【2026年度】在留資格の手数料が大幅値上げへ|更新3〜4万円・永住約20万円の見込みと今できる対策
2026年3月10日、政府は在留資格に関する手数料の法定上限を引き上げる入管法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。現行の手数料体系が定められたのは1981年で、実に45年ぶりの見直しとなります。
この記事では、改正案の内容、実際にいくらになるのかの見通し、施行時期のスケジュール感、そして申請を控えている方が今のうちに考えておくべきことを整理します。
何が変わるのか——法定上限の引き上げ
今回の改正案で変わるのは、手数料の「法定上限」です。
現行の入管法では、在留期間の更新・在留資格の変更・永住許可のいずれも手数料の上限が一律1万円と定められています。改正案では、この上限が以下のように引き上げられます。
- 在留期間の更新・在留資格の変更:上限1万円 → 上限10万円
- 永住許可:上限1万円 → 上限30万円
ここで注意が必要なのは、「上限10万円」「上限30万円」は法律で定める上限額であり、実際に納付する金額とイコールではないという点です。実際の手数料の額は、法律の成立後に政令で定められます。
実際の手数料はいくらになるのか
法律で決まるのは上限だけですが、報道等から見込まれている金額を整理します。
在留期間の更新・在留資格の変更
在留期間の長さに応じた段階制が導入される見通しです。
- 在留期間3ヶ月以内:約1万円
- 在留期間1年:約2〜3万円
- 在留期間3年:約3〜5万円
- 在留期間5年:最大約7万円
- 平均すると3〜4万円程度
現行の手数料は在留期間にかかわらず一律6,000円(オンライン申請は5,500円)ですので、平均で5〜7倍程度の値上げとなります。
永住許可
- 現行:10,000円
- 見込み:約20万円
永住許可については20倍程度の値上げが見込まれており、最も影響が大きい申請種別です。
オンライン申請の優遇
報道では、オンライン申請の場合は窓口申請より低い金額が設定される可能性が示されています。ただし、具体的な優遇額は現時点では明らかになっていません。
減免規定
改正案には、経済的困難その他特別の理由がある場合に政令で減免の規定を設けることが可能とする条項が含まれています。ただし、どのような場合に減免が認められるかの基準は公表されていません。
繰り返しになりますが、ここに挙げた金額はあくまでも報道ベースの見込みです。正式な金額は法律の成立後、政令で定められます。
いつから値上げされるのか
立法プロセスの現状
改正案が施行されるまでには、以下のステップが残っています。
- 閣議決定(2026年3月10日):済み
- 国会提出(衆議院):済み
- 国会審議・可決:今国会中の成立を目指す
- 政令で具体的な金額・施行日を決定:法律成立後
- 施行:改正法の附則により、2027年3月31日までに施行
施行時期の見通し
2026年2月の衆議院選挙で与党が大幅に議席を伸ばしたことから、法案が今国会で成立する可能性は高いと考えられます。成立後、政令の策定期間を経て施行されるため、2026年秋〜2027年初頭の施行が一つの目安になります。
ただし、具体的な施行日は政令で定められるまで確定しません。今後の国会審議の状況を注視する必要があります。
施行前に申請すれば旧料金が適用される可能性
手数料の改定にあたっては、申請のタイミングによって旧料金が適用されるかどうかが変わります。
直近の前例として、2025年4月1日の手数料改定(在留資格変更4,000円→6,000円等)の際には、出入国在留管理庁から以下のように案内されています。
改定後の手数料は、2025年4月1日以降に受付をした申請に適用されます。2025年3月31日までに受付した申請については、当該申請に係る許可または交付が4月1日以降となっても、改定前の手数料による納付となります。
つまり、手数料が適用される基準は「申請の受付日」であり、許可・交付の日ではありません。施行前に申請を済ませていれば、審査結果が施行後に出たとしても旧料金が適用されるという取り扱いです。
今回の大幅値上げにおいても同様の経過措置が採られる可能性が高いと考えられます。特に永住許可申請は、現行10,000円と値上げ後の見込み額(約20万円)の差が非常に大きいため、申請のタイミングを慎重に検討する必要があります。
