※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の身元保証人とは、外国人配偶者の滞在費・帰国旅費・法令の遵守を、法務大臣に約束する人です。身元保証人には、日本に住んでいる日本人の配偶者がなります。
入管庁は、この約束に身元保証人に対する法的な強制力はないと説明しています。この記事では、誰がなるのか、何を保証するのか、民法の保証人との違い、収入の資料、更新のときの扱いを説明します。
目次
身元保証人とは何をする人か
身元保証人は、外国人の経済的な保証と、法令を守るための生活指導を行うと、法務大臣に約束する人です。入管庁はQ&Aで、次のように説明しています。
入管法における身元保証人とは、外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。
約束は「身元保証書」という1枚の書類で行います。宛先は法務大臣で、「上記の者の本邦在留に関し、下記の事項について保証いたします」という文の下に、3つの事項が並んでいます。
- 滞在費
- 帰国旅費
- 法令の遵守
身元保証人が記入するのは、氏名(自筆)、住所、職業(勤務先)、それぞれの電話番号、国籍・地域(在留資格、期間)、被保証人との関係です。様式に押印の欄はありません。
出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q53、「身元保証書」(各申請共通。永住許可申請は除く)
誰が身元保証人になるのか
配偶者ビザの身元保証人になるのは、日本に住んでいる日本人の配偶者です。入管庁の提出書類のページは、書類名を「配偶者(日本人)の身元保証書」とし、次のように書いています。
身元保証人には、日本に居住する配偶者(日本人)になっていただきます。
法務省令(出入国管理及び難民認定法施行規則)も同じです。日本人の配偶者である場合に出す資料として、「本邦に居住する当該日本人の身元保証書」を挙げています(別表第三、別表第三の七)。
身元保証書は、申請の種類にかかわらず提出書類に入っています。
| 申請の種類 | どんなときの申請か | 身元保証書 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 海外から新しく入国するとき | 配偶者(日本人)の身元保証書 1通 |
| 在留資格変更許可申請 | 日本にいる方が、ほかの在留資格から変更するとき | 配偶者(日本人)の身元保証書 1通 |
| 在留期間更新許可申請 | 配偶者ビザのまま在留を続けるとき | 配偶者(日本人)の身元保証書 1通 |
出典:出入国在留管理庁「在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の配偶者(夫又は妻)である場合)」、出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第三・別表第三の七
日本人配偶者が海外に住んでいる場合に誰が身元保証人になるのかは、入管庁のページに書かれていません(2026年10月時点)。進め方は、海外在住の夫婦の配偶者ビザ申請の記事で扱います。
申請の種類ごとの流れは、配偶者ビザとは?にまとめています。
申請人が日本人の実子・特別養子の場合
同じ「日本人の配偶者等」でも、申請人が日本人の実子や特別養子の場合は、身元保証人が変わります。入管庁のページは、変更と更新の申請で「身元保証人には、日本に居住する日本人の方(申請人の親又は養親)等になっていただきます」としています。
出典:出入国在留管理庁「在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の実子・特別養子である場合)」
約束を守れなかったら、お金を請求されるのか
入管庁は、身元保証書の保証事項に、身元保証人に対する法的な強制力はないと説明しています。Q&Aの文言は次のとおりです。
身元保証書の性格について、法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが、その場合、身元保証人として十分な責任が果たされないとして、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから、いわば道義的責任を課すものであるといえます。
読み替えると、次の3点になります。
- 保証事項に、身元保証人に対する法的な強制力はない
- 保証事項を果たさない場合も、入管が約束を果たすよう指導するにとどまる
- ただし、その後の入国・在留の申請で、身元保証人としての適格性を欠くとされることがある
入管庁はこれを「いわば道義的責任」と表現しています。責任がまったくない、という説明ではありません。
身元保証書は法務大臣にあてた書類です。外国人配偶者の借金や家賃の保証人になるかどうかは、貸主などと保証契約を結ぶかどうかという、別の話です。この段落は、様式と次の章の条文からの当事務所の理解です。
出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q53
民法の保証人とは何が違うのか
民法の保証人は、借りた本人が支払わないときに代わりに支払う責任を負います。入管庁が説明する身元保証人の責任とは、性質が違います。
| 配偶者ビザの身元保証人 | 民法の保証人 | 雇用の身元保証人 | |
|---|---|---|---|
| 約束の相手 | 法務大臣 | 債権者(お金を貸した人など) | 使用者(勤め先) |
| 内容 | 滞在費、帰国旅費、法令の遵守 | 主たる債務者が債務を履行しないときに、その履行をする | 被用者の行為で使用者が受けた損害を賠償する |
| 法的な強制力 | ない(入管庁Q&A) | ある(履行の責任を負う) | ある(損害賠償の責任と金額は、裁判所が事情を考えて定める) |
| 期間・金額の決まり | 様式に期間や金額の欄はない | 個人の根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない | 期間を定めなければ3年(商工業見習者は5年)。定めても5年まで |
出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q53、「身元保証書」、民法第446条・第465条の2、身元保証ニ関スル法律第1条・第2条・第5条
