と納付の状況は、経営者が把握しておくことをおすすめします。入管庁は、財務状況など経営者として本来把握すべき情報を把握していない場合を、経営者としての活動実態が十分に認められない例に挙げています。
経営・管理の更新は、申請から許可の告知まで平均43.9日でした(令和8年7月許可分の全国平均)。在留資格認定証明書の交付は241.9日、在留資格の変更は194.5日です。手数料は在留資格の手数料の改定内容にまとめています。
納付の状況や過去の税務上の処分に不安がある方は、経営・管理ビザに関するご相談で、状況を一緒に確認します。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」Q&A問19・問27、「在留審査処理期間」令和8年7月許可分
よくある質問
納付が遅れただけでも、国税庁から入管庁に情報が提供されますか?
補足書簡1が挙げているのは、重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のものです(当分の間)。納付の遅れは挙げられていません。ただし、更新の申請では納税証明書などを出すため、未納があれば入管庁はその資料で確認できます。
重加算税の処分を受けると、更新は必ず不許可になりますか?
必ず不許可になるとは書かれていません。入管庁の文書は「特に消極的な要素として評価」するとしており、許否は、活動の内容や在留の状況などを総合して判断されます。
経営・管理以外の在留資格も、情報連携の対象ですか?
確認書の文面では、経営・管理に限られていません。確認書は、入管法の別表第一・別表第二の在留資格で在留する外国人を対象にしています。ただし、当分の間に実際に提供される事案の範囲は、公表されていません(2026年10月9日時点)。
永住者には、公租公課を故意に支払わない場合などを取消事由とする別の制度が、2027年4月1日に始まります。永住権の取り消し制度にまとめています。
まとめ
入管庁と国税庁の情報連携は、2026年7月1日に新しい確認書の適用が始まりました。国税庁が提供するのは、当分の間、重加算税の賦課決定処分を行った事案のうち一定のものです。経営・管理では、該当する会社などを運営する人は「特に消極的な要素」として評価されます。
納付の遅れは今回の情報連携の対象に挙げられていませんが、更新の申請では、会社の税金と社会保険料の納付状況を資料で示します。更新の前に、納税証明書と保険料の納付の資料を取り寄せて、未納がないかを確かめておいてください。
参考資料
- 出入国在留管理庁「出入国在留管理庁が取り交わした文書について」(確認書・補足書簡1・補足書簡2、2026年6月30日付)
- 国税庁「在留外国人に関する出入国在留管理庁と国税庁との間の情報連携に関する確認書」「補足書簡1」「補足書簡2」(2026年6月30日付)
- 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」(2026年6月改訂)
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正2026年6月)
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(2025年10月16日施行、Q&Aは2026年6月26日更新)
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)
- 内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(2026年1月23日決定)
- 内閣官房「総合的対応策 国民の安全・安心のための取組における進捗状況(詳細版)」(令和8年6月末時点)
- 出入国管理及び難民認定法 第21条、第61条の7
- 国税通則法 第68条、第74条の12
- 国税徴収法 第146条の2