実際に当事務所にも「値上げ前に永住申請を出したい」というご相談が増えています。ただし、手数料を抑えたいからといって準備が不十分なまま申請を急ぐのは、かえってリスクが高くなります。永住申請は不許可になると再申請までに相当な時間を要するケースがあり、手数料の差額以上のコストを負うことになりかねません。多少費用がかかったとしても、要件をしっかり確認し、書類を整えてから申請に臨む方が、結果的には確実です。
当事務所でも永住許可申請のサポートを行っており、申請タイミングの判断や要件確認をお手伝いしています。
手数料以外に知っておくべき変更
今回の入管法改正案には手数料の引き上げ以外にも、在留外国人に影響する内容が含まれています。
国保・年金の未納情報が入管に共有される仕組み
デジタル庁等が保有する国民健康保険や国民年金の未納情報を、入管が在留審査の際に直接参照できる仕組みの整備が進められています。2027年6月頃から全国での運用が始まる方向で調整が行われているとされています。
これまでも永住申請では納税や社会保険料の納付状況が審査で確認されていましたが、この仕組みが導入されると、更新申請を含むより広い範囲の在留審査で納付状況が確認されることになる可能性があります。永住申請を検討中の方に限らず、在留資格を持つすべての方にとって、公的義務の履行がこれまで以上に重要になります。
公的義務の履行状況の確認については、永住申請で見落としやすい入管法上の届出義務でも詳しく解説しています。
電子渡航認証制度(JESTA)の創設
同じ改正案には、短期滞在ビザが免除されている国からの訪日客を対象に、渡航前にオンラインで入国審査を行う「JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)」の創設も含まれています。2028年度中の導入が予定されています。JESTAは在留外国人には直接関係しませんが、入管制度全体の見直しの一環として参考情報としてお伝えします。
誰に影響があるのか
永住申請を検討中の方
最もインパクトが大きいのは永住許可申請です。現行10,000円から約20万円への値上げが見込まれており、施行前と施行後で約19万円の差が生じます。永住の要件を満たしている方、または近い将来満たす見込みのある方は、申請のタイミングを検討する価値があります。
在留資格の更新を控えている方
就労ビザ、配偶者ビザ、家族滞在ビザなど、すべての在留資格の更新が対象です。在留期間5年の方は最大約7万円、1年の方でも約2〜3万円の負担増が見込まれます。更新時期が施行日の前後にかかる方は、早めの申請を検討してもよいかもしれません。
在留資格の変更を予定している方
留学から就労ビザへの変更、配偶者ビザから永住への変更など、在留資格の変更手続きも同様に手数料が引き上げられます。
外国人を雇用する企業
外国人社員の在留資格の更新手数料を会社が負担しているケースがあります。1年更新の社員が複数名いる場合は、年間のコスト増が無視できない金額になります。更新スケジュールの見直しや、予算の確保を早めに検討する必要があります。
よくある質問
Q. 値上げはもう確定ですか?
法定上限の引き上げは閣議決定済みですが、法律としてはまだ国会審議中です。ただし、現在の国会の議席構成を考えると、成立する可能性は高いと見られます。実際の金額は法律成立後に政令で定められます。
Q. 現在申請中の場合はどうなりますか?
前回(2025年4月)の改定の前例に従えば、施行日より前に受付された申請には旧料金が適用されます。現在申請中の方は、施行後に許可が出ても旧料金で問題ないと考えられます。
Q. オンライン申請なら安くなりますか?
報道ではオンライン申請に対する優遇の可能性が示されていますが、具体的な金額は未定です。
Q. 行政書士への報酬と合わせるとトータルいくらかかりますか?
行政書士への報酬は事務所によって異なりますが、手数料の値上げ分がそのまま総額に上乗せされることになります。特に永住許可申請では、行政書士報酬に加えて約20万円の手数料が必要になるため、トータルの費用感は大きく変わります。
まとめ
- 2026年3月10日、在留手数料の法定上限を引き上げる入管法改正案が閣議決定された
- 在留期間の更新・変更は上限10万円(実際は在留期間に応じた段階制で平均3〜4万円の見込み)
- 永住許可は上限30万円(実際は約20万円の見込み)
- 具体的な金額・施行日は法律成立後に政令で定められる
- 施行は2027年3月31日まで(2026年秋〜2027年初頭が目安)
- 前例に基づくと、施行前に申請を受付していれば旧料金が適用される可能性が高い
- 永住申請を検討中の方は、手数料の差額(約19万円)を踏まえた申請タイミングの検討を