民法の保証契約は、書面か電磁的記録でしなければ効力を生じません(民法第446条第2項・第3項)。個人の根保証契約とは、一定の範囲の不特定の債務をまとめて保証する契約で、保証人が法人でないものです。
身元保証書に署名する日本人配偶者が負うのは、表の「配偶者ビザの身元保証人」の列の責任です。
収入が少ない場合・無職の場合
身元保証人になれる人を、収入の額や職業で限る記載は、法務省令にも、入管庁の提出書類のページにも、身元保証書の様式にもありません(2026年10月9日時点)。
収入に関わるのは、身元保証書とは別の書類である「日本での滞在費用を証明する資料」です。誰の分を出すかは、次のとおりです。
| 場面 | 出す資料 |
|---|---|
| 基本(認定・変更・更新) | 申請人の滞在費用を支弁する方の、直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書 各1通 |
| 更新で、申請人が自分で滞在費用を支弁する場合 | 申請人の住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書 |
| 入国後間もない場合や転居等で、上の資料では証明できない場合 | 預貯金通帳の写し、雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの)、これらに準ずるものなど |
出典:出入国在留管理庁「在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の配偶者(夫又は妻)である場合)」
「支弁する」は、費用を負担するという意味です。課税証明書と納税証明書は、1年間の総所得と納税状況が載っているものを出します。両方が1通に載っている証明書なら、どちらか一方でかまいません。
日本に住む日本人配偶者の収入が少ない場合や無職の場合でも、身元保証書を出すのは日本人配偶者です。そのうえで、滞在費用をどうまかなうかを、上の表の資料で入管に示します。
どの資料で示すかは、世帯の収入、預貯金、就職の内定の有無で変わります。資料の組み立てに迷う方は、配偶者ビザのご相談で、状況を一緒に確認します。
更新のときと、永住許可を申請するとき
身元保証書は、在留期間を更新するたびに、あらためて提出します。在留期間更新許可申請の提出書類にも「配偶者(日本人)の身元保証書 1通」があり、身元保証人についての注記も認定・変更と同じです。
永住許可の申請で出す身元保証書は、別の様式(永住許可申請用)です。保証する内容は「法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うこと」で、配偶者ビザの様式の3つの事項とは文言が違います。
出典:出入国在留管理庁「在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の配偶者(夫又は妻)である場合)」、「永住許可申請1」掲載の身元保証書(永住許可申請用)
よくある質問
身元保証人をやめたいときは、どうすればよいですか?
入管庁の提出書類のページ、Q&A、身元保証書の様式には、身元保証人をやめるための手続きは書かれていません(2026年10月9日時点)。身元保証書は申請のたびに出す書類で、更新の申請でも、日本に住む日本人配偶者の身元保証書が求められます。
離婚や死別のときに届出をするのは、外国人本人です。その日から14日以内に「配偶者に関する届出」を出します(入管法第19条の16第3号)。
親や友人に、身元保証人になってもらうことはできますか?
配偶者ビザの提出書類にあるのは「配偶者(日本人)の身元保証書」で、配偶者以外の人の身元保証書は一覧にありません。日本人配偶者が日本に住んでいる場合は、親などの親族の身元保証書を出しても、日本人配偶者の身元保証書が求められる点は変わりません。親族の身元保証書は、当事務所の理解では、一覧にない追加の資料という扱いです。
日本人配偶者が海外に住んでいる場合は、海外在住の夫婦の配偶者ビザ申請で扱っています。
身元保証人と、申請の代理人は同じ人ですか?
別の役割です。在留資格認定証明書交付申請で代理人になれるのは、日本人の配偶者等の場合、「本邦に居住する本人の親族」です(出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第四)。日本に住む日本人配偶者は、身元保証人と代理人の両方になれます。
まとめ
配偶者ビザの身元保証人は、日本に住んでいる日本人の配偶者です。滞在費・帰国旅費・法令の遵守の3つを、身元保証書で法務大臣に約束します。入管庁は、この保証事項に身元保証人に対する法的な強制力はなく、いわば道義的責任だと説明しています。
身元保証書は、認定・変更・更新のどの申請でも出します。身元保証人の収入の額を決めた記載は、法務省令にも、入管庁の提出書類のページにもありません(2026年10月9日時点)。まずは、滞在費用を支弁する方の課税証明書と納税証明書を取り、内容を確認してください。
参考資料
- 出入国在留管理庁「在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の配偶者(夫又は妻)である場合)」(2026年10月9日確認)
- 出入国在留管理庁「在留資格「日本人の配偶者等」(外国人(申請人)の方が日本人の実子・特別養子である場合)」(2026年10月9日確認)
- 出入国在留管理庁「身元保証書」(各申請共通。永住許可申請は除く)
- 出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q53
- 出入国在留管理庁「永住許可申請1(申請人の方が、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者又はその実子等である場合)」
- 出入国在留管理庁「配偶者に関する届出」
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和56年法務省令第54号)別表第三、別表第三の七、別表第四
- 民法(明治29年法律第89号)第446条、第465条の2
- 身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)第1条、第2条、第5条




