短期滞在から配偶者ビザへの変更はできる?在留資格変更の原則と進め方

日高 拓郎
日高 拓郎行政書士(申請取次)
公開 / 更新
短期滞在から配偶者ビザへの変更はできる?在留資格変更の原則と進め方

※この記事は、2026年10月9日時点の法令と出入国在留管理庁(入管庁)の公表資料に基づいています。

短期滞在から配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)への変更は、原則としてできません。入管法は、短期滞在で在留する人からの在留資格の変更を、「やむを得ない特別の事情」に基づく場合でなければ許可しないと定めています。

日本にいる間に在留資格認定証明書が交付されても、それだけでは特別の事情に当たりません。この記事では、公表されている範囲で変更の条件を確かめ、入管庁が案内している進め方を説明します。

目次
  1. 短期滞在から配偶者ビザへ変更できるのか
  2. 「やむを得ない特別の事情」に当たるのはどんな場合か
  3. 日本にいる間に在留資格認定証明書が交付された場合
  4. 入管庁が案内している進め方
  5. 審査中に、短期滞在で配偶者を訪ねるとき
  6. よくある質問
  7. まとめ
  8. 参考資料

短期滞在から配偶者ビザへ変更できるのか

短期滞在からの在留資格の変更は、「やむを得ない特別の事情」に基づく場合を除き、許可されません。根拠は、入管法第20条第3項のただし書です。

短期滞在は、観光や親族の訪問などのために、短い期間だけ日本に滞在する人の在留資格です。在留期間は90日、30日または15日です(法務大臣が90日を超えない範囲で日数を個別に指定する場合は、その期間)。

ほかの在留資格からの変更は、「変更を適当と認めるに足りる相当の理由」があるときに、法務大臣が許可できます。短期滞在からの変更には、これに「やむを得ない特別の事情」という条件が加わります。

入管庁も、短期滞在からの変更は「原則として認められません」と答えています。日本に中長期間住むことを希望する人には、在留資格認定証明書の交付を申請するよう案内しています。

出典:出入国管理及び難民認定法第20条第3項、出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q55、「在留資格「短期滞在」」

「やむを得ない特別の事情」に当たるのはどんな場合か

どんな事情が「やむを得ない特別の事情」に当たるのかを具体的に示した資料は、公表されていません(2026年10月時点)。入管法にも、入管庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正2026年6月)にも、短期滞在からの変更の基準は書かれていません。

入管の職員向けの文書「入国・在留審査要領」には、特別の事情がある場合を列挙した項目があります。ただし、情報公開請求で開示された文書では、列挙の中身は黒塗りで、読むことができません。

公表されているのは、次の2点です。

入管庁がQ&Aで示していること
  • 短期滞在からの変更は、原則として認められない
  • 日本に在留中に在留資格認定証明書が交付されたことだけでは、やむを得ない特別の事情に当たらない

日本人と結婚したことが特別の事情に当たるかどうかの基準も、公表資料には示されていません。許可するかどうかは、申請人が出した書類をもとに、法務大臣が個別に判断します。

以前ご相談に来られた方の中に、過去に短期滞在から「日本人の配偶者等」への変更が認められた経験をお持ちの方がいました。当事務所が担当した申請ではなく、現在の取扱いを示すものでもありません。

出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q55、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」、「入国・在留審査要領」第10編第4章第2節、第12編第2章第28節

日本にいる間に在留資格認定証明書が交付された場合

在留資格認定証明書が日本にいる間に交付されても、それだけを理由に短期滞在から変更することはできません。

在留資格認定証明書は、日本に入国しようとする外国人が、上陸のための条件に適合していることを、入国前にあらかじめ証明してもらう書類です。入管庁のQ&A(Q55)には、次の(注)があります。

(注)単に本邦に在留中に在留資格認定証明書が交付されたことをもって、やむを得ない特別の事情に該当するものではありません。

「証明書が交付されたのだから、日本にいるまま変更できる」とはならない、という意味です。この(注)は、入管庁が2026年3月26日付けで日本行政書士会連合会に、取扱いを明確にする観点から追記すると知らせたものです。

交付された証明書は、海外にある日本の大使館・総領事館(在外公館)で、査証(ビザ)を申請するときに使います。入管庁は、証明書を持っているだけでは入国できず、在外公館で必ず査証の発給を受けるよう案内しています。

出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q5・Q55、「在留資格認定証明書交付申請」

入管庁が案内している進め方

配偶者として日本に住むための入口は、在留資格認定証明書交付申請です。在留資格変更許可申請との違いは、次のとおりです。

在留資格認定証明書交付申請在留資格変更許可申請
対象日本に入国を希望する外国人在留資格を持って日本にいる外国人
根拠入管法第7条の2入管法第20条
短期滞在の人入管庁が案内している方法原則として認められない
標準処理期間1か月〜3か月1か月〜2か月
手数料かからない許可されるときにかかる

