興行ビザとは?対象になる活動と条件、在留期間、申請の流れ

日高 拓郎
日高 拓郎行政書士(申請取次)
公開
興行ビザとは?対象になる活動と条件、在留期間、申請の流れ

※この記事は、2026年10月14日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。

興行ビザ(在留資格「興行」)とは、外国人が日本で、コンサートや演劇、スポーツの試合に出演したり、CMや映画の撮影をしたりするための在留資格です。出演者だけでなく、マネージャーやトレーナーなど、出演者を支えるスタッフも対象になります。

この記事では、外国人を呼ぶ会社・団体(招へい機関)の担当者向けに、どんな条件で認められるかを説明します。在留期間と申請の流れも扱います。

目次
  1. 興行ビザの対象になる人
  2. 興行ビザにならない場合
  3. 試合・撮影の場合の条件
  4. 公演の場合の条件(3つのパターン)
  5. 日本にいられる期間(在留期間)
  6. 申請の流れと期間
  7. 受け入れたあとに気をつけること
  8. よくある質問
  9. まとめ
  10. 参考資料

興行ビザの対象になる人

興行ビザの対象は、お客さんに見せる・聴かせる公演や試合に出る人と、撮影や宣伝などの芸能活動をする人です。出演者を支えるスタッフも、一緒に活動する場合は対象になります。

どんな人か例
公演に出る人歌手、ダンサー、俳優、演奏家、オーケストラの団員
試合・サーカスなどに出る人プロ野球やJリーグの選手、プロのゴルファーやボクサー、サーカスの出演者
撮影・宣伝などをする人CMや雑誌のモデル、映画や番組の出演者・監督
出演はしないが中心を担う人振付師、演出家
出演者を支えるスタッフマネージャー、照明係、トレーナー、コーチ、撮影のカメラマン

出典:出入国在留管理庁「在留資格「興行」」、入国・在留審査要領 第17節 第1の2、第1の4

スタッフは出演者と一緒に活動することが前提なので、出演者が帰国したあと、スタッフだけが日本に残ることは原則としてできません。

出典:入国・在留審査要領 第17節 第2の2

興行ビザにならない場合

出演や撮影でも、活動の形によっては興行ビザではなく、別の在留資格になります。

こんな場合在留資格
映画の宣伝のための舞台あいさつ短期滞在
国の代表としてオリンピックなどの国際大会に出る査証なしの入国、または短期滞在(大会による)
実業団チームの選手として会社から報酬を受ける原則として特定活動
歌手などに師事して、レッスンだけを受ける興行に該当しない
興行の事業を経営する経営・管理

出典:入国・在留審査要領 第17節 第1の2、第1の4、第1の5

プロのチームと契約して試合に出る選手は、興行ビザです。

試合・撮影の場合の条件

スポーツの試合やサーカスに出る場合と、CMや映画などの撮影をする場合は、日本人が同じ仕事をしたときと同じ額以上の報酬を受けることが条件です。

撮影は、インターネットだけで配信されるものでもかまいません。ただし、個人で動画を配信して広告収入を得るための来日は対象になりません。

出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」法別表第一の二の表の興行の項 第2号・第3号、入国・在留審査要領 第17節 第1の4

公演の場合の条件(3つのパターン)

コンサートや演劇などの公演に出る場合は、公演の種類と会場によって、3つのパターンに分かれます。パターン1に当てはまれば、条件はいちばん少なくて済みます。

パターンどんな公演か主な条件
1国・自治体や学校の公演、客席100人以上で飲食を出さないホール、1日50万円以上で30日以内の公演など本人や招へい機関の経験年数の決まりはない
21に当てはまらず、会場がキャバレーなどの風営法の店ではない公演招へい機関に、外国人の公演を3年以上扱った経営者か管理者がいる など
31・2に当てはまらない公演(主に風営法の店での公演)本人・招へい機関・会場のすべてに細かい条件がある

出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」法別表第一の二の表の興行の項 第1号

パターン1は、初めて外国人を呼ぶ会社でも使えます。ただし審査では、本人にその公演を行うだけの実力があるか、費用や日程がはっきりしているかが確かめられます。

パターン2は、招へい機関が条件(外国人の公演を3年以上扱った経営者か管理者がいる など)を満たしていれば、パターン1に当てはまらないライブハウスやレストランでも使えます。会場の広さや、客席で飲食を出すかどうかは問いません。

パターン3では、本人に2年以上の専攻か経験、招へい機関に常勤の職員5名以上、会場に一定の広さの舞台や控室などが求められます。

どのパターンでも、招へい機関の登記事項証明書や決算書を出し、どんな会社かは審査で確かめられます。

出典:入国・在留審査要領 第17節 第1の4、第1の6

日本にいられる期間(在留期間)

