海外在住カップルでも配偶者ビザは申請できる?3つの「書類の壁」を乗り越える方法

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海外在住カップルでも配偶者ビザは申請できる?3つの「書類の壁」を乗り越える方法
公開日: 2025年12月26日
カテゴリ: 配偶者ビザ

「現在、夫(または妻)と海外で暮らしていますが、そろそろ日本へ移住しようと考えています」 「でも、二人とも日本に住んでいないので、住民票も課税証明書もありません。申請できるのでしょうか?」

当事務所には、このようなご相談が数多く寄せられます。

入管(出入国在留管理庁)のホームページにある「必要書類一覧」を見ると、「直近の課税証明書」や「住民票」などが必須と書かれているため、「書類が揃わないけど審査で不利にならないのか?」と不安になってしまうのも無理はありません。

結論から申し上げますと、海外在住のカップルでも配偶者ビザの申請は可能です。

ただし、日本在住の日本人配偶者が申請する場合とは異なり、「ない書類」をどう補うかという戦略が必要です。今回は、海外在住組がぶつかる「3つの壁」と、その乗り越え方について、実務の現場から解説します。

「収入証明」の壁(課税証明書がない!)

通常、配偶者ビザの審査では「日本で生活していけるだけの経済力があるか」を見るために、直近1年分の「住民税の課税証明書・納税証明書」を提出します。 しかし、海外に住んでいるのですから、当然日本のこれら書類は手元にありませんよね。

解決策:未来の安定性を証明する

「過去(日本での納税歴)」がない場合は、「現在」の資産と「未来」の収入予定を証明します。具体的には以下の書類を用意しましょう。

  • a. 預貯金通帳の写し 当面の生活費があることを証明します。Web通帳の画面キャプチャ(取引履歴や残高がわかるもの)でも問題ありません。
  • b. 採用内定通知書(または雇用契約書) 日本での就職先が決まっている場合は最強の証明になります。
  • c. 海外からのリモートワーク証明 現在の仕事を、日本移住後もリモートで継続できる場合、勤務先からその旨を記載した証明書をもらいましょう。

要は「日本に入国した後、国(生活保護など)のお世話にならず、自分たちで食べていけます」ということを、客観的な資料でアピールできればOKです。

「身元保証人・申請代理人」の壁(誰に頼めばいい?)

ここが一番のハードルになることが多いポイントです。 通常は「日本人配偶者」が身元保証人になりますが、夫婦そろって海外にいる場合、日本に住んでいる親族に協力してもらう必要があります。

ここでは2つの役割をお願いすることになります。

  1. 申請代理人(窓口に行く人) 海外にいる本人の代わりに、日本の入管へ申請書類を提出する人です。 これは誰でも良いわけではなく、「本人の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)で、日本に住んでいる人」に限られます。一般的には、ご両親やご兄弟にお願いするケースが大半です。
  2. 身元保証人(日本での後ろ盾) 親族の方にお願いする際、「保証人になって」と言うと、ほとんどの方が身構えてしまいます。「借金の連帯保証人のような責任を負わされるのでは?」と心配されるからです。

重要:身元保証人の責任は「道義的」なものです

ここは非常に重要なので強調しておきますが、入管法上の身元保証人は、民法上の連帯保証人(借金の肩代わりなど)とは全く性質が異なります。

  • 金銭的な賠償責任はありません。
  • 法的な罰則(罰金や懲役)もありません。

あくまで「この夫婦が日本でルールを守って生活できるよう、親戚として指導・監督します」という道義的な責任(約束)にとどまります。この点をしっかり説明すれば、ご両親やご兄弟も安心して協力してくれるはずです。

なお、ご両親が高齢で年金暮らしという場合は、現役世代である「兄弟姉妹」にお願いし、在職証明書などを出してもらう方が審査がスムーズに進む傾向にあります。

出典:出入国審査・在留審査Q&A_Q53

「住民票」の壁(除票されている!)

必要書類にある「世帯全員の記載のある住民票」。 海外転出届を出している場合、当然ながら住民票は除票(削除)されています。

解決策:除票の写し、または理由書

最後に住んでいた市区町村で「住民票の除票」を取り寄せることが可能です。念のためこれを準備しておくと良いでしょう。

ただし、注意点があります。 「2014年3月31日以前」に除票になったもの(海外転出したもの)は、保存期間が経過して廃棄されているため、交付されません。その場合は、「現在は海外在住であり、保存期間経過により除票も取得できない」という旨を理由書に記載すれば問題ありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 「書類がないから無理」と諦める必要は全くありません。

  1. 収入証明 → 預貯金や内定通知書で「これからの生活力」を示す
  2. 身元保証人 → 「道義的責任」であることを伝えて親族に協力してもらう
  3. 住民票 → 状況に合わせて除票や理由書を準備する

この3つのポイントを押さえれば、海外在住カップルでも配偶者ビザの取得は十分に可能です。

とはいえ、「私のケースでは、親族の誰に頼むのがベスト?」「この貯金額で大丈夫?」など、個別の事情による悩みは尽きないと思います。

ジプニー行政書士事務所では、海外在住カップルが安心して日本生活をスタートできるよう、申請準備から親族への説明サポートまで、きめ細かく対応しております。 「私たちの場合はどうなるの?」と思われた方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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