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永住許可の要件が厳格化へ|年収・年金・日本語能力・配偶者特例の4つの変更点を行政書士が整理

本文僅提供日語版本。

永住許可の要件が厳格化へ|年収・年金・日本語能力・配偶者特例の4つの変更点を行政書士が整理
發布日期: 2026年7月27日
類別: 永住申請

永住許可の要件が厳格化へ|年収・年金・日本語能力・配偶者特例の4つの変更点を行政書士が整理

【2026年7月28日更新】

出入国在留管理庁が永住許可の要件を厳格化する方針を固めた、と2026年7月に報じられました。「永住許可に関するガイドライン」を2026年10月1日付で改定する案、という内容です。

入管庁からの正式発表は、2026年7月28日時点でまだありません。公式サイトのガイドラインも、令和8年2月24日改訂版のままです。

この記事では、報道されている案と、いま実際に使われているルールを並べて整理します。新しい情報が出るたびに更新していきます。

この記事でわかること

  • 報道されている4つの変更点と、今のルールとの違い
  • 年収の基準が世帯人数で変わること、単身の方はどう見られるのか
  • 夫婦の収入は合算できるが、合算に入れられない収入があること
  • 外国に住む親族まで人数に数える、という新しい考え方
  • 「厚生年金30年分」の意味、日本語能力の水準、いつから変わるのか

報道されている4つの変更点

  • 年収:日本人世帯の平均を上回る水準に、継続して達していること
  • 年金:その年収水準で厚生年金に30年加入した場合に相当する受給見込額。足りない分は金融資産で補える
  • 国益要件:日本語能力や、日本の制度・ルールへの理解を新たな判断材料に加える
  • 配偶者特例:日本人・永住者・特別永住者の配偶者について「婚姻3年・在留1年」から「婚姻5年・在留3年」へ引き上げ

年収:世帯人数に応じた額とされました

最初に押さえておきたいのですが、報道は「日本人世帯の平均を上回る水準」とするだけで、具体的な金額を示していません。どの統計を使うのかも書かれていない状態です。

参考としてよく挙げられるのが、厚生労働省の国民生活基礎調査です。2024年の1世帯当たり平均所得金額は575万2千円でした。ただし入管庁がこの統計を使うと決めた事実は確認できていません。

しかもこの数字は、年によってかなり動きます。

  • 2022年:524万2千円
  • 2023年:536万0千円
  • 2024年:575万2千円

直近の1年だけで39万2千円、率にして7.3%上がりました。この統計をそのまま基準に据えると、申請する年によって合格ラインが数十万円ずれることになります。

そのうえで、金額がいくらになるにせよ、最初に出てくる疑問はこれだと思います。

単身の方にも、世帯の平均と同じ金額が求められるのか。

ここについては、新しい年収水準を「世帯人数に応じた額」とすると報じられています。全員に同じ一本の線が引かれるわけではない、ということです。

人数で額を変える方向は、今と同じです

これまでの実務では、収入の目安は次のように見られてきました。

  • 単身の方:300万円ほど
  • 扶養家族が1人増えるごとに:50〜80万円ほど上乗せ

養う人数が増えれば必要な額も増える、という考え方です。人数に応じた額にするという方向自体は、今の実務と変わりません。

問題は、その金額です。単身の方の水準が今の300万円からどこまで上がるのか、人数ごとにいくら刻むのか、どちらも示されていません。

よく引き合いに出される575万2千円も、平均2.17人で暮らしている世帯の合計額です。1人あたりに直すと259万2千円になります。世帯人数で額が変わるのであれば、この575万2千円が単身の方にそのまま乗るわけではない、という読み方になります。

夫婦の収入は合わせられますが、外れる収入があります

もう一つの疑問が、共働きの場合に2人の収入を足してよいのか、という点です。

報道されている案では、申請者本人の年収と、同じ世帯の家族の年収を合算した額でみるとされています。合算そのものは認める建て付けです。

ただし、そこから外れる収入があります。家族滞在など、就労を目的としない在留資格の家族が、資格外活動許可(アルバイト許可)を受けて得た収入は合算しないとされました。

家族滞在の配偶者が週28時間以内で働いているご家庭は、珍しくありません。その分が世帯の年収から外れると、実際の家計は変わらないのに、審査上の年収だけが下がることになります。