在留期間は、日本で活動する期間などによって、3年・1年・6月・3月・30日のどれかになります。

活動する期間在留期間の目安
1年を超える3年
6月を超え1年以内1年
3月を超え6月以内6月
3月以内3月
1日50万円以上・30日以内の公演30日

出典:入国・在留審査要領 第17節 第1の7

パターン3で初めて契約する会社などは、活動が3月を超えても3月になることがあります。30日の在留期間が付いた場合などは、原則として延長(更新)が認められません。最初の在留期間の中で終わる日程を組んでおくと安心です。

申請の流れと期間

海外から呼ぶ場合は、招へい機関が日本で在留資格認定証明書を申請します。

  1. 公演・試合・撮影のどれに当たるか、公演ならどのパターンかを確かめる
  2. 書類をそろえる(本人の経歴書、出演の契約書、招へい機関の登記事項証明書と決算書、会場の資料、公演日程表など)
  3. 招へい機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請する(オンラインも可。手数料はかからない)
  4. 交付された証明書を本人に送り、本人が現地の日本大使館・総領事館でビザを取って来日する

出典:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」、入国・在留審査要領 第17節 第1の6

入管庁が公表している審査期間は、在留資格認定証明書の交付まで15.6日です(2026年7月許可分)。パターン2の申請は、2023年12月から、問題がなければ1か月以内に交付する試みが行われています。一度パターン2で認められた会社は、2週間以内(前回の申請から職員が替わっていれば3週間以内)です。

出典:出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)、「在留資格「興行」に係る上陸基準省令等の改正について」

受け入れたあとに気をつけること

出演者に、接客や配膳、店の雑用をさせてはいけません。これらは興行ビザで認められた活動ではなく、報酬を受けると資格外活動になります。

してよいことしてはいけないこと
公演中や開演直前・終演直後に、客から花束やチップを受け取る客席で客を接待する
握手や簡単なあいさつを交わす接客、配膳、店の雑用をする

出典:入国・在留審査要領 第17節 第1の4、第2の1

出演者が行方不明になったときは、申請した地方出入国在留管理官署に、文書ですぐに届け出るよう求められています。

出典:入国・在留審査要領 第17節 第1の5

よくある質問

出演者と日本の会社が直接契約していなくても、申請できますか?

できます。海外の事務所やチームに所属する人は、契約書などで本人に支払われる報酬額が確かめられます。ただし、公演のパターン2と3は、日本の招へい機関との契約が必要です。

18歳未満の出演者を呼べますか?

呼べます。審査では、必要に応じて親権者の同意があることが確かめられます。

来日してから仕事が決まるモデルでも、申請できますか?

申請できます。モデルは本人を見てから仕事が決まることが多いため、予定表などで日本での活動内容が確かめられます。

グループで来日する場合、「1日50万円以上」はどう数えますか?

1人ずつではなく、グループ全体が受け取る報酬の総額で数えます。「30日以内」は公演の日数ではなく、入国から出国までの滞在全体で数えます。

「客席100人以上」は、立ち見も数えますか?

数えます。消防法の収容人員のうち客席の部分で数え、固定席は席の数、立ち見は1人0.2㎡で計算します。

学校の文化祭に出演してもらう場合は、パターン1になりますか?

学校の施設で行う公演なら、学校が主催しない文化祭でもパターン1に当たります。反対に、学校が主催していても、校外の会場で行う公演は当たりません。

出演者の食費や宿泊費を、報酬から差し引いてよいですか?

公演のパターン3では、差し引く金額を契約で示し、実費の範囲内にして、本人の了承を得ておく必要があります。申請のときは、その金額と計算の根拠を書類で示します。

まとめ

興行ビザは、公演・試合・撮影などで来日する外国人と、出演者を支えるスタッフのための在留資格です。試合と撮影は、日本人と同じ額以上の報酬を受けることが条件です。

公演は、国や学校の公演・大きなホールなどならパターン1です。それ以外は、風営法の店でなく、招へい機関が条件を満たせばパターン2、どちらにも当たらなければパターン3です。

自分の公演がどのパターンに当たるか分からない場合や、初めて外国人を招へいする場合は、興行ビザの申請サポートで、条件の確認から書類の準備まで一緒に進めます。

参考資料

執筆者

日高 拓郎
日高 拓郎

行政書士(申請取次)。ジプニー行政書士事務所 代表。千葉県行政書士会所属(登録番号 第25101585)。
フィリピンの現地法人で責任者を務めた後、2023年に株式会社ジプニー(登録支援機関)を創業。2025年にジプニー行政書士事務所を開業。

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