育成就労の外部監査人は何をするのか|3か月ごとの確認と同行監査、監理支援機関の監査との違い

日高 拓郎
日高 拓郎行政書士(申請取次)
公開 / 更新
育成就労の外部監査人は何をするのか|3か月ごとの確認と同行監査、監理支援機関の監査との違い

※この記事は、2026年10月9日時点の法令と、出入国在留管理庁(入管庁)・外国人技能実習機構の公表資料に基づいています。

育成就労の外部監査人の業務は、監理支援機関の事業所での確認と、受入れ企業への監査への同行の2つです。確認は各事業所につき3か月に1回以上、同行は1年に1回以上で、どちらも結果を書類にして監理支援機関に提出します。

受入れ企業への監査そのものは、監理支援機関の役職員が行う業務です。以下、2027年4月1日に施行される育成就労法施行規則と、入管庁の運用要領に沿って、頻度、方法、書類の扱いを説明します。外部監査人の定義と要件は、育成就労の外部監査人とはにまとめています。

目次
  1. 外部監査人の業務は2つ
  2. 「3か月に1回以上」「1年に1回以上」の数え方
  3. 確認の進め方と、結果の書類の扱い
  4. 監理支援機関自身の監査との違い
  5. 外部監査人が行わない業務
  6. 技能実習制度の外部監査人の業務との違い
  7. よくある質問
  8. まとめ
  9. 参考資料

外部監査人の業務は2つ

外部監査人の業務は、事業所での定期的な確認と、受入れ企業への監査への同行の2つです。育成就労法施行規則(以下「施行規則」)第47条第3項が、外部監査の方法として定めています。

事業所での確認(第1号)監査への同行(第2号)
確認すること受入れ企業への監査その他の監理支援機関の業務が、適正に実施されているかどうか受入れ企業への監査が、適正に実施されているかどうか
頻度監理支援事業を行う各事業所につき、3か月に1回以上監理支援事業を行う各事業所につき、1年に1回以上
相手と方法責任役員と監理支援責任者から報告を受ける。監理支援機関の事業所で設備を確認し、帳簿書類その他の物件を閲覧する監理支援機関が受入れ企業に行う監査(施行規則第67条第1号・第2号の監査)に同行する
結果結果を記載した書類を、監理支援機関に提出する結果を記載した書類を、監理支援機関に提出する

責任役員は、監理支援事業に責任を有する役員です。監理支援責任者は、監理支援機関が事業所ごとに選任する、監理支援事業の統括の責任者です。

同行の対象のうち、第67条第1号の監査は、監理支援機関が受入れ企業(育成就労実施者)に行う定期の監査です。同条第2号の監査は、労働者派遣等の形で育成就労を行わせている場合に、派遣元と派遣先に行う監査です。

出典:e-Gov法令検索「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則」(令和7年法務省・厚生労働省令第4号。2027年4月1日施行)第42条第2号、第47条第3項、第67条第1号・第2号、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(平成28年法律第89号。令和6年法律第60号による改正後。2027年4月1日施行)第40条第1項/出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領 2026年8月改正 第5章第2節第5、第16節第2)

「3か月に1回以上」「1年に1回以上」の数え方

頻度は、監理支援機関の全体ではなく、監理支援事業を行う事業所ごとに数えます。施行規則が、確認も同行も「各事業所につき」と定めているためです。

事業所が3か所ある監理支援機関を例に計算すると、事業所での確認は1年に少なくとも12回、同行は少なくとも3回になります。

同行の「1年に1回以上」は、運用要領に数え方が書かれています。

同行の「1年に1回以上」の数え方(運用要領)
  • 事業年度中に1回以上の監査を実施する
  • そのうえで、前回の同行監査の実施日を起算日とする1年以内に、少なくとも1回以上同行する
  • 例:初回の同行監査を5月10日に実施した場合、2回目は翌年5月10日までに実施する