今のルールには、こうした区別がありません。入管庁の内部基準である「入国・在留審査要領」にはこう書かれています。

独立生計要件は、必ずしも申請人自身が具備している必要はなく、申請人が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定した生活を続けることができると認められる場合には、これに適合するものとして扱う。また、必ずしも収入のみで判断することなく、世帯単位において預貯金、不動産等の一定の資産を有している場合には、これに適合するものとして扱う。

ざっくり言えば、申請人本人の収入だけで足りなくても、配偶者と合わせて安定していれば認められるということです。収入だけでなく、預貯金や不動産があってもよいとされています。

ただし、世帯で見るということは、配偶者側の状況も審査されるということでもあります。実際、永住申請では申請人だけでなく、申請人を扶養する方の課税証明書・納税証明書の提出が求められます。同じ審査要領にも、こう書かれています。

被扶養者である場合にあっては、扶養者が公的義務を履行しているなど法令を遵守していることが必要である。

つまり収入を合算する場合、配偶者の納税・年金保険料・健康保険料の納付状況が、そのまま審査の対象に入ってきます。金額が足りていても、配偶者側に未納や納付の遅れがあれば、そこがマイナスに評価されることがあります。ここは見落とされやすいところです。

ご自身とご家族の状況でどう見られそうかが気になる方には、当事務所でも収入・納税状況を確認しながら永住許可申請のサポートを行っています。

外国に住む親族も、世帯人数に数えます

年収の水準が世帯人数で決まるなら、次に効いてくるのは「誰を人数に数えるか」です。ここが今回いちばん見落とされやすいところだと思います。

報じられているのは次の2点です。

  • 申請者が扶養する親族は、同居していなくても世帯人数に含める
  • 外国に住む親族も含むと明記されている

さらに世帯人数が5人以上になる場合は、人数に応じた年収水準額に「生活費などの増加分を加算する」とされています。人数が増えるほど、必要な年収も積み上がる形です。

母国のご両親を扶養に入れている方は、少なくありません。これまでは所得税の扶養控除という意味合いが中心でしたが、扶養に入れている人数が、そのまま永住申請で求められる年収額に効いてくることになります。

収入を合算できる家族と、人数として数えられる親族。この2つの範囲は一致しません。家族滞在の配偶者がアルバイトをしている場合、その収入は合算されませんが、扶養している以上、人数からは外れないと読めます。外国にいるご両親は、収入とは関係なく人数だけが増えます。

日本人の配偶者等は、そもそも対象になるのか

今のガイドラインには、法律上の要件に続けてこう書かれています。

ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。

(1)が素行善良要件、(2)が独立生計要件です。つまり日本人・永住者・特別永住者の配偶者やお子さんについては、収入に関する要件が適用されない建て付けになっています

そうすると、今回報じられている年収要件がこの方たちにも及ぶのか、という疑問が出てきます。及ぶとすれば、これまで適用外だった層が新たに対象に入ることになりますし、及ばないとすれば、就労ビザから永住を目指す方との差がさらに開きます。

この点について、報道は何も触れていません。 現時点では判断できない、というのが正直なところです。ただ、影響が大きい部分なので、続報が出た際には記事に反映します。

なお、要件が適用されないからといって、収入の状況をまったく見られないわけではありません。扶養に入っているケースなど、世帯の状況によって実務上の見られ方は変わってきます。

575万2千円は、給料だけの金額ではありません

この575万2千円は「所得」の数字です。世帯全員分の収入を、種類を問わず全部足したものになります。内訳はこうです。

  • 給料:397万5千円
  • 年金・恩給:111万6千円
  • 自営業の儲け、財産からの収入など:残り

つまり給料にあたるのは397万5千円ほどで、残りは年金や財産からの収入で埋まっています。575万2千円を「給料でいくら」と読み替えると、日本人が実際に給料として得ている平均を180万円ほど上回る水準になります。

なお永住申請で提出する課税証明書には、「給与収入額」(額面)と「給与所得額」(控除を引いた後)の両方が載っています。どちらの数字で見られるかでも必要額は変わります。報道の言葉は「年収」「収入」であって「給与」ではないため、この点もまだ分かりません。

