※この記事は、2026年10月15日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
外国人のプロスポーツ選手を日本のチームに呼ぶときは、興行ビザ(在留資格「興行」)のうち、スポーツの試合などを対象にした「基準2号」で申請します。条件は、日本人が同じ仕事をした場合と同じ額以上の報酬を受けることです。
ただ、リーグの形や選手との契約の形はチームごとに違うため、入管の書類一覧どおりにそろえられないことがよくあります。この記事では、当事務所がプロスポーツチームの申請を担当した経験を交えて、必要書類のそろえ方と、在留期間・更新の注意点を説明します。
目次
プロスポーツ選手は興行ビザ(基準2号)で呼ぶ
興行収入やスポンサー収入で運営されるチームと、プロ選手として契約する場合は、興行ビザに該当します。同じスポーツ選手でも、立場によって在留資格が変わります。
| こんな選手 | 在留資格 |
|---|---|
| プロのチームと契約して、試合に出る選手 | 興行 |
| 監督・コーチ・トレーナーなど、選手と一体で活動する人 | 興行 |
| 実業団チームの選手(企業の広告塔として会社から報酬を受ける) | 原則として特定活動 |
| 国の代表としてオリンピックなどの国際大会に出る選手 | 短期滞在(オリンピックなどは査証なしで入国) |
出典:入国・在留審査要領 第17節 第1の4(基準2号)、第1の5(8)
興行ビザ全体の仕組みは「興行ビザとは?」で説明しています。
必要書類と、そろえられないときの考え方
リーグ戦のように会場が多い場合は、入管に事前に相談したうえで、会場の資料を年間の試合日程表で代えられることがあります。在留資格認定証明書の申請で出す主な書類は次のとおりです。
| 主な書類 | そろえにくいときに代えた例 |
|---|---|
| 選手の経歴書と、経歴を証明する資料 | ― |
| 招へい機関の登記事項証明書、決算書、従業員名簿 | ― |
| 試合を行う会場の資料(営業許可書の写し、図面、写真など) | 年間の試合日程表 |
| チームが試合を請け負っているときは、その契約書 | リーグへの加盟を示す書類 |
| 選手との契約書(活動の内容・期間・報酬が分かるもの) | ―(外国語なら日本語訳を付ける) |
| 試合の日程表、チラシなど | シーズン前なら前のシーズンの日程表 |
出典:出入国在留管理庁「在留資格「興行」(基準2号)」
その場合は、年間の試合日程が決まっていて、きちんとした会場で試合が行われることを説明します。そのうえで、営業許可書・図面・写真などの会場の資料の代わりに、年間の試合日程表を出します。
なお、審査要領は、会場や運営する機関の資料のうち、公開の資料で分かるものは提出を求めなくてよいとしています。
どの書類で代えられるかは、リーグの形や契約の内容によって変わります。代わりの資料を出すときは、なぜ代えるのかを書面で説明しておきます。
申請書の記入で迷いやすいところ
申請書は、契約の形態・報酬・試合の会場の欄で迷うことが多くあります。
| 欄 | 迷いやすい点 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 契約の形態 | 選手契約は雇用とは限らない | 業務委託(委任・準委任)の契約なら「委任」を選ぶ |
| 職種・興行の内容 | 選択肢から選ぶ | 「プロスポーツ選手」「スポーツ」 |
| 適用される基準の区分 | 公演の区分と間違えやすい | 「基準2号」 |
| 就労予定期間 | 在留期間の判断に使われる | 選手契約の期間と合わせる |
| 月額報酬 | 外国の通貨で決めている | 円に直し、換算の考え方を書面で説明する |
| 出演施設(会場) | 会場が多い、まだ決まっていない | 未定である理由を別の書面で説明し、日程表を添える |
活動の内容は、試合への出場だけでなく、トレーニングや広報・地域貢献の活動も含めて書いておくと、選手の活動の全体が伝わります。
在留期間は契約期間で決まる
在留期間は、選手との契約期間をもとに決まります。スポーツ選手に許可される在留期間は、3年・1年・6月・3月のどれかです。
契約期間より長い在留期間を希望しても、許可されるのは契約期間に合った期間になるのが通常です。1年を超える契約でも、許可される在留期間は1年になることがあり、その場合は途中でもう一度更新して契約の終わりまでつなぎます。
シーズンの終わりと契約の終わりがずれると、在留期限がプレーオフなどに間に合わないことがあります。契約期間は、在留期間を見込んで決めておくと安心です。
シーズンをまたぐときの注意
在留期間の更新は、契約の話がまとまるのを待たずに、取れる期間で早めに申請しておくと安心です。在留期間が6か月以上なら、在留期限の3か月前から申請できます。
| 注意すること | 理由 |
|---|---|
| オフシーズンの活動を示す | 次のシーズンまで試合がない期間が長いと、活動の実態を説明しにくくなる。ほかの大会やリーグの日程があれば、あわせて出す |
| 海外遠征の予定を確かめておく | 査証が必要な国籍の選手では、渡航先の査証を取るときに在留カードの残りの有効期間が条件になることがある。在留期限が近いと遠征に影響する。外国の査証のために残りの在留期間が6か月以上必要な場合などは、3か月より前に更新を受け付けてもらえることがある |
| 審査中に在留期限を過ぎる場合 | 期限前に申請していれば、在留期限から最大2か月、結果が出るまで在留できる。ただし在留カードの表面の期限は変わらないため、海外の査証などには使えない |
| 住民税の証明書 | その年の1月1日より後に来日した選手は、証明書が出ない。報酬の支払明細などで報酬の実績を示す |
| 家族を呼ぶ | 家族は「家族滞在」で申請する。選手より審査に時間がかかることがある |
審査期間の目安
入管庁が公表している興行の在留資格認定証明書の審査期間は、交付まで15.6日です(2026年7月許可分)。
出典:出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)
審査期間は、申請の時期や書類の内容によって変わります。更新は認定より時間がかかることもあるため、シーズンの日程から逆算して、余裕をもって申請しておくと安心です。
よくある質問
リーグとの契約書がない場合はどうしますか?
リーグへの加盟を示す書類など、チームとリーグの関係が分かる資料で代えられることがあります。
シーズン前で、試合の会場や日程が決まっていません。
前のシーズンの年間試合日程表を出し、会場や日程が未定である理由を書面で説明する方法があります。
選手との契約が雇用契約ではありません。問題はありますか?
業務委託(委任)の契約でも申請できます。申請書の「契約の形態」で委任を選び、更新のときは給与明細の代わりに、報酬の支払明細で報酬の実績を示せます。
まとめ
プロスポーツ選手は、興行ビザの基準2号で呼びます。条件は日本人と同じ額以上の報酬を受けることで、在留期間は選手との契約期間をもとに決まります。
一方で、リーグとの契約書がない、会場がまだ決まっていない、契約が雇用ではないなど、入管の一覧どおりに書類をそろえられない場面がよくあります。当事務所では、プロスポーツチームの選手の認定申請から更新、家族の申請までを担当しています。チームの事情に合わせた書類のそろえ方は、興行ビザの申請サポートで一緒に考えます。
参考資料
- 出入国在留管理庁「在留資格「興行」(基準2号)」
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
- 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」(2026年7月許可分)
- 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請書(興行)」
- 入国・在留審査要領 第17節「興行」
- 出入国管理及び難民認定法 第20条第6項