事業年度の中で1回以上行うことと、前回の実施日から1年以内に行うことの、両方を満たす必要があります。運用要領は「事業年度」とだけ書いていて、どの年度を指すかは書いていません(2026年10月9日時点)。

事業所での確認の「3か月に1回以上」は、起算日の説明が施行規則にも運用要領にもありません(2026年10月9日時点)。外国人技能実習機構の「よくあるご質問」(2026年7月10日更新)にも、この点の回答はありません。

当事務所でも育成就労の外部監査人の就任をお受けしており、事業所の数と受入れ企業の数を伺ったうえで、実施の段取りからご相談いただけます。

出典:e-Gov法令検索「育成就労法施行規則」(2027年4月1日施行)第47条第3項/出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領 2026年8月改正 第5章第2節第5)/外国人技能実習機構「よくあるご質問」(監理支援機関の許可申請関係。2026年7月10日更新)

確認の進め方と、結果の書類の扱い

外部監査の結果を記載した書類は、監理支援機関が事業所に備えて置き、年に1回、写しを機構に提出します。機構は、いまの外国人技能実習機構に代わって設立される外国人育成就労機構です。

  1. 外部監査人が、確認と同行のそれぞれの結果を記載した書類を作り、監理支援機関に提出する
  2. 監理支援機関が、その書類を帳簿書類として、監理支援事業を行う事業所に備えて置く
  3. 監理支援機関が、報告年度の書類の写しを事業報告書に添付し、機構の本部事務所の審査課に提出する
項目決まっていること
書類の名称運用要領は「外部監査報告書」「外部監査報告書(同行監査)」と呼んでいる
様式運用要領は「追って参考様式として示す予定」としている。入管庁と外国人技能実習機構の様式の一覧に掲載はない(2026年10月9日時点)
備えて置く期間監理支援を行う受入れ企業が行わせている育成就労の終了日から起算して1年間
電子データ電磁的記録で作成・保存できる。外部監査人から監理支援機関への提出も、電子的に行って差し支えない
事業報告書の提出事業所ごとに作る。育成就労事業年度(4月1日〜翌年3月31日)ごとに、翌年度の5月31日までに提出する

帳簿書類は、実地の確認の前に電子的に受け取れる

帳簿書類が電磁的記録で作成・保存されている場合の扱いを、運用要領が書いています。実地で行う確認に先立って電子的に提出させ、確認の効率化を図ることは「差し支えありません」としています。

ただし、帳簿書類が事業所に適切に備え付けられているか、事前に提出された資料が実態を踏まえたものになっているかなどは、実地で確認する必要があります。

監理支援機関には、外部監査に協力することと、外部監査で受けた改善の指摘について改善を図ることが求められます。

出典:e-Gov法令検索「育成就労法施行規則」(2027年4月1日施行)第1条第5号、第47条第3項、第70条、第71条、「育成就労法」(2027年4月1日施行)第41条、第42条第2項/出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領 2026年8月改正 第5章第2節第5、第18節、第19節。様式の一覧は同ページ)、「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」/外国人技能実習機構「育成就労制度様式一覧」

監理支援機関自身の監査との違い

監理支援機関の監査は受入れ企業を対象にし、外部監査は監理支援機関の業務を対象にします。

監理支援機関の監査(定期監査)外部監査
根拠施行規則第67条第1号施行規則第47条第3項
行う人監理支援責任者の指揮の下で、監理支援機関の役職員外部監査人
対象受入れ企業監理支援機関
確認すること認定育成就労計画に従って育成就労を行わせているか、出入国または労働に関する法令に違反していないか、など受入れ企業への監査その他の監理支援機関の業務が、適正に実施されているか
頻度受入れ企業に対し、3か月に1回以上各事業所につき、3か月に1回以上の確認と、1年に1回以上の同行
結果の提出先監査報告書(別記様式第23号)を、受入れ企業の住所地を管轄する機構の地方事務所・支所の指導課へ結果を記載した書類を、監理支援機関へ
提出の期限監査を行った日から起算して2か月以内施行規則と運用要領に、期限の定めはない