出典:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」「在留資格変更許可申請」

変更が許可されたときの手数料は、許可された在留期間によって変わります。金額は在留資格の手数料の改定にまとめています。

在留資格認定証明書を使って入国する流れ

  1. 外国人本人か代理人が、地方出入国在留管理官署に在留資格認定証明書の交付を申請する。日本人と結婚して入国する場合は、日本人の配偶者が代理人になり、住所地を管轄する官署に申請する
  2. 証明書が交付されたら、在外公館で証明書を提示し、査証の発給を受ける
  3. 交付された日から3か月以内に来日し、上陸の申請をする(証明書の有効期間は3か月)

「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書は、申請の受理から交付までの全国平均が106.5日です(2026年7月に交付された分)。入管庁は、入国の前に交付を受けられるよう、余裕をもって申請するよう案内しています。

当事務所が担当した申請でも、東京出入国在留管理局の管轄で、交付まで半年ほどかかった例があります。詳しくは、配偶者ビザの認定申請は何か月かかる?にまとめています。

出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q3〜Q6、「在留審査処理期間」(令和8年7月許可分)

審査中に、短期滞在で配偶者を訪ねるとき

審査を待つ間に短期滞在で来日する場合も、目指すのは変更ではなく、出国して査証を受けることです。

当事務所で担当した案件にも、審査が長引く場合に備えて、次の計画を立てたご夫婦がいます。

  1. 先に、在留資格認定証明書の交付を申請しておく
  2. 審査を待つ間、配偶者を訪ねるために、短期滞在で一時的に来日する(査証免除の対象でない国・地域の人は、短期滞在の査証が必要)
  3. 証明書が交付されたら、在留期間内に出国し、在外公館で査証の発給を受ける
  4. 交付された日から3か月以内に、「日本人の配偶者等」で入国する

短期滞在での来日は、親族の訪問など、短期滞在の活動のためのものです。査証の申請や上陸の審査では、訪問の目的と滞在の予定を、事実のとおりに伝えます。在留資格認定証明書を申請中でも、短期滞在での査証や上陸が認められるとは限りません。入管の審査要領には、当初から長く滞在する目的の人から、短期滞在で入国できるかの相談があった場合の対応が書かれています。入国目的に応じた査証(在留資格認定証明書を含む)を取得するよう指導する、というものです。

短期滞在で過ごす間の決まり
  • 在留カードは交付されない(入管法第19条の3)
  • 出張などの短期商用を除き、原則として働けない
  • 在留期間の更新は、原則として、人道上の真にやむをえない事情またはこれに相当する特別な事情がある場合に認められる(入管庁の例:病気治療をする必要がある場合)
  • 再入国許可は原則として許可されず、みなし再入国許可の対象でもない。出国すると、次は新規の入国になる

出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q7・Q31・Q62、「在留資格「短期滞在」」、「入国・在留審査要領」第12編第2章第20節

入国の希望日がある方は、日本人の配偶者等の在留資格認定証明書交付申請のご相談で、申請の時期と来日の計画を一緒に確認します。

よくある質問

在留期間が15日や30日の短期滞在でも、変更を申請できますか?

申請できる期間の決まりは、在留期間の長さで変わりません。変更の事由が生じたときから、在留期間の満了日までです。許可に「やむを得ない特別の事情」が必要な点も同じです。

違いが出るのは、審査中の扱いです。在留期間内に変更を申請した人は、満了日までに結果が出なくても、結果が出る時か、満了日から2か月が過ぎる時の、どちらか早い時まで在留できます。30日以下の在留期間の人は、この対象から除かれています(入管法第20条第6項)。

「永住者の配偶者等」など、ほかの在留資格への変更でも同じですか?

同じです。入管法第20条第3項のただし書は、変更先の在留資格を限定していません。どの在留資格への変更でも「やむを得ない特別の事情」が必要です。

まとめ

短期滞在から配偶者ビザへの変更は、「やむを得ない特別の事情」に基づく場合を除き、許可されません。どんな事情が当たるのかを具体的に示した資料は公表されておらず、在留資格認定証明書が日本にいる間に交付されただけでは、特別の事情に当たりません。

入管庁が案内しているのは、在留資格認定証明書の交付を受け、在外公館で査証を受けて入国する方法です。入国したい日が決まっている方は、その日から逆算して、交付申請の時期を先に決めておくと計画を立てやすくなります。

参考資料

執筆者

日高 拓郎
日高 拓郎

行政書士(申請取次)。ジプニー行政書士事務所 代表。千葉行政書士会所属(登録番号 第25101585)。
フィリピンの現地法人で責任者を務めた後、2023年に株式会社ジプニー(登録支援機関)を創業。2025年にジプニー行政書士事務所を開業。

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