年金:「今575万円ある人が30年続ける」という意味ではありません

「厚生年金に30年加入した場合に相当する受給見込額」と聞くと、575万円を30年間キープしないといけないように読めます。ただ、年金の仕組み上そうはなりません。

厚生年金の受給額は、こう決まります。

生涯の平均収入 × 加入した月数

ポイントは2つあります。

1つ目は、平均だということ。 働いていた全期間をならした金額で計算されます。しかも過去の給与は、現在の賃金水準に換算し直したうえで平均が取られる仕組みです(再評価といいます)。20代のうちは収入が低くても、そこから上がっていって生涯の平均が届けば構いません。日本人の一般的な賃金カーブと同じ形で問題ないということです。

2つ目は、掛け算だということ。 加入期間が長ければ、平均が低くても同じ金額に届きます。厚生年金の報酬比例部分だけで考えると、こうなります。

  • 30年(360か月)働く場合:生涯平均で575万円ほどが必要
  • 40年(480か月)働く場合:生涯平均430万円ほどでも同じ額になります

20代で来日して30代前半で永住申請をされる方は、60歳まで働けば40年近く積める計算です。つまり今の年収の高さよりも、日本で働く期間の長さの方が効いてくる構造になっています。「30年」という数字を実績として突きつけられるわけではありません。

裏を返すと、40代以降に来日した方は期間で稼ぐことができません。この場合は収入を高くするか、報道で触れられている金融資産で補うことになります。

ただし、基準にする金額が老齢基礎年金まで含むのか、厚生年金の報酬比例部分だけなのかは示されていません。判定に使うのが現時点までの加入実績なのか、働き続けた前提の見込額なのかも書かれていません。ここは正式な案を待つ必要があります。

国益要件:日本語能力と制度の理解

日本語能力について報じられているのは「自立した言語使用者」の水準です。これはCEFR(外国語の習熟度を示す国際的な指標)のB1〜B2にあたり、日常的な場面なら自分で対応できるレベルを指します。

日本語能力試験(JLPT)に置き換えると、おおよそN3の上位からN2の範囲になります。JLPTは2025年12月の試験から結果にCEFRレベルの参考表示を始めていて、対応は合格した級ではなく総合得点で決まります。

  • N3:104点以上でB1
  • N2:90〜111点でB1、112点以上でB2

つまり同じN2合格でも、得点によってB1になる方とB2になる方に分かれます。「N2を持っていればB2」という関係にはならない点は、押さえておいた方がよさそうです。

なお、この参考表示が対象にしているのは「言語知識・読解・聴解」で、話す・書くは含まれていません。仮に日本語能力が要件に入るとしても、何をもって水準を満たしたと見るのかはまだ示されていません。

あわせて、生活習慣を含めた理解不足や、義務教育期間の子どもを学校に通わせていない場合を、マイナスに評価する方向とも報じられています。

配偶者特例:婚姻3年・在留1年 → 婚姻5年・在留3年

日本人・永住者・特別永住者の配偶者には、10年在留の原則によらず永住申請できる特例があります。今の条件は「実体を伴った婚姻生活が3年以上、かつ引き続き1年以上在留」です。

これを「婚姻5年・在留3年」に引き上げる案が報じられています。結婚してすぐ永住を考えていた方にとっては、待つ期間が2年ぶん延びる形になります。

いつから変わるのか

報じられている時期は3段階です。

  • ガイドラインの改定:2026年10月1日
  • 原則の適用開始:2027年4月の申請分から
  • 収入の水準のみ:2026年4月以降の申請にも適用

3つ目は、すでに審査中の申請にも及ぶ可能性がある話です。ただしこの遡っての適用については、報道によって触れているものと触れていないものがあります。実施されるかどうかも、対象範囲も確定していません。

あわせて押さえておきたいのが、同じ2026年10月1日から永住許可申請の手数料が1万円から20万円になる点です。こちらは報道ではなく、2026年7月3日に政令案が正式に公表され、8月2日までパブリックコメントが行われている段階です。基準になるのは許可日ではなく、申請の受付日とされています。詳しくは在留資格の手数料値上げについての記事で整理しました。