定期監査の方法は、次の5つです。

定期監査の方法(施行規則第67条第1号)
  • 育成就労の実施状況について、実地による確認を行う
  • 育成就労責任者と育成就労指導員から報告を受ける
  • 育成就労外国人の4分の1以上(2人以上4人以下の場合は2人以上)と面談する
  • 受入れ企業の事業所で設備を確認し、帳簿書類その他の物件を閲覧する
  • 育成就労外国人の宿泊施設その他の生活環境を確認する

特定の分野について告示で別の方法が定められている場合は、その方法によります。業務の性質上、5つのうちに著しく困難な方法がある場合は、その方法に代えて他の適切な方法によります。

出典:e-Gov法令検索「育成就労法施行規則」(2027年4月1日施行)第47条第3項、第67条第1号、第71条第1項、「育成就労法」(2027年4月1日施行)第42条第1項/出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領 2026年8月改正 第5章第15節、第16節第2、第19節)

外部監査人が行わない業務

受入れ企業への監査は、監理支援機関の役職員が行う業務で、外部監査人が代わりに行うものではありません。

運用要領は、外部監査人を「監理支援機関の役職員ではなく、監理支援機関が行う監査等の業務に従事することがない」と説明しています。監査は監理支援事業の根幹業務で、外部に委託することはできない、とも書いています。

委託が認められるのは、面談での通訳など、補助者としての業務に過ぎないものです。施行規則が求める3か月に1回という頻度を上回って行う監査は、上回る部分の監査業務を委託できる、とも書かれています。

監理支援機関が自ら行う業務頻度・期限根拠
定期監査受入れ企業に対し、3か月に1回以上施行規則第67条第1号
臨時監査受入れ企業が育成就労計画の認定の取消事由のいずれかに当たる疑いがあると認めたとき、直ちに同条第3号
訪問指導1か月に1回以上。必須になるのは、育成就労の対象となっていた期間の合計が1年以下の外国人がいる場合同条第4号
監査報告書の提出監査を行った日から2か月以内。人権を侵害する行為が疑われる情報を得て行った臨時監査は、直ちに電話等で概要を連絡し、遅くとも実施後2週間以内育成就労法第42条第1項、運用要領
事業報告書の提出翌育成就労事業年度の5月31日まで育成就労法第42条第2項、施行規則第71条第2項

訪問指導は、監理支援機関の役職員が受入れ企業に赴いて、育成就労の実施状況を実地に確認し、必要な指導を行うものです。

施行規則第47条第3項が同行の対象として挙げているのは、第67条第1号と第2号の監査です。第4号の訪問指導は、挙げられていません。

出典:e-Gov法令検索「育成就労法施行規則」(2027年4月1日施行)第47条第3項、第67条、第71条、「育成就労法」(2027年4月1日施行)第42条/出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領 2026年8月改正 第5章第2節第5、第15節、第16節第2、第19節)

技能実習制度の外部監査人の業務との違い

確認と同行の頻度・方法は技能実習制度と同じで、違うのは同行の対象になる監査と、書類の写しを添付する範囲です。

技能実習制度(監理団体)育成就労制度(監理支援機関)
事業所での確認各事業所につき3か月に1回以上。責任役員と監理責任者から報告を受け、事業所の設備を確認し、帳簿書類その他の物件を閲覧する各事業所につき3か月に1回以上。責任役員と監理支援責任者から報告を受け、事業所の設備を確認し、帳簿書類その他の物件を閲覧する
監査への同行各事業所につき1年に1回以上。対象は、技能実習法施行規則第52条第1号の監査各事業所につき1年に1回以上。対象は、施行規則第67条第1号または第2号の監査
結果の書類の提出先監理団体監理支援機関
書類を備えて置く期間技能実習の終了の日から1年間育成就労の終了日から起算して1年間
事業報告書に写しを添付する団体外部監査の措置を講じている監理団体監理支援機関(限定はない)

技能実習制度の欄は、2026年10月9日時点で施行されている技能実習法施行規則の内容です。育成就労制度の欄は、2027年4月1日に施行される施行規則の内容です。

施行規則第67条第2号は、労働者派遣等の形の育成就労について、派遣元と派遣先に行う監査を定めています。技能実習法施行規則第52条には、これに当たる号がありません。

技能実習制度には、外部監査の措置を講じない監理団体が、役員の中から指定した人(指定外部役員)に確認を担当させる方法もあります。指定外部役員が確認の結果を記載した書類は、事業報告書に添付する書類に挙げられていません。

出典:e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」(平成28年法務省・厚生労働省令第3号。現行)第30条、第52条、第54条、第55条、「育成就労法施行規則」(2027年4月1日施行)第47条第3項、第67条、第70条、第71条

よくある質問

外部監査人は、すべての受入れ企業の監査に同行するのですか?

すべての受入れ企業に同行する必要はありません。外国人技能実習機構は、各事業所につき1年に1回以上の同行が求められるが、傘下のすべての受入れ企業に同行しなければならないということはない、と回答しています。

外部監査人は、育成就労外国人からの通報の窓口になる役割もありますか?

運用要領は、外部監査人が育成就労外国人の外部通報窓口としての役割を果たすことも「望まれます」としています。施行規則第47条第3項が定める外部監査の方法には、入っていません。

転籍(育成就労実施者の変更)を希望する外国人の申出書は、外部監査人等を介して提出することもできます。

監理支援機関の許可が取り消されたとき、外部監査のことも公示されますか?

外部監査が適正に行われていた場合は、その旨を機構が公示することになります。運用要領が、許可の取消しを受けた監理支援機関について書いている内容です。

出典:外国人技能実習機構「よくあるご質問」(監理支援機関の許可申請関係。2026年7月10日更新)7-16/出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領 2026年8月改正 第4章第3節、第5章第2節第5、第14節)

まとめ

外部監査人の業務は、監理支援機関の各事業所につき3か月に1回以上の確認と、1年に1回以上の監査への同行です。結果を記載した書類は監理支援機関に提出します。監理支援機関は、その書類を事業所に備えて置き、写しを事業報告書に添付します。

受入れ企業への定期監査、臨時監査、訪問指導は、監理支援機関が自ら行う業務です。これから監理支援機関の許可を申請する団体は、監理支援事業を行う事業所の数を確かめ、確認と同行の回数を数えてください。外部監査人を引き受ける側は、その回数を実地で行えるかを先に確かめます。

参考資料

  • 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(平成28年法律第89号。令和6年法律第60号による改正後。2027年4月1日施行。施行日までは、e-Gov では技能実習法の題名で表示されます)第25条、第38条、第40条、第41条、第42条
  • 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則(令和7年法務省・厚生労働省令第4号。令和8年法務省・厚生労働省令第3号による改正後。2027年4月1日施行)第1条、第42条、第47条、第67条、第70条、第71条
  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成28年法務省・厚生労働省令第3号。現行)第30条、第52条、第54条、第55条
  • 出入国在留管理庁「運用要領」(育成就労制度運用要領。2026年8月5日改正)第4章、第5章
  • 出入国在留管理庁「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」
  • 外国人技能実習機構「よくあるご質問」(監理支援機関の許可申請関係。2026年7月10日更新)
  • 外国人技能実習機構「育成就労制度様式一覧」

執筆者

日高 拓郎
日高 拓郎

行政書士(申請取次)。ジプニー行政書士事務所 代表。千葉行政書士会所属(登録番号 第25101585)。
フィリピンの現地法人で責任者を務めた後、2023年に株式会社ジプニー(登録支援機関)を創業。2025年にジプニー行政書士事務所を開業。

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