同じ日に、要件の引き上げと手数料20倍が重なる形になります。

2027年3月31日で、在留期間「3年」の経過措置も終わります

もう一つ、時期が重なる話があります。こちらは報道ではなく、今のガイドラインに書かれている確定事項です。

永住申請には「最長の在留期間をもって在留していること」という要件があります。本来は在留期間「5年」を持っている必要がありますが、経過措置として「3年」でも認められてきました。その期限がこう定められています。

令和9年3月31日までの間、在留期間「3年」を有する場合は、前記1(3)ウの「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うこととする。

2027年3月31日までです。新要件の適用開始が2027年4月の申請分からなので、ちょうど入れ替わる形になります。

ただし完全に打ち切られるわけではありません。同じ注記の続きに、2027年3月31日の時点で在留期間「3年」を持っている方は、その在留期間内であれば初回に限り従来どおり扱う、という定めがあります。ご自身が対象になるかどうかは在留期間「3年」の経過措置についての記事で整理しています。

よくある質問

Q. 単身だと不利になりますか? 新しい年収水準は「世帯人数に応じた額」と報じられており、全員に同じ金額が課される形ではありません。よく挙がる575万2千円がそのまま単身の方に乗るわけではない、という読み方になります。ただし人数ごとの金額は示されていないため、今の目安(単身300万円ほど)からどれだけ動くかは分かりません。

Q. 夫婦の収入を合算できますか? 合算した額でみる、と報じられています。ただし家族滞在などの在留資格の家族が、資格外活動許可を受けて得た収入は合算しないとされました。また合算する場合、配偶者の納税・年金保険料の納付状況も審査対象になります。

Q. 母国にいる両親を扶養に入れています。影響はありますか? 申請者が扶養する親族は同居していなくても世帯人数に含めるとされ、外国に住む親族も含むと明記されています。世帯人数が5人以上になる場合は、生活費などの増加分を加算するとも報じられています。扶養に入れている人数が、求められる年収額に効いてくる形です。ただし人数ごとの具体的な金額は示されていません。

Q. すでに永住許可を申請していますが、影響はありますか? 収入の水準について、2026年4月以降の申請にも適用するという報道があります。ただし正式な経過措置の内容は示されておらず、実施されるかどうかも未定です。審査中の方は続報を確認しておくと安心です。

Q. 30代です。厚生年金に30年も加入していませんが、対象外になりますか? 実際に30年払い込んでいる必要はありません。年金額は「生涯の平均収入 × 加入月数」で決まるため、20代で来日して長く働く方は期間の方で積み上がります。今の年収が575万円に届いていなくても、将来の見込額で判断されるなら不利とは限りません。ただし判定に何を使うかはまだ示されていません。

まとめ

  • 報道は金額も使用する統計も示していない。よく挙がる575万2千円は参考値で、入管庁が採用すると決めた事実はない
  • その575万2千円も1年で39万円(7.3%)動いており、基準に据えれば申請年で合格ラインがずれる
  • 年収は「世帯人数に応じた額」とされ、全員に一本の線が引かれる形ではない。ただし人数ごとの金額は示されていない
  • 575万2千円は平均2.17人世帯の金額。1人あたりに直すと259万2千円になる
  • 夫婦の収入は合算できるが、家族滞在などの家族が資格外活動で得た収入は合算しないとされた
  • 扶養する親族は同居していなくても人数に数え、外国に住む親族も含む。5人以上なら生活費の増加分が加算される
  • 収入を合算する場合は、配偶者の納税・年金の状況も審査対象になる
  • 575万2千円のうち給料にあたるのは397万5千円。課税証明書の「給与収入額」と「給与所得額」のどちらで見るかも示されていない
  • 年金の「30年」は実績の話ではない。年金額は「生涯の平均収入 × 加入月数」で決まるため、長く働く方は期間で積み上がる
  • 日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子は、今は独立生計要件が適用されない。今回の年収要件が及ぶかどうかは報じられておらず、当事務所でも注視しています
  • 2027年3月31日で在留期間「3年」の経過措置も終わり、新要件の適用開始と入れ替わる
  • 同じ2026年10月1日から、永住許可の手数料が20万円になる点は正式に公表済み

永住許可の要件そのものについては、永住ビザ完全ガイドで全体像を整理しています。あわせてご確認ください。

正式なガイドライン案やパブリックコメントが公表され次第、この記事を更新します。